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“素肌みがき日本一”に挑むハウス オブ ローゼが「ママバター」を譲受した理由

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ハウス オブ ローゼは今春、ビーバイ・イーからナチュラルコスメブランド「ママバター(MAMA BUTTER)」を譲受した。「ママバター」は2007年の誕生以来、植物由来成分にこだわり、敏感肌にも対応するやさしさと手に取りやすい価格で幅広い女性に支持を広げてきた。ハウス オブ ローゼは今回の譲受を契機に、化粧品事業のポートフォリオ変革を進め、ブランドシナジーを生かした新しい販路や顧客の開拓、プロモーション戦略の取り組み強化などさらなる成長を目指す。

新たな門出を迎える「ママバター」は、10月15日に新ライン“ママバター マイン”を立ち上げ、一段と存在感を高めていく。その“ママバター マイン”を皮切りに、新たに加わったブランドをどのように育成していくのか。川口善弘社長に今後の展望を聞いた。

創業以来の理念「素肌みがき」との親和性

WWD:「ママバター」を事業譲受する決断に至った理由は。

川口善弘ハウス オブ ローゼ社長(以下、川口):「ママバター」は、シアバターをはじめとする自然成分にこだわり、長年にわたり顧客の支持を集めてきた。今回の譲受の背景には、ビーバイ・イーと「ブランドをさらに成長させたい」という思いが一致したことにある。ハウス オブ ローゼが掲げる「素肌みがき」という理念と親和性が高く、新たな成長機会につながると判断した。

WWD:改めて「素肌みがき」とは。

川口:「素肌みがき」とは1978年の創業以来、大切にしてきたミッションでもある。頭の先からつま先までを正しい方法で丹念にみがき上げ、美しく整え、その美しさを持続させることを意味する。単なるスキンケアの枠を超えた包括的な美の追求にある。「ママバター」は今後、われわれの根幹にある「素肌みがき」を表現するブランドとしてお客さまのライフステージやライフスタイルに寄り添う形で、直営店舗以外のチャネルで新たな顧客接点の獲得に取り組む。

WWD:「ママバター」は幅広い世代に支持されてきた一方、ブランド名の“ママ”が与える印象が強い。どのように“ママ”の枠を超えたブランド価値を打ち出そうと考えているか。

川口:“ママ”という言葉は、安心感ややさしさの象徴とされてきた。これからは、その価値を大切にしながら、ブランドを「家族で」「世代を超えて」共有できる存在として再定義する。具体的にはシェアコスメの考え方を強化し、パートナーや子ども、シニア世代まで、誰もが安心して使えるブランドとして打ち出していく。ハウス オブ ローゼにとって本格的に「ファミリー向けケア市場」に参入する挑戦でもある。

新たな販路開拓と顧客層拡大

WWD:ドラッグストアやGMS(総合スーパー)などで展開する「ママバター」が加わることで、新たな販路でのチャレンジともなる。

川口:特にこれまで積極展開してこなかったGMS(総合スーパー)チャネルを新たな成長機会と位置づけている。われわれは百貨店を中心に直営店舗網を築いており、主な顧客層は40〜50代女性だ。一方、「ママバター」は20〜30代の女性を中心に幅広い世代への訴求力を持つ。直営店舗では届かなかった層との接点を広げ、「素肌みがき」の世界観を伝える狙いがある。

WWD:今後の販売チャネルは。

川口:従来の販路を踏まえ、「ママバター」はハウス オブ ローゼ直営店舗では展開せず、卸事業・EC事業に特化した専用ブランドとして育成する。これまで展開していたイオンやイトーヨーカドー、ロフト、ハンズ、ドラッグストアなど現時点では1000店舗弱の取り扱いだが、今後順次広げていく。直営主体だった化粧品事業のポートフォリオを刷新し、多様なチャネル戦略による成長を図る。

WWD:譲受後の組織面での変化は。

川口:「ママバター」の価値を正しく継承するために、開発やマーケティングに携わってきたビーバイ・イーのメンバーが持つ知見を最大限に活用する。同時に、ハウス オブ ローゼが培ってきた卸事業やEC事業のノウハウを掛け合わせることで、相乗効果を引き出す考えだ。大規模な組織再編を伴うのではなく、まずは両社の強みを掛け合わせる“融合型”の体制をとり、シナジーを生み出すことを重視する方針だ。

“ママバター マイン”は
「大人のこだわりケア」を担う新ライン

WWD:ハウス オブ ローゼが手掛ける新ライン“ママバター マイン”はブランド全体の中でどのようなポジショニングを担っていくのか。

川口:“ママバター マイン”は、基本的な保湿ケアにとどまらず、よりパーソナルで上質なケアを志向する顧客層に応えるラインだ。ブランド全体における“進化系”として位置づけられ、トレンド性や高付加価値を求める層に訴求していく。「ママバター」全体が「安心して使えるナチュラルケア」を軸とするのに対し、“ママバター マイン”は「自分らしいこだわりを重視する大人向けケア」という位置づけとなる。

WWD:「ママバター」譲受を経て、ハウス オブ ローゼとして今後どのような成長戦略を描いていくのか。

川口:「ママバター」を化粧品事業における大きな柱として育成し、持続的な企業価値の向上につなげていく。まずは国内市場での基盤を固めたうえで、将来的には海外展開も視野に入れている。「素肌みがきで日本一」という目標に向け、ブランドの成長を加速させていく。

「安心感」から「こだわり」へ
“ママバター マイン”が描く新しい保湿

ハウス オブ ローゼは10月15日、スキンケアブランド「ママバター」の新シリーズ“ママバター マイン”を発売する。新シリーズは、保湿成分としてオーガニックシアバターに加え、抱水力を高めるボタニカルセラミドを配合。化粧水や美容液、クリームなど計5品目を展開し、価格帯は2090円〜2530円とする。

同シリーズは、敏感肌にも配慮したやさしい使い心地を実現。環境負荷の低減を目的に、米ぬかや酒かす、エーデルワイン用ブドウの搾りかすなど食品副産物を再利用した保湿成分やバイオ素材の容器を採用した。オレンジとゼラニウムの精油をブレンドしたフレッシュな香りが特徴。

取り扱いはGMS(総合スーパー)やバラエティーショップ、同社の通販サイトなどで、直営店舗での販売は行わない。「毎日使い続けられる価格と品質を重視した」。

シアバター:シア脂(保湿成分)
ボタニカルセラミド:グルコシルセラミド(保湿成分)
問い合わせ先
ハウス オブ ローゼ ママバター事業課 PR チーム