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米シアトル発ランニングシューズブランド「ブルックス」 技術開発を支える“ブルーライン”の取り組み

 米シアトル発の「ブルックス(BROOKS)」は、1914年創業のランニングシューズブランド。100年を超える歴史を持つ老舗であり、同時にイノベーションにも積極的に取り組んでいる。今やソールに使用することが当たり前になったEVA素材を、1975年に初めてランニングシューズに搭載したのが「ブルックス」であり、防水透湿素材の「ゴアテックス(GORE-TEX)」をランニングシューズに初めて使用したのも「ブルックス」だ。近年では、ランナーが着地する際のかかとのブレを軽減するサポートテクノロジー「ガイドレール2.0」を導入するなど、進化を続けている。

 「ブルックス」の技術開発を支えているのが、“ブルーライン”と呼ばれるチーム。“ブルーライン”は、シビアにタイムを競うエリートランナー向けのシューズを開発し、その機能の一部がより多くの層に向けたインラインのシューズへと落とし込まれる。「最新技術をシューズに搭載し、最初に市場に出すのがわれわれ“ブルーライン”の役割。日々多くのランナーと話し、シューズに求めていること、シューズに背中を押してほしい部分を聞き出して開発に生かしている」と、来日した「ブルックス」のニキル・ジェイン(Nikhil Jain)ブルーライン シニアマネジャーは話す。

 例えば、2022年7月に発売したインラインモデルの“グリセリン20(GLYCERIN20)”は、21年にエリートランナー向けに開発された“オーロラ(AURORA)”をベースにしている。「“オーロラ”には、“DNA ロフト V3”というクッションソールを初めて搭載した。エリートランナーから“オーロラ”に対して寄せられたフィードバックを反映し、幅広いランナーに受け入れられる機能・デザインに落とし込んだのが“グリセリン 20”だ。耐久性にも配慮し、より大量に生産できる工程を採用している」とジェインマネジャー。「われわれは素材や色の選択、設計、機能などあらゆる面で、エリートランナーからファンランナーまで全てのランナーにとってのベストを追求している」と、ジョナサン・ギスバート(Jonathan Guisbert)アドバンスドフットウエア デザイナーも続ける。

 ジェインマネジャーやギスバートデザイナーは来日に合わせて、日本の駅伝ランナーや中距離を専門にする陸上選手、一般のファンランナーからも熱心に聞き取りを行った。併せて、3月5日に行われた東京マラソンも視察。日本ではファンランナーであっても、スピード志向のカーボン入り厚底シューズをはいているケースが多いことに驚いたという。「(タイムを競うのか、完走がゴールなのかなど) “ラン ハッピー(走る喜び)”は各ランナーによって異なる。『ブルックス』はランニング専業ブランドとして、あらゆる志向のランナーのハッピーを叶えるシューズをそろえている」とジェインマネジャーは強調する。

 サステナビリティの面では、「ブルックス」は流通量の最も大きなモデル“ゴースト(GHOST)”をブランド初のカーボンニュートラルシューズと位置づけている。リサイクル素材を使用し、再生可能エネルギーを使用する工場で生産。さらにカーボンオフセットを購入することで、削減しきれない二酸化炭素排出量を補っている。「最も流通量の多いモデルでカーボンニュートラルに取り組んでいるのが『ブルックス』の特徴。エリートランナー向けのシューズであっても、機能重視でサステナビリティはおざなりといったことがないよう、再生素材の使用などにしっかり取り組んでいる」(ギスバートデザイナー)という。

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