2024年新卒採用の選考が6月にスタートする。水面化で選考を行い、すでに面接を始めている企業もあるだろう。ここでは、5月に「WWDJAPAN DIGITAL」に掲載した記事の中から、学生に読んでほしいものを厳選し、記者のコメント付きで紹介する。面接やビジネス会話のヒントになれば幸いだ。31年ぶりに過去最高の売上高を記録した伊勢丹新宿本店や、社外取締役にユーチューバーを起用したワークマンのニュースなど3本の記事を掘り下げる。
【記事1】
伊勢丹新宿本店の売上高が31年ぶりに「過去最高」を更新した理由
バブル期超えの3276億円
三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店は、2023年3月期の総額売上高(小売業の売上高に相当)が前期比29.2%増の3276億円だった。コロナ禍以前の19年3月期の売上高(2888億円)を400億円近く上回り、1991年度に記録した年間の売上高記録(約3000億円)も更新した。(全文はこちら)
【記者の解説】
売上高3276億円。これは阪急本店の2610億円(同じく過去最高)を大きく引き離し、国内百貨店ではダントツだ。今期の売上高目標は3500億円。このまま青天井に伸ばせるのか?確かに、コロナ前の売り上げを支えていた中国客が未だ半分程度であることを考慮すれば、まだ伸びしろがある。しかし、これまでの都心百貨店の好況は、コロナ禍で旅行ができなくなった国内富裕層が支えてきた部分も大きい。移動がほぼ自由になった今、果たして富裕層消費をつなぎ止められるのか。次の一手に注目だ。(本橋涼介/編集部記者)
ILLUSTRATION:UCA
【記事2】
ワークマンの社外取締役にユーチューバーの「サリーさん」
ワークマンは8日、ユーチューバーでブロガーの「サリーさん」こと濱屋理沙氏を社外取締役に起用すると発表した。6月29日の株式総会を経て正式に就任する。キャンプが趣味のサリーさんは、2018年からワークマンに関する情報をブログやユーチューブで発信してきた。キャンプブログ「ちょっとキャンプに行ってくる。」のほか、ユーチューブのチャンネル登録者は4.3万人いて、ワークマンに関する動画311本の再生回数は1356万回に達する。(全文はこちら)
【記者の解説】
社外取締役とは社内の利害関係にとらわれず、第三者の視点で経営に意見する役職。文字通り会社の外から登用される。欧米では社内取締役・社外取締役に女性の占める割合は30〜40%ほど。一方、日本の上場企業では10%以下と言われており、政府は女性の取締役を増やすよう企業に強く求めている。サリー氏の登用はこの流れを受けてのものだが、ユーチューバー出身は上場企業では初のケースとなった。ただ、サリー氏は4年にわたって同社のアンバサダーを務めてきた。「第三者の視点で経営に意見する」立場にふさわしいか否かは議論を呼びそうだ。(林芳樹/ビジネスデスク)
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【記事3】
ヘアアーティストの京極琉が指名料を16万5000円に改定 国内最高クラスに
ヘアアーティストで、ヘアサロン「サロン リュウ キョウゴク(Salon Ryu Kyogoku)」の代表を務める京極琉氏は5月1日、指名料を16万5000円に改定した(5月1日以前から指名している顧客は改定なし)。料金改定に関して、同氏は「日本美容を世界発信する先鋒役として現状に満足することなく、より一層厳しい目で京極琉をジャッジしていただきたい。そんな熱い思いから料金改定を致しました。日本美容業界の教育のために力を注ぎ、そして日本から世界をリードできるような美容師の教育、商品作りに注力するためにも、1件1件のクオリティーを高めるべく、覚悟とともに料金改定に踏み込みました」と理由を綴った。(全文はこちら)
【記者の解説】
欧米のトップクラスのヘアスタイリストのカット料金・指名料金は、10万円台はさほど珍しくない。しかし日本には“隣を見て料金を決める”といった商習慣があるためか、たとえ飛び抜けて優れた技術を持ったスタイリストでも、+5000円〜1万円が一般的だ。サロンユーザーにとっては嬉しいことのように思えるが、その分多くの顧客がいるため好きな日時に予約がとれない、といったデメリットもある。日本の意識の高いヘアスタイリストたちは、料金水準の引き上げを試みるものの、追従する人がなかなか現れないため、思うように進んでいない状況だ。(中村慶二郎/ビューティサロンデスク)
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