ファッション

ケリング、2035年までに温室効果ガスの排出総量40%削減を目指す

 ケリング(KERING)はこのほど、新たな温室効果ガス削減目標としてグループ全体で2035年までに21年比で40%削減を目指すと発表した。スコープ1〜3を対象とし、サプライチェーン全体に関わるサプライヤーと共に脱炭素化を目指す。

 同社は今年、25年までに排出量を17年比で40%削減する目標を達成した。これまでの原単位(製品1つを生産するためにかかるエネルギー量や温室効果ガス排出量)[IK1] の目標値では、売上金額などの活動量に対する排出効率を算出するため、企業の成長にともなって排出量も増加する仕組みだった。今回設けた総量での目標値は、企業の成長と排出量を切り離して削減を目指すことができる。

 フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)=ケリング会長兼最高経営責任者は、「新たに全スコープで排出総量を削減する目標を掲げた。私たちのグローバルビジネスを真に脱炭素化するには、原単位ではなく総量を用いた目標値が必要だからだ。負荷の絶対値を低減させながら価値創造していくことが、本当にサステナブルな企業が次に挑戦するべき領域だと確信している」とコメントした。

 マリー・クレール・ダヴー(Marie-Claire Daveu)=ケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)兼渉外担当責任者によると、各ブランドに専門チームを配置し、それぞれのアプローチで定められた期間内に40%の削減を目指すという。例えば、特にファッションとファインジュエリーでは廃棄物の処理方法が異なり、それぞれの分野に沿った現実的な解決策を模索し、それを新たなビジネスモデルや価格設定につなげていく。

 「ラグジュアリー部門では、量より質を優先する。製品の品質を向上させることで最終的には価格も上がるが、そうすることで、企業の成長と温室効果ガス排出量削減を両立させる」と話す。達成に向けては、需要予測や原料開発のためのAIソリューションなどのさまざまなシステムの見直しと改良が必要だ。デザインチームは耐久性やリサイクルのしやすさを考慮した素材使いなど、循環性を実装していく。

 同社傘下の「グッチ(GUCCI)」は2月、循環型の商品製造を支援する新施設「サーキュラーハブ(Circular Hub)」を発表した。ダヴーCSOは、ここでの廃棄を出さない製造方法の考案が削減目標の大きな柱になるという。さらに、今後スケールする可能性のある素材の具体例として「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が採用したマッシュルームレザー「エッファ(EPHEA)」や「グッチ」のバイオベースの原料を用いた代替レザー「デメトラ(Demetra)」などをあげた。同社はビトロラボ(VitroLabs)と人工レザーの開発にも取り組んでいる。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2024-25年秋冬パリコレ特集 デザイナーたちからの提案「何気ない日常を特別に」

3月18日発売号の「WWDJAPAN」は、2024-25年秋冬パリコレクション特集です。2月末から3月にかけて約100ブランドが参加して開催されたパリコレを現地取材し、その中で捉えた次なる時代のムード、デザイナーの視点をまとめました。ファッションデザイナーたちから届いた大きなメッセージは「何気ない日常を特別に」。戦争、物価高騰、SNS疲れと私たちを取り巻くストレスはたくさんありますが、こんな時代だ…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。