ファッション
連載 “めんどくさい“新米2人によるポッドキャスト:考えたい言葉

「ミーム」って何? “めんどくさい”新米2人によるポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.10

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの新連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第10弾は、【ミーム】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

ポッドキャスト配信者

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

若手2人が考える【ミーム】

 「ミーム(meme)」とは主にインターネットを通じて拡散、模倣、再生産される画像や動画などの情報、それを利用する文化を指す。笑いや共感を得ることを目的としたものが多く、コミュニティーの団結や、拡散されやすい特性を生かして社会運動に利用することもある。日本では“あるあるネタ”や大喜利が近い存在。狭義では、画像に文字をつけ、新しいコンテクストを作り出す画像ミームを指し、同じフォーマットで新たな言葉と共に投稿するのが最も一般的な広がり方と言える。例えば、1990年代のアニメ「太陽の勇者ファイバード」でキャラクターが蝶を前にして「これは鳩ですか?」と発言するシーンは、社会の矛盾や勘違いを表現するミームとして2010年代後半から英語圏で頻繁に使われている。画像のみならず、動画やその中のダンスなどもミームになる。国際的に本来は悲しみを表す“目を潤ませた絵文字”を、日本語圏で“ぴえん”という言葉と共に、さまざまな感情を表すため使う行為が近年急速に普及している。このように模倣によって人から人へと伝わり、共通の理解や習慣を持つことが広義の現象としてのミームである。

 ミームは、インターネットの情報拡散には欠かせない文化になった。Z世代と若いミレニアル世代が中心のミーム文化には庶民的・市民的な視点が多く、皮肉的なユーモアが中心のため、社会的問題への風刺に重宝されている。BLM運動やLGBTQ+コミュニティーへの理解促進などさまざまな場面で使われる。デザインの盗用や、多様性や差別問題などの視点でファッション業界をウオッチするメディア「ダイエットプラダ(Diet Prada) 」も、ミームを利用して情報を発信している。急速に情報が広がる特徴を利用し、企業もビジネス的に利用しようとするケースもみられる。2017年には、「グッチ(GUCCI)」が“ル マルシェ デ メルヴェイユ コレクション(LE MARCHE DES MERVEILLES COLLECTION)”の時計のプロモーションにミームをいち早く使用して注目を集めた。しかし、草の根運動的な一面を持つミームだからこそ、企業の商業的利用には冷ややかな反応が多いのも事実だ。

【ポッドキャスト】

「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズはSpotifyやApple Podcastsでもお聞きいただけます。

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