特集・連載

ウェブとアパレル、2人のプロが異色タッグ、クロス・コミュニケーションがD2Cブランド専用の統合サービスを開発

 大手の金融や証券会社、小売企業などのウェブシステムやアプリ開発などを手掛けるクロス・コミュニケーションはこのほど、D2Cブランドの運営に特化した新サービス「スペースシップス(SPACESHIPS)」をスタートした。CRMや決済など多くの機能を盛り込みながら低コストで運用できるECシステムからベテランのプランナーを配した集客、膨大な画像情報を解析するディープラーニングを搭載したリサーチ機能、使い勝手のいい企画・デザイン機能まで、D2Cブランドの運営に必要かつハイスペックな機能を搭載する一方で、サービス使用料はかなり廉価に抑えた。同社は「スペースシップス」のローンチに当たり、アパレルのOEM(相手先ブランド生産)事業に長く携わり、自らD2Cブランドも運営していたファッションビジネスのベテランで、前サードオフィス社長の西村隆氏を執行役員として招聘。二人の強力タッグで、アパレル産業に本格参入する。

D2C専用システム
「スペースシップス」、誕生の背景

WWDJAPAN:「スペースシップス」誕生の背景は?

富永晴次クロス・コミュニケーション社長(以下、富永):4年前くらいに、アパレルEC支援事業を本格スタートしようとリサーチしていた過程で、当時サードオフィス社長だった西村さんに出会ったのがきっかけです。

西村隆クロス・コミュニケーション執行役員 デザインラボ所長(以下、西村):サードオフィスではOEM事業を手掛けていたこともあり、産業構造や利益構造なども含めて、富永さんとディスカッションを重ねました。

富永:印象的だったのは、アパレルが在庫残の存在を前提にしたビジネスモデルだったことや、取引先の課題を仕組みで解決していくという本質的な部分に加え、それぞれの立場でクライアントを支える支援事業を展開し、商品力(企画力)や機動力で勝負し続けてきたことも重なっていました。業界は違っても、実はいろいろな部分でかなり似ているなと感じました。そんなこともあってか、色々お話しする中で共感する部分が多々あり、本格的にタッグを組んで事業化に向けて動き出したのです。

西村:まず、アパレルビジネスの課題である変数の多さを潰すため、AI(人工知能)を利用したMD(マーチャンダイジング)の可能性について2人で考えました。AIを利用したMDに必要なのは、未来の需要予測。既に世の中に出ている画像データを分析しても、あくまで過去のデータにしか過ぎず、未来の需要予測と言えるレベルにはならない。それなら、そのデータになる前の情報はストリートにあるのではないか?という仮説を立て、街に定点カメラを置いてみようとか、いろいろなアイデアを出し合いました。

富永:結果的に先行したのがECシステムの構築で、サードオフィスと共同で昨年8月にEC用のCMSである「コマースドア(COMMERCE DOOR)」をリリースしました。一方でCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)なども活用してスタートアップ企業と連携し、ウェブ上のファッションスナップをクローリングしてタグ付け、トレンドデータを蓄積しつつ、450万人のアンケートパネルを活用した調査と合わせてターゲティングを強化する技術に加え、CRMもアパレル分野に特化したサービスを開発しており、リサーチからデザイン、ECの販売システム、CRMまで、アパレルのD2Cブランドを運営するための複数のサービスを統合して誕生したのが「スペースシップス」です。

EC事業支援サービス
「スペースシップス」は
コスパと機能を追求

富永:「スペースシップス」で最も重視したのは、機能とコストパフォーマンス。できるだけ多くの機能を盛り込みつつ、使いやすく、かつ低価格で提供することを追求しました。特にECシステムの「コマースドア」の開発に際して工夫したのは、立ち上げ期からでも無理なく採用できること。その一方で、決済、運用、マーケティング、分析などのさまざまな機能を盛り込み、実際には年商数十億円まで無理なく利用できるように設計しました。

西村:サービスや機能については、大きな投資が難しいわれわれのような規模の会社が、自分たちでゼロからD2Cを立ち上げ、運用してきた経験を盛り込みました。必要な機能は事業のフェーズによって変わってきます。立ち上げのフェーズは人もお金もできる限り小さな投資で事業を立ち上げながら、ブランドとしてしっかり差別化をする。一定の購買データが蓄積されたフェーズでは、そのデータを活かした商品開発やデジタルマーケティングを行う必要があります。個人用のECカートシステムだと事業を拡大するフェーズでは機能が足りないが、大手企業が使うようなパッケージのシステムでは時間も費用もかかるので躊躇してしまう。限られた資金で事業を立ち上げ、運営してきた自分たちだからこそユーザーにとって本当に必要なことが分かるのです。

ターゲットは
ブランド立ち上げ期だが、
年商数十億円規模まで対応できる
サービスパフォーマンスを実現

富永:ポイントはブランドの立ち上げ期から使えるサービスであるということ。本当にゼロからECを始めるなら、手軽で安価なECシステムがいくらでもあるが、ある程度ビジネスが大きくなった時の需要に対応できる設計にはなっていない。われわれのサービスは集客から集客後の顧客情報を生かしたステップメールやLINE、SNSなどを活用した適切な販促の運用、使い勝手がよく多機能なECシステムまで、ブランドをインターネット上で運営するための全機能をカバーしているから。極端なことを言えば、この「スペースシップス」があれば、かなり少人数でECサイト、あるいはブランドを運営できます。

西村:「スペースシップス」は、ブランドを事業になるまで成長させたい個人が運営するブランドから、最小限の投資でD2Cブランドを立ち上げつつ、成長の可能性を確認した上で再投資をしたい大手企業まで、幅広いユーザーがターゲットになります。大量生産・大量販売からの脱却、リアルとネットの融合など、改めて言うまでもありませんが、アパレル産業は過渡期を迎えています。その一方で、多種多彩な価値観を提供できる、というのはファッションならでは、アパレルならではの魅力です。「スペースシップス」はそうしたファッションの魅力をビジネスに落とし込む、あるいはサポートする強力なツールになるはずです。

富永:僕らが目指しているのは、あくまでファッションビジネスの魅力を最大化するためのサービス。既存の仕組みを効率化することで、少しでも産業を盛り上げるお手伝いができればと考えています。

自社運営の2ブランドが
展示会&関係者向けの
オンラインセールを開催

 クロス・コミュニケーションが運営する「ショーガール(SHOWGIRL)」「プレイリスト(PLAY LIST)」の2ブランドは展示会を実施する。また、オンラインストアでのセールも行う。概要は以下の通り。

INFORMATION
■「ショーガール」「プレイリスト」展示会

日程:6月28日〜7月4日
時間:平日13:00〜19:00 休日11:00〜19:00
場所:クロス・コミュニケーション
住所:〒163-1424 東京都新宿区西新宿3丁目20−2 東京オペラシティタワー 24F

■オンラインストアセール

日程:6月17日〜7月18日
場所:各ブランドウェブサイト内
クーポンコード:SHOWGIRL/sglp30、PLAY LIST/pllp30
※セール・展示会の詳細ページも「スペースシップス」オフィシャルサイト内のバナーからアクセス可能

問い合わせ先
クロス・コミュニケーション
cc-contact@ml.cross-c.co.jp