ビューティ

花王傘下のヘアケアブランド「オリベ」が世界中で愛される理由

PROFILE: ダニエル・ケイナー(Daniel Kaner)/オリベ共同創業者・代表

ダニエル・ケイナー(Daniel Kaner)/オリベ共同創業者・代表
PROFILE: 「アヴェダ(AVEDA)」ニューヨーク事業のマーケット・ディレクター兼運営委員会の一員として、美容業界のキャリアをスタートした。オリベ以前は、米ヘアケアブランド「バンブル アンド バンブル(BUMBLE AND BUMBLE)」でマーケティングのエグゼクティブ・バイスプレジデント(EVP)と共同経営者を務めた。30年以上にわたる美容業界での経験を生かし、2008年にオリベ・カナレス(Oribe Canales)とテヴヤ・フィンガー(Tevya Finger)らとオリベを創設。オリベ・カナレス亡き今も、代表としてオリベを率いる PHOTO:KAZUSHI TOYOTA

米ラグジュアリーヘアケアブランド「オリベ(ORIBE)」の日本上陸から2年がたち、オリベ共同創業者であり代表を務めるダニエル・ケイナー(Daniel Kayner)が来日した。「オリベ」は、カリスマヘアスタイリストのオリベ・カナレス(Oribe Canales)が2008年、ケイナーとテヴヤ・フィンガー(Tevya Finger)らと創設。17年12月に花王グループの傘下入りした。来日したケイナーに、改めて「オリベ」の強みや花王とのパートナーシップについて聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):「オリベ」が他のヘアケアブランドと差別化している点は?

ダニエル・ケイナー=オリベ共同創業者・代表(以下、ケイナー):雑誌やランウェイでの業務に携わってきたスタイリストのカナレスが生み出したブランドであるため、機能性は最上であると自負している。創設当時から広告や宣伝には費用を割かなかったが、プロが商品の品質を認め、ボトムアップで広がっていった。現在42カ国で展開する。

WWD:製品開発のスタイルは?

ケイナー:「オリベ」は髪のテクスチャー(仕上がりの質感)を大切にしている。さまざまな人種のお客さまが求めるテクスチャーをかなえるために、アーティストらと対話し、彼らの意見を取り入れて製品を開発する。現在アメリカに40人以上のシニア・エデュケーターを擁し、世界では93人のアーティストを育成している。象徴的な商品が、“ドライテクスチャライジング ヘアスプレー”だ。ボリュームや束感、テクスチャーをかなえ、柔軟なスタイリングができる。かつてはボリュームを出すためにドライシャンプーなどが一般的に使われていたが、粉状のため使いづらいという意見が多かった。そこで「オリベ」は独自のスタイリング剤を開発した。今日も世界中のスタイリストから愛されている。

WWD:プロ向けに特化して商品を展開する理由は?

ケイナー:スタイリストの施術を通じてこそ、その先にいるお客さまにブランドの哲学やクオリティーを深く感じていただける。私たちのゴールは、情熱を持ち、技術力も高く、将来のビジョンをしっかりと描いているようなトップレベルのスタイリストたちとお付き合いすることだ。ブランド創設時、コンセプトノートに“万人向けではない(It’s not for everyone)”と書き込んだ。規模を追い求めるのではなく、ブランドに共感いただけるプロやサロンからの熱烈な支持を守り続ける。

WWD:アーティストとのコラボにも精力的だ。

ケイナー:毎年、世界各国のアーティストとコラボしたホリデーコレクションを販売している。これまでに、書道家の山口碧生さんや、フランスのデザイナーグループ「アントワネット・ポワソン(ANTOINETTE POISSON)」などと協業してきた。これは、「オリベ」が製品やスタイリングを“芸術”と捉えているからだ。この取り組みはチームの英気を養うだけでなく、マインドのリセットにもつながっている。また、贈り物として新しいお客さまとの出会いをつくっている。

花王はR&Dに長けたダイナミックな企業

WWD:花王とのシナジーは?

ケイナー:花王はR&Dに長けた非常にダイナミックな企業だ。「オリベ」のような小規模なブランドは持てないような科学者や研究施設を擁する。すでに共同で新製品を開発しており、世界各国で発売する予定。私がどのようにブランドを成長させたいのかを常に尊重してくれる素晴らしいパートナーだ。

WWD:アジア進出の進捗は?

ケイナー:台湾、香港、シンガポール、韓国で展開している。現在中国はECのみでの取り扱いだが、急激に拡大している。厳選したヘアサロンやビューティリテールに卸しており、各国の市場で立場を確立し始めている。日本では全37店舗で展開する。今後も、取り扱うヘアサロンを着実に増やしていくつもりだ。

WWD:最後に、ケイナー代表にとっての“ラグジュアリー”とは?

ケイナー:思考プロセスを凝らしたモノ作りやクオリティー、パフォーマンス、デザイン、教育、リーダーシップ。それら全てがラグジュアリーを作り上げる。定義は人によって異なるだろうが、「今日一日髪の調子が良かった」と感じることが究極のラグジュアリーだと私は考える。

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