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ビューティ業界の経営層限定フォーラム「WWDJAPAN BEAUTY LINK」初開催 ナレッジの蓄積を図る

「WWDJAPAN」は9月24日、ビューティ業界の経営層・幹部を対象とした完全招待制フォーラム「WWDJAPAN BEAUTY LINK」(協賛:プレイド)を東京・六本木のBALCON TOKYOで開催した。各社の知見を共有し合うことで業界全体を前進させることを目的に、同じ課題意識を持つエグゼクティブ同士が刺激し合う対話の場を創出。約30人の企業経営者・幹部が参加し、ビューティ業界の有識者によるセミナーなどに耳を傾けた後に、企業の枠を超えた交流の時間を楽しんだ。

【セッション#1】
成熟市場で売れる“理由”をつくる

セッション1では、石橋寧マーケティングアドバイザーと木津由美子ビューティ・ジャーナリストが登壇。日本の化粧品市場の停滞を背景に、女性の感情を理解したブランドづくりの重要性が議論された。石橋氏は、「海外ブランドが日本市場に参入しづらいのは、受け皿となるリテーラーやディストリビューターが減少しているため。結果として市場が内向きになり、女性たちの美意識を刺激するような新しい提案が少なくなっている」と現状を指摘。

さらに、「企業が作りたいものを作っているだけでは売れない。女性が心から欲しいと思える“ワクワク”“ドキドキ”をどう作るかが本質」と述べた。男性経営陣中心の構造に対しても「女心がわからないまま利益重視でスキンケアに偏ると、化粧文化が痩せていく」と警鐘を鳴らした。

木津氏も「化粧品は機能の集合体ではなく、文化の一部。ブランドには、女性が共感できるストーリーと世界観を再構築する責任がある」と語った。

また、海外展開については「現地の女性の肌や色彩感覚を“自分の目で見る”ことが出発点。メイド・イン・ジャパンのままでは通用しない」と両氏が強調した。

【セッション#2】
OMO戦略でつくる次世代の顧客体験

セッション2は、本橋未来アイスタイル 執行役員/販売販促事業ユニット長が登壇し、アイスタイルのOMO戦略を中心に、オンラインとオフラインを融合した新たな顧客体験設計を紹介した。

本橋氏は「@cosmeはメディア、EC、店舗を融合したプラットフォーム。製品データや口コミ、会員情報を生かして“生活者中心の市場”をつくっている」と説明。その上で、OMO(Online Merges with Offline)を「ユーザーを無理に店舗へ誘導するものではなく、生活導線の中で自然につながる体験」と定義した。 続けて「化粧品は“買う瞬間・届く瞬間・使う瞬間”すべてに感情がある。OMOの本質はその感情を設計すること」と強調。

リニューアルした@cosme TOKYOについても、「もっと多くのブランドに出会いたい、試したい、何度も訪れたい――そう感じてもらうための“体験拠点”に進化させたい」と語った。 また、「ユーザーが求めているのは“安さ”ではなく“特別な体験”。ブランド体験会やインフルエンサーイベントなど、感情に響くタッチポイントを拡充していく」と述べ、OMOの次なる進化に向けた方向性を示した。

【スポンサード セッション】
ブランド価値を高めるには?AI時代に求められる人の介在価値

命尾泰造コーセー執行役員 マーケティング戦略部長/コーセープロビジョン 代表取締役と内山正信プレイド セールスマネージャーが「データ活用でブランド価値を高めるには?」をテーマにセッション。命尾氏は「AIやデータが進化しても、顧客が共感するのは“人が設計した体験”。データは人の感性を支えるツール」と語り、CX戦略における人材の重要性を述べた。

また、コーセーが掲げる2030年をゴールに掲げた中長期ビジョン「Vision for Lifelong Beauty Partner 」のもと、グローバル・ジェンダー・ジェネレーションの“3G”を軸に成長戦略を進めていることを紹介した。

プレイドの内山氏も「データ活用の目的は効率化ではなく共感設計」とし、次世代の顧客体験の在り方を語った。

【ネットワーキング レセプション】

全セッション終了後には、食事とドリンクを交えたネットワーキングレセプションを実施。登壇者と参加企業の経営層がブランドの垣根を越えて交流し、次の共創のヒントを探った。

司会はフリーアナウンサーの名越涼氏が務め、終始和やかな雰囲気の中で閉幕した。