ファッション

「スライ」の“美脚ジーンズ”が進化 旭化成の「ロイカ」を採用

 バロックジャパンリミテッドの「スライ(SLY)」は、直営出店から20年を迎えた今年、サステナビリティを念頭に置いた商品開発に力を入れる。その一環として2022年春夏シーズンから主力商品のストレッチジーンズで使用する糸を、旭化成のリサイクルストレッチファイバー「ロイカEF」に切り替えた。野村千尋バロックジャパンリミテッド第一ユニットSLY事業部事業部長兼企画MDグループ長と石神百合恵第一ユニットSLY事業部生産グループにその理由を聞いた。

主力商材だからこそサステナブルに

 「スライ」はカジュアル、モード、ガーリーをベースに女性の魅力を引き立てるディテールにこだわったアーバンスタイルを提案する。野村事業部長は、「お客さまはコロナ禍を経て、ブランドの独自性をより強く求めている。踏襲品番を見直し、『スライ』でしか買えないカラーやデザインの商品開発に力を入れている。ブランドの強みを消さずに、効果的にサステナビリティに取り組む方法を模索した結果、年間を通して発注できる主力商材の素材を切り替えることに決めた」と話す。

 ストレッチジーンズは、「スライ」が提案する「強く美しく自立した女性像」をかなえる代表的なアイテムの1つ。高めのウエスト位置と、ヒップや脚のラインが美しく出るようにミリ単位で計算されたパターンで、“美脚ジーンズ”として人気を集める。デニムの加工感はそのままに、長時間はいても疲れにくいはき心地も人気の理由だ。

2022-23年秋冬はカーディガンや
ジャケットと合わせて

 定番アイテムであっても「スライ」が提案するトレンドスタイルにフィットするよう、シューズやトップスの傾向に合わせて毎シーズン微修正を加えている。9月上旬に発売予定の新作は、フレアタイプ2色(各税込1万3200円)を用意した。22-23年秋冬の強化品番であるカーディガンや「スライ」らしいビビッドなカラーのジャケットなどと合わせて着こなしてもらう。「華奢な女性にもシルエットの美しさを味わってもらいたい」という思いから、サイズはこれまでの展開から22〜26インチに広げた。

従来の商品価値を落とさずに
新たな魅力を加える「ロイカEF」

 旭化成の「ロイカ EF」は、工場で発生する残糸や不要糸といった通常廃棄される糸を原料とする。それらを滋賀県・守山市にある工場で再利用し、新たなストレッチファイバーに生まれ変わらせる。レギュラーのストレッチファイバーと同等の取り扱いが可能だ。

 「サステナビリティを優先して商品の価値を落としては本末転倒。強みのはき心地と加工感のバランスを妥協せずに、新たな魅力を加えてくれるのが『ロイカEF』だった」と野村事業部長。デニムの企画生産を担当する石神担当は、「世界中からさまざまな素材を集めたが、やはり圧倒的な知名度と安心感があるのが旭化成だ。例えば、海外の事例では“リサイクル”とうたっていても工程が不透明な場合も多い。国内で生産工場を持つ旭化成であれば当社の品質基準に沿った安心したモノづくりができる。今回は『ロイカEF』を採用したが、分解性を持つ『ロイカV550』などバリエーションも豊富なので、今後さまざまな角度から商品にアップデートを加えられる点も魅力だ」と話す。

サステナブルな商品の魅力を
発信できるブランドに

 メインターゲットである10代後半〜20代前半の顧客の間では、サステナブルであることが購買動機につながるケースはまれだ。しかし野村事業部長は、「若年層をターゲットにしているブランドだからこそ、サステナビリティの認知を広げるチャンスと捉えてきちんと素材背景を伝えていく。顧客と一緒に学んでいく姿勢を大切にしたい」と意気込む。店頭には販売スタッフに会いに来る客も多い。影響力を持つスタッフが、接客の中でサステナブルな商品の魅力を語ることができるようスタッフへの教育にも力を入れる。「ロイカEF」を軸に、サステナビリティの意義を発信するブランドへと「スライ」は進化する。

問い合わせ先
ライフイノベーション事業本部 ロイカ事業部 ロイカ営業部
06-7636-3558