ビューティ

千原徹也が描く、アイライナーを取り巻く3つのムービー

 れもんらいふ千原徹也が、資生堂が世界88の国と地域で展開しているブランド「SHISEIDO」と、「ヴィヴィ(ViVi)」「ヴォーチェ(VOCE)」「フラウ(FRaU)」の講談社3誌とコラボレーションを行い、3つの動画を制作した。各媒体の公式サイトで公開されている同作品は、新ジェルアイライナー「インクストローク アイライナー」と「インクストローク アイライナー ブラシ」の発売記念によるもので、藤井サチ(「ヴィヴィ」)、林田岬優(「ヴォーチェ」)、鈴木えみ(「フラウ」)を起用。それぞれの媒体の個性を反映させた作品は、どれも個性的で千原が得意とする“可愛い”が詰まっている。制作の意図と、今の時代を彩る“可愛い”について、千原本人に話を聞いた。

WWD:今回の「SHISEIDO」、講談社3誌とのコラボムービーはすべて、“2つの世界”を描いていますが、どういった意図があったのでしょうか?

千原徹也(以下、千原):アイラインって何種類も描き方があるので、ファッションも含めて2種類以上出したかったんですよ。「ヴォーチェ」は王道のハウツーにしていますが、3つのうち1つはきちんとメイクをしているシーンを見せたかったんですよね。「ヴォーチェ」さんは雑誌的にもハウツーの強さがあるし。王道だけど2つの世界を交錯させて、“切っているけど繋がっている”世界を作り上げたら面白いだろうと思ったんですよね。

WWD:「ヴィヴィ」はアニメーションですね。

千原:3つのうちひとつはアニメーションを使いたくて、「ヴィヴィ」の柔軟性や弾けている感じも意識して、いちばん飛んでいる感じにしました。出演者の藤井さんがすごく可愛い子なので、藤井さんが可愛く映るための発想で進めていったというか。小さい妖精が出てくるイメージは藤井さんを見て浮かびました。

WWD:アニメーションのタッチ等は?

千原:今回はNHKの「ためしてガッテン」でも一緒に仕事をしたことがある竹井千佳さんにお願いしました。竹井さんと組めばうちっぽくもなるし、女の子が可愛いと思うような世界観になると思って。

WWD:「フラウ」の宇宙を舞台にした作品も意外な着想に思えました。

千原:宇宙はわりと最初の方に考えていたんですよね。最初に「インクストローク アイライナー ブラシ」を見た時、ブラシの角度とか、開発者の方たちの考えていることとかを聞いて、すごくNASAっぽいなと思ったんですよ。開発者の人たちのアイデアとか、最新技術を使って作っている感じが。地球上のものではなくて、NASAの研究員が作っているペンのような。なので、このプロダクトが、宇宙にフワッと浮いていると合ってるんじゃないかと思って。

WWD:確かにあのブラシは緻密に計算された設計ですよね。でもその宇宙感を映像化するのは撮影が大変そうです。

千原:撮影大変でしたよ(笑)。大変だったけど面白かった。宇宙のセットを作って。二人の男が鉄の棒を飛脚みたいに持って、鈴木えみさんが座って足だけ映したり。座った鈴木さんの上半身だけ映してフワフワと見せたり。

WWD:それは鈴木さんも大変な……。

千原:演技力が求められますよね。すごくいい演技でした。宇宙人ということで無感情な人を徹底したんだと思うんですけど、それがすごく良かった(笑)。テーマ曲があるんですが、そのテーマ曲にノッてるシーンも宇宙人っぽくて。全体的に手作り感のある宇宙というか、商品もてぐすで宙吊りにしたりして、宇宙だけどアナログ感のある感じになっていて、それがかえっていい雰囲気になったかな。

WWD:そういったアナログ感も含めて、新しい“可愛い世界観”につながった?

千原:資生堂の広告イメージってシャープでスタイリッシュな感じだったんで、(オファーは)意外だったけど、資生堂さんに「千原さんっぽくやってください」と言われて嬉しかったんです。だから逆に、僕らだからこそ出せる世界観でいきました。今の時代SNSがあるんで、可愛いなと思ってもらえるものがあってもいいんじゃないかと思って。

WWD:千原さんは“可愛い”を描くことに定評がありますが、今の時代が求める“可愛い”は何だと思いますか?

千原:女の子同士でキャッキャしている感じというか。今の世の中、大御所の人がメチャクチャいい写真を撮って、メチャクチャいいコピーライトがあっても、SNSの普通の女の子の言葉がバズったりするじゃないですか。昔は広告そのものが事件だったけど、今は普通のインスタの方がバズる。広告を作る側の立場で考えると、今はきついですよ。うちの若いインターンも作品撮りとかで可愛いの撮っていて、若い子たちはみんな、それを可愛いと言っているから。

WWD:その今の時代の“可愛い”を掴むために、千原さん自身が行なっていることは?

千原:僕の世代って地道に修行して技術を学ぶ感じだったけど、今って違うの。昔に比べたら全然修行されていないんだけど、若いってことが才能になっていて、修行を積んできたおじさんたちには全然分からない。でも、その若いという才能を認めることで、コラボできるはずなんですよ、本当は。修行を積んできたわれわれからすると認めにくい(笑)。でも認めて、僕もそっちに乗っかっていけたらと思って。そうするともっと可愛くて新しいことができるんじゃないかな。


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