
PROFILE: ソ・スギョン/「リリリング」ブランドプロデューサー
少女時代をはじめとするK-POP第1世代から、NiziUなどのZ世代に支持されている現代の人気アーティストまで、数々の著名人のスタイリングを提案し続けてきたトップスタイリストのソ・スギョン氏が新ビューティブランド「リリリング(RRRING)」を始動した。
同ブランド第1弾となるコスメ4品は、5月13日に日本でデビュー。同ブランドは、「ウォンジョンヨ(WONJUNGYO)」や「アンドビー(&BE)」などを手掛けるレインメーカーズが企画・運営を担う。
アパレルではなく、あえてコスメにした理由から、今回アイテムを監修したカン・ダイン=メイクアップアーティストとの役割分担、ブランドに込めた思いや戦略までをスギョン氏に聞いた。
「服だけがスタイリングではない」
ビューティから始動した理由
WWD:「リリリング」のブランドコンセプトについて教えてください。
ソ・スギョン(以下、スギョン):「Kビューティの失敗しない正解」をコンセプトに掲げています。市場にはコスメがあふれ、「何を選べばいいか分からない」と悩むユーザーの声に答える存在を目指して開発をスタートしました。今回はメイクアップアーティストのカン・ダイン氏を共同プロデューサーに迎え、メイク初心者でも簡単にプロの仕上がりがかなうプロダクトを追求しています。
WWD:スタイリストがブランドを立ち上げる場合、アパレルからのスタートが自然な流れのようにも思えます。なぜ今回はあえてコスメを選んだのでしょうか。
スギョン:おっしゃる通り、スタイリストがファッションブランドを立ち上げるのはあまりに王道すぎて、私自身「面白くない」と感じてしまったのが本音です。私の考えるスタイリングとは、単に服をかっこよく着せることだけではありません。頭の先から足先まで、トータルで表現してこそのスタイリング。その中で、最も人の第一印象を左右し、かつ演出しやすい分野こそが「顔」、つまりビューティだと思ったのです。
WWD:まずは顔のスタイリングから完成させる、ということですね。
スギョン:はい。ブランドの根幹はビューティですが、今後はファッションやライフスタイルアイテムも展開していく予定です。あくまで私たちが目指す「トータルライフスタイル」を提案するための基盤として、ビューティを選択しました。
WWD:メイクアップアーティスト、カン・ダイン氏との共同プロデュースという形をとっていますが、それぞれの役割分担を教えてください。
スギョン:私はブランド全体の方向性を決める、「総監督=プロデューサー」としての役割を担っています。一方でカン・ダイン先生には、今のメイクのトレンドや、若い世代に刺さるエッセンスを現場目線で注入してもらっています。
彼女はIVEやNMIXXといった人気K-POPアーティストのヘアメイクを担当しており、現在のKビューティのリアルなトレンドを最も熟知している一人です。「リリリング」は今後も、その時々で最も勢いのある旬のアーティストやクリエイターとコラボレーションしていくような、柔軟で刺激的なブランドであり続けたいと考えています。
WWD:コスメの開発において、スタイリストならではのこだわりはどこにありますか?
スギョン:徹底的にこだわったのは、使いやすさです。「プロが監修した」と言うと、一般の方には「使い方が難しそう」という先入観を持たれがちですが、私自身もそれを望んでいません。開発において、私は「消費者第1号」の目線に立っています。自分が使って少しでも扱いにくいと感じるものは、世に出したくありませんでした。誰もが手にとった瞬間、簡単にプロの仕上がりがかなう再現性の高さにこだわっています。
目指すのは、日本のユーザーにとっての「親しみやすいオンニ」
WWD:レインメーカーズの中でも、メイクアップアーティストのウォン・ジョンヨ(Wonjungyo)氏が手掛ける「ウォンジョンヨ」が人気で、ウォン氏の名前も日本で浸透してきています。スギョンさんはどういった立ち位置を目指しますか?
スギョン:ウォン・ジョンヨ先生が「涙袋メイクの第一人者」としての地位を確立されているように、私はストーリーとキャラクターで勝負したいと考えています。K-POPの黎明期から現在の最前線までをスタイリストとして支えてきた経験を糧に、日本のユーザーにとって、スタイリングの悩みを何でも相談できる「親しみやすいオンニ(お姉さん)」のような存在になりたい。プロとしての確かな知見とプライドを持ちながらも、心理的な距離感は圧倒的に近い。そんな独自のポジションを築いていくつもりです。
WWD:アンバサダーには、デビューしたばかりのK-POP4人組ガールズグループ、Baby DONT Cry(ベイビードンクライ)を起用しました。
スギョン:彼女たちの起用にも明確な理由があります。「リリリング」もBaby DONT Cryも、同じタイミングで誕生したばかりの新人です。ブランドとアーティストが手を取り合い、共に成長していくストーリーを描きたいと考えました。これこそが、私が目指す「親しみやすいオンニ」としてのスタンスの体現でもあります。
WWD:今後の展望を教えてください。
スギョン:「リリリング」を、単なるトータルライフスタイルブランドで終わらせるつもりはありません。今後はYouTubeなどのコンテンツ制作を通じて、新進気鋭なアーティストを発掘し、彼らと一緒にブランドを成長させていくような、クリエイティブなプラットフォームにしていきたいと考えています。常にワクワクするような、新しい提案を日本と韓国の両国から発信します。