ファッション

「ゼニア」の新たな道を切り開く“オアジカシミヤコレクション”

 「ゼニア(ZEGNA)」は、2022-23年秋冬シーズンにイタリア生産のカシミヤを使用した“オアジカシミヤコレクション(Oasi Cashmere Collection)”を発売した。現在、公式オンラインストアや東京・銀座の旗艦店などで取り扱っている。“オアジカシミヤコレクション”は、「ゼニア」のこれからを示すコレクションとして、創業112年を誇るエルメネジルド ゼニア グループ(ERMENEGILDO ZEGNA GROUP)の歴史の中でも重要な地位を占める。同グループは21年にニューヨーク証券取引所への上場や、複数ラインを「ゼニア」に統合してリブランディングするなど、変化の時期を迎えている。そんな状況で、“オアジカシミヤコレクション”がなぜ重要なのか――コレクション誕生の背景から解き明かす。

“オアジ”って何?
創業者の思いを込めて

 “オアジカシミヤコレクション”の“オアジ”とは、「ゼニア」が保有する自然保護区“オアジ・ゼニア”から命名している。“オアジ”とはオアシスを意味し、創業者エルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)が1930年代に開始した50万本以上を植林する環境再生プロジェクトをきっかけに、現在まで美しい自然環境が約90年にわたって保たれているエリアだ。

 場所はイタリア北西部・ピエモンテ州の山地で、首都ミラノからは約150キロほど。創業者のエルメネジルドは“オアジ・ゼニア”を設立するため44.5kmの道を切り開き、その道は現在も232号線として地域住民の生活を支えている。さらに同エリアに本社を構えるほか、アトリエや紡績工場、羊毛牧場なども抱えているのだ。そして長年続いた森林再生事業の結果、今では“オアジ・ゼニア”は100平方キロメートルにわたって広がるイタリア屈指の自然保護区にまで成長。プロジェクトを支えた232号線をグラフィック化し、ブランドのシンボルとして受け継いでいる。

色彩豊かなカシミヤが
雄大な大自然に映える

 “オアジカシミヤコレクション”は、ブランドのアイデンティティーともいえる“オアジ・ゼニア”に立ち返ることで誕生した。キャンペーンビジュアルは、“オアジ・ゼニア”の雄大な自然を舞台に撮り下ろしている。コレクションを手掛けるアレッサンドロ・サルトリ(Alessandro Sartori)=アーティスティック ディレクターにとって、複数ラインを「ゼニア」に統合しリブランディングしたタイミングで、企業の歴史と未来を象徴するコレクションを世に出すことは必然だった。

 アイテムは熟練の職人の手作業によって生み出され、素材には最高級のカシミヤをはじめ、イタリア国内で生産された世界最高級の天然資源のみを使用する。大自然への思いを込めたもの作りは、創業者の精神を受け継ぐ証だ。さらに、そのアイデンティティーを未来につなぐ取り組みも始めている。「ゼニア」は2024年までに、使用する“オアジカシミヤ”の完全なトレーサビリティ認定を目指す。すでに22-23年秋冬シーズンよりカシミヤ農場から工場での製品製造、店舗に届くまでの全行程の映像を見ることができるQRコードを、全てのカシミヤ製品に同封している。

高い品格と着心地
“オアジカシミヤ”に恋をする

 デビューコレクションでは、テーラーリングの美しさと軽やかな着心地を融合させたシャツジャケットをはじめ、ロングコートやフーディーとダウンジャケット、タートルネック、クルーネックなど用意する。夕日を想起させるオレンジや青空のようなブルーなど、どれも“オアジ・ゼニア”の豊かな自然をそのまま映したようなカラーリングだ。袖を一度通せば、最高級の天然素材だからこそ実現できた心地よい肌触りと、一般的なニットウエアとは一線を画す軽さ、そして豊かな自然を映した色彩に魅了されるはずだ。この冬は、“オアジカシミヤ”に恋をしよう。

価格は全て税込
EDIT&TEXT RIKU OGAWA
問い合わせ先
ゼニア カスタマーサービス
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