ビューティ
特集 CEO2024 ビューティ編

【シック・ジャパン 後藤秀夫社長】“ビューティーグルーミングカンパニー”の基盤作り

PROFILE: 後藤秀夫/シック・ジャパン社長

後藤秀夫/シック・ジャパン社長
PROFILE: (ごとう・ひでお)MBA、米国サンダーバード国際経営大学院卒業後、1996年にジョンソン・エンド・ジョンソンでキャリアをスタート。営業・マーケティングを経験後、2005年から日本ロレアルで日本と台湾での事業部長の要職を歴任し、ターンアラウンドや事業拡大に貢献。17年にヘンケル ビューティーケアの日本兼韓国の代表としてコンシューマー及びプロフェッショナルの両事業を統括。22年8月から現職 PHOTO:SHUNICHI ODA

後藤秀夫氏は2022年8月の社長就任後、強みのウェットシェービング(水やお湯で肌を濡らしヒゲを柔らかくして剃ること)をはじめ、関連ケア商品を含めたトータルグルーミングを提供する“ビューティーグルーミングカンパニー”としての認知拡大を図るため中期経営計画を作成。改革1年目となる23年は、「Build New Foundation(新基盤を築く)」をテーマに、社内外に関わる基礎作りを実施した。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

“起業家精神”を標準化し新発想なモノ作りを実現

WWDJAPAN(以下、WWD):“ビューティーグルーミングカンパニー”に向けた成長への基盤作りとして2023年に注力したことは?

後藤秀夫社長(以下、後藤):シック・ジャパンはウェットシェービング業界のリーディングカンパニーだが、22年にシェービングビジネスを超えた“ビューティーグルーミングカンパニー”として成長する方針を立てた。当社の存在意義を改めて認識し、社員の意識改革に取り組むためパーパスを設定。「Make beauty grooming joyful(シェービング美容をより楽しく)」に定め、ビューティーグルーミングを通して一人でも多くのお客さまにワクワク感と幸せを感じていただける毎日を届けることを表した。

WWD:ビューティーグルーミングカンパニーを体現する環境作りを強化している。

後藤:どんなに良いパーパスを設定しても、目に見える変化がなければ社員も実感を得にくい。職場環境から改革していくことが重要であると、23年10月に当社初の大規模フルリノベーションを実施。商品テストなどを実施できるビューティーグルーミングスタジオ&ラボを完備するなど洗練されたモダンなデザインを採用した。環境変化は社員の意識改革にとって武器となり、すでに数字として結果も出ている。直近の社員のエンゲージメントスコアは7割以上がポジティブと会社満足度は高い。また、成長戦略として当社の強みであるシェービングを生かしながら、シェービング前後で使用するスキンケアやボディーケアなど新カテゴリー育成のポートフォリオを強化する。

WWD:スピーディーなモノ作りはラボがあるからこそ実現できた?

後藤:どれだけ柔軟かつ早く変化できるかが今の時代のリーダーシップのあり方だと思っている。オフィス内にラボが完成したことにより、さらなるスピーディーなモノ作りが可能となった。また、重要な企業カルチャーの一つに「Move forward(前進する)」を掲げ、失敗から学びを得ることやこれまでやったことのない新しいことへの挑戦を推奨している。ただ、国内においては28年間グルーミング市場でシェアNo.1(※1)企業という安定感から社員にあまり浸透していなかった。24年はカルチャートランスフォーメーションとして、挑戦する“起業家精神”を標準化させる取り組みを行う予定だ。この取り組みが広がれば、よりスピーディーかつ新発想なモノ作りにつながるだろう。

WWD:近年は医療脱毛や光エステなど脱毛関連市場は競争が激化。ウェットシェービング市場への影響は?

後藤:コロナ禍が落ち着いた23年度後半は、男性のウェットシェービングが前年同期比約10%増(※2)と伸長した。医療脱毛や光エステなど脱毛に関する選択肢が増えることで、男性にも「毛がない方が美しい」というビューティの価値観ができ上がりつつある。当社は21年にライフスタイルの多様性支援を目的にヒゲ・ボディーグルーミング習慣をサポートする商品群“スタイリングパートナー”を展開し、国内メンズボディーシェービング市場に進出。男性ボディーシェービングの売り上げも同約30%増(※3)となっている。2月27日には当社初の男性向けソープ付きボディー用シェーバー“モイスチャーソープシェーバー”を発売するなど、新規市場創造は積極的に行っていく。

WWD:女性のシェービングニーズについては?

後藤:女性は価値のあるものを購入する傾向になっている。「自宅でサロンのような質の高い仕上がりを目指す」をテーマに、21年に誕生した日本オリジナルブランド「サロンプラス(SALON+)」はフェイシャルシェーバー“サロンプラス トーンアップ フェイススムーサー”がけん引し、同約50%増(※3)と好調。同ブランドからは2月27日にスティックタイプの顔剃り専用オイルバーム“サロンプラス フェイシャルシェービングバーム”が登場予定で、これも市場にはなかったアイテム。同商品は社内ラボも活用し開発したもので、新市場創造の一翼を担っている。

WWD:24年はさらに新規創造や新市場開拓に注力するが、目標とする数字はあるか。

後藤:消費者がワクワク過ごすための商品作りには、まず社員がワクワクする職場環境が必須。そのため、現在のエンゲージメントスコアを8割超えに高めていきたい。当グループにとって日本はアメリカに次ぐ世界第2位の市場のため、日本ビジネスはプライオリティーが高く決定権もある。それにプラスしてエンゲージメント1位を獲れば、グループで世界トップのオフィスになる。そうなればシック・ジャパンで働くことを誇りに思う社員がさらに増え、高品質のモノ作りにもつながる好循環が生まれるだろう。

※1 28年連続国内ウェットシェービング販売シェアNo.1:インテージ SRI+カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)1995 年11月~2023年10月各年メーカー別累計販売金額
※2 インテージ SRI+カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)2022年7~12月および23年7~12月 メーカー別累計販売金額を基に同期間の比較
※3 インテージ SRI+カミソリ市場(ホルダー、ディスポーザブル、替刃)2022年1~12月および2023年1~12月 メーカー別累計販売金額を基に同期間の比較

会社概要

シック・ジャパン
SCHICK JAPAN

世界50カ国以上でビジネスを展開しているエッジウェルパーソナルケアグループの一員。「シック(SCHICK)」は国内ウェットシェービングの金額シェアで28年連続No.1を維持するなど日本市場におけるウェットシェービング業界をけん引。また、女性用カミソリ分野でも国内マーケットをけん引している。シェービングを中心としたパーソナルケア商品を通じ、人々にワクワク感と幸せを感じてもらえる毎日を提供することを存在意義とし事業を推進している

問い合わせ先
シック・ジャパンお客様相談室
03-5487-6801

TEXT:WAKANA NAKADE

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