ファッション

【9月23日まで無料公開】広がる漁網リサイクル 「ニュートラルワークス.」のリーダーが北海道の漁港で得た感覚とは【海の危機、私たちはどう動く?】

 「WWDJAPAN」7月25日号の表紙で「WWD」のロゴ近くに写る白いセーターは、ゴールドウインの「ニュートラルワークス.」のフィッシャーマンズセーターだ。廃棄漁網のリサイクル糸で漁師のための伝統的なセーターを作るとはしゃれが効いている。開発背景について、大坪岳人ゴールドウイン ニュートラルワークス事業部長に話を聞いた。

 「ニュートラルワークス.(NEUTRALWORKS.)」は、“スポーツライフスタイルで24時間を過ごしたい人たちの、 ココロとカラダをニュートラルに整える”というコンセプト掲げルブランドだ。そしてリサイクル可能な繊維、成長が早い植物を原料とした繊維など環境への負荷をできる限り抑えた素材を「グリーンマテリアル」と呼び、積極的に採用している。漁網リサイクルもその一環だ。

 「グリーンマテリアル」の現状を大坪事業部長は次のように解説する。「ナイロン以外の素材に関しては、リサイクルポリエステルや、オーガニックコットン、天然木材を原料にした『テンセル モダール』などバリエーションがそろってきており、環境に配慮した素材への置き換えに困るというよりも、それを使って“自分たちが思い描けるものが作れるか”がポイントになっているが、ナイロンについてはその一歩手前の段階」。リサイクルポリエステルで似たような風合いは出せても置き換えには至っていないという。

 台湾やイタリアの漁網リサイクル生地も試す中で、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」のディレクターだった4年前に漁網リサイクルを扱う企業、リファインバースと出合った。当初は細番手の難しさなど課題が多かったが、他素材と組み合わせることで可能性を見いだした。11月には、リサイクルウール70%、リサイクルナイロン30%の“毛七”の同セーターとアラン柄カーディガンを発売する。

 他社に先駆けたアパレルへの採用は大きな一歩だが、同事業部長いわく素材選択はあくまで作り手の事情だ。「原料がリサイクルだとして、お客さんからしたら“だから?”となる。環境に悪い素材を使っている方が悪いわけで、逐一説明されてもピンとはこないだろう」。それよりも、北海道で回収して愛知で再資源化して物が作れる、そこが魅力の一つだという。「食卓に上がる魚、それを獲っている北海道の漁業、そこで使われた漁網。それらはお客さんにとって身近に感じてもらえる」からだ。さらに「衣類は捨てるタイミングを着る人が自分で決めるが、漁網は資材であり、定期的に変える必要があるもの。その再利用を“面白いね”と思ってもらい、結果的にお客さんの意識が変わったら意義のあることだ」と言う。

 物性や価格など課題は多い。それらは「たくさん使って初めて安定してくるもの」としつつ、実際に北海道の厚岸漁港へ訪れて見えた別の課題を教えてくれた。「回収現場はめちゃくちゃ大変、一言で言えば面倒くさい仕事だ」。左の写真は自身が撮った回収・分解作業の様子だ。「漁港だけではなく、畑などへ自分は必ず行くようにしている。そういうことはきっとお客さんに伝わると思う」。冒頭のセーターのようなユーモアは漁港という現場で得た感覚とつながっているようだ。


【WWDJAPAN Educations】

【第2期】サステナビリティ・ディレクター養成講座
2022年9月30日(金)開講

 昨年初めて開催し好評を得た「サステナビリティ・ディレクター養成講座」を今年も開講。サステナビリティはこれからの企業経営の支柱や根底となるものであり、実践が急がれる事業の課題である。この課題についてのビジョンを描くリーダーの育成を目的に、必要な思考力・牽引力を身につける全7回のワークショップとなる。前半は各回テーマに沿った第一線で活躍する講師を迎え、講義後にはディスカッションやワークショップを通して課題を明確化し、実践に向けたアクションプランに繋げていく。

 また、受講者だけが参加できるオンライン・コミュニティーでは、「WWDJAPAN」が取り上げるサステナビリティに関する最新ニュースや知っておくべき注目記事をチェックでき、更に講義内容をより深く理解するための情報を「WWDJAPAN」編集部が届ける、まさに“サステナ漬け”の3カ月となる。
講義のみが受講できるオンラインコースも同時に受け付けています。


最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

テーラード一強に変化 2023年春夏のメンズトレンドを徹底分析

「WWDJAPAN」8月8・15日合併号は、2023年春夏メンズ・コレクション第2弾として、パリやミラノなどのコレクション取材から見出したトレンドを一挙紹介します。今シーズンはメンズの一大トレンドだったテーラードの勢いが分散され、変化の兆しが見えました。

詳細/購入はこちら