ビューティ

LINEギフトのビューティカテゴリー、年間流通額2倍に拡大 限定商品でギフト需要と“自分買い”にアプローチ

PROFILE: 赤木広美/LINEヤフー株式会社 LINEギフト本部 カテゴリーセールス&MD2チーム

赤木広美/LINEヤフー株式会社 LINEギフト本部 カテゴリーセールス&MD2チーム
PROFILE: (あかぎ・ひろみ)1986年、東京都生まれ。新卒で出版社に勤務。2018年にLINE(現LINEヤフー)に入社し、LINEニュース事業やEC新規事業(マイスマートストアやライブバイ)に携わる。23年から現職

LINEギフトのビューティカテゴリーが急成長を遂げている。LINEギフトは2020年、ビューティ商品の取り扱いを開始。21年の年間流通額が前年比260%増と大きく伸長したことをきっかけに、22年秋にビューティページを新設した。22年10月〜23年9月のビューティカテゴリーの年間流通額は前年同期比約2倍と飛ぶ鳥を落とす勢いだ。現在の出店ショップ数は1500店舗、取扱商品数は約40万点。コアユーザーは20〜30代の女性で、贈る側も受け取った側も6割以上が女性だ。

ビューティカテゴリーを担当する赤木広美LINEギフト本部 カテゴリーセールス&MD2チームに、サービスの特徴や成長について聞いた。

ビューティカテゴリーは“自分買い”も多い

WWDJAPAN(以下、WWD):ビューティカテゴリーが成長した要因は?

赤木広美LINEヤフー株式会社 LINEギフト本部 カテゴリーセールス&MD2チーム(以下、赤木):ブランド数と商品数が増えていることです。20年12月に「M・A・C」の取り扱いからビューティカテゴリーをスタートし、コアユーザーである20〜30代の女性と親和性が高いブランドを拡充しています。また、化粧品は“自分買い”が多いのも特徴なので、豊富なLINEギフト限定商品や独占先行販売商品の認知度が広がったことも一つの要因です。

WWD:ビューティカテゴリーの特徴は?

赤木:LINEギフトはギフト特化サービスとしてギフト需要が主ですが、ビューティカテゴリーの商品は自家需要も多いです。客単価は約4000円と、他のカテゴリーと比べて高いのも特徴です。これまでフェイスマスクやヘアブラシなど、人を選ばない無難な商品が人気でしたが、「ギフトを受け取った相手が色や香りを選べる機能」を5月に導入したことで、フレグランスやリップの人気が高まっています。機能導入後は、ファンデーションの伸びが特に顕著で、売り上げが3倍になりました。

WWD:ビューティカテゴリーが扱う商品の特徴は?

赤木:ビューティ感度の高い人にも刺さるラインアップを意識しています。ギフトとなると、新作よりも定番商品の需要が高く、定番商品のLINE限定誕生日カスタマイズアイテムがヒットしています。たとえば、「キールズ(KIEHL’S SINCE 1851)」の名品クリーム“キールズ クリーム UFC”はもともと売れ筋でしたが、誕生日限定パッケージを用意したことで売り上げが倍増しました。その後、「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」や「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT以下、YSL)」なども誕生日セットを販売しました。限定商品の数を増やすごとに、売り上げが順調に伸びています。

ビューティカテゴリー人気ランキング

WWD:ビューティカテゴリーの人気商品トップ3は?

赤木:1位は、香りを選べる、「シロ(SHIRO)」の“ボディコロン”です。2位は、「バース(BARTH)」の“中性重炭酸入浴剤”。3位は、色を選べる、「YSL」の“シロップリップ”です。(※集計期間:2023年5月10日〜10月27日)「ギフトを受け取った相手が色や香りを選べる機能」の導入後、上位の半数を同機能対象の商品が占めています。相手の好みに合ったギフトを贈りたいという需要とマッチしていることが分かります。

WWD:ソーシャルギフトにおける、コスメ商戦の特徴や勝機は?

赤木:直接会えなくても、相手の住所を知らなくてもギフトを送れるのが特徴です。直接ギフトを買いに行く場合は事前に用意することが多いと思うのですが、LINEギフトではイベント当日の需要が大きく、他のプラットフォームとは受注のピークがズレるため、他店舗の在庫を販売する場としても活用できます。送料やラッピング代を含めると定価以上の商品も多いですが、ギフト需要だと価格競争がない点も出店ブランドからは評価されています。さらに、店頭に足を運びづらい男性でも利用しやすい、という声もいただいています。

LINEギフトでしか買えない商品が充実

WWD:22年にクリスマスコフレ特集を開始した経緯は?

赤木:21年にビューティ商品の流通額が前年比260%増と大きく伸長したことを受けて、22年に開始しました。LINEギフトでしか買えないビューティ商品が充実していることをより広く認知させたいという思いもあり、コスメの注目度が高まる一大イベントを活用することにしたんです。LINEギフトは、購入するとすぐに相手にメッセージが届くことから、当日の需要も非常に高いですが、クリスマスコフレに関しては、ビューティ感度の高い人の“自分買い”にもアプローチできるように、今年は11月に公開しました。

WWD:今年のクリスマスコフレ特集も注力する?

赤木:LINEギフト限定商品を24点、独占先行販売商品を7点、用意しています。また、お客さまが選びやすいように、バイヤーが選ぶ注目アイテムや“ポーチ付き”、“アワード受賞”など、テーマ別に紹介しています。自分用にも使える10%オフのクーポンを3枚配布しているので、他社より少しお得に買えるという優位性もあります。「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」や「ラ・メール(LA MER)」、「ジバンシィ ビューティ(GIVENCHY BEAUTY)」、「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」、「バウム(BAUM)」など、今回新たに取り扱いを開始するブランドも多く、アピールポイントの1つとなっています。

WWD:出店するブランドの反応は?

赤木:ECや百貨店との自社競合が生じず、新たな需要をつくれているとの評価をいただきます。また、レビューには、誰からどんなシチュエーションでギフトをもらったかというエモーショナルなコメントが寄せられ、他のプラットフォームにはない温かい空間が生まれています。ブランドのLINE公式アカウントの販促を受けて、既存のブランドのファンが自分の気に入っている商品を誰かに送るといった利用シーンも多いです。LINEギフトの枠を越えて、LINEのサービス全体で購買につなげていただいています。

WWD:今後の展望は?

赤木:豊富なブランドや商品をそろえていることをより周知させたいですね。ラグジュアリーブランドや韓国ブランドなどトレンドのブランドをしっかりと押さえ、LINEギフト限定商品も引き続き増やしていきます。「ギフトを受け取った相手が色や香りを選べる機能」に続き、「ギフトに刻印ができる機能」の実装に向けて準備しており、より素敵なギフト体験を創出したいと考えています。また、クリスマスや母の日といった大きなイベントに加えて、ハロウィンや良い夫婦の日など、小さなギフトモーメントも楽しんでいただけるような企画を強化していきます。

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