ファッション

60周年のジュン アシダ 芦田多恵デザイナーが父から受け継いだもの

ジュン アシダ(JUN ASHIDA)」と「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」を手掛けるジュン アシダは昨年、会社設立60周年を迎えた。これを記念して10月には、両ブランド初の合同ショーを東京・新宿の三角広場で開催した。「ブランドの過去と現在を示すショーにしたかった」と芦田多恵デザイナーは振り返る。

「ジュン アシダ」は、アーカイブを盛り込んだコレクションを見せた。「これまでの資料を見返すと、今でも古く感じない服がたくさんあった。父(故・芦田淳デザイナー)のタイムレスなデザインの魅力を伝えたくて、51点中21点をアーカイブで構成した」と芦田デザイナー。

象徴的なアイテムは、ジッパーの開閉で身頃などを取り外し、丈の長さやシルエットを変化できる“ジッパーシリーズ”だ。当時としては珍しいギミックだが、「気分やシーンに合わせて変えられる、父お気に入りのシリーズだった」という。そんなアイテムを、スタイリングの工夫と素材の変更で、トレンド感を盛り込んだ。ジッパーは、途中まで開けて肌見せに応用し、素材は動きやすさを考慮してソフトなものに変更。そのほかのアーカイブも、肩周りと袖周りをコンパクトに調整するなど、日常での着やすさを意識した。ショー冒頭では、冨永愛をはじめとしたモデル5人が白い舞台に立つ演出を実施。これも、当時のオープニングを再現したものだという。

一方の「タエ アシダ」は、グローバルトレンドでもあるデニムアイテムを押し出した。一口にデニムと言ってもその表現は多様で、襟をフリルに見立てたブラウスや、同系色のレースをドッキングしたスカート、騙し絵風のプリントコートなど、実験的なアイテムもあり、芦田デザイナーの飽くなき探究心がうかがえた。

ショーでは、芦田淳氏がデザイナーになるきっかけとなった、中原淳一氏との出会いを描いたCGアニメーションも披露して、ブランドの背景をまっすぐに伝えた。また、音楽プロデューサー小室哲哉やモデルの大平修蔵によるパフォーマンスも行った。

今後のビジョンについて聞くと、芦田デザイナーは「全くわからない」と笑った。「常に“今”を大事にしてきた。振り返れば父もそうだった。今やりたいことと、やるべきことを必死にやるだけ。時代がどうなるかは、誰にも分からないから」。

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