ファッション

ジャパンメード116年の粋を極めた4シリーズに注目 日本眼鏡のレジェンド「マスナガ」の進化

 日本の眼鏡産業の祖、増永眼鏡の強みは、創業から116年の歴史で培った技術力と普遍的なデザイン性だ。伝統とモダンを融合した独自のモノ作りをさらに進化させた今春の新作が、注目を集めている。

 主力のシリーズは4つ。デザイナーの故高田賢三氏をディレクターに迎えて8年前にスタートした「マスナガ デザインド バイ ケンゾータカダ(MASUNAGA DESIGNED BY KENZO TAKADA)」は、同社の今のクリエイションを象徴するコレクションだ。高田氏は眼鏡デザインに意欲的で、春の新作は生前に残した豊富なアイデアを増永眼鏡のデザインチームが商品化したもの。高田氏が常にこだわっていたのは、ラグジュアリーな眼鏡の表現と日本の伝統文化に対するオマージュ。パントシェイプとクラウンシェイプを合わせた新作のオールメタルフレームは、ダブルフロントリムによって空間を作ることで、日本的な“間”の美学を表現したデザインがポイントだ。

 創業年を冠した「マスナガ シンス 1905 (MASUNAGA SINCE 1905)」は、ニューヨークの代表的な建物の1つであるフラットアイアン・ビルディングからインスピレーションを得たデザイン。全てのパーツを異なるチタン素材で構成した繊細な色のコントラストと、スライド式のヨロイ(フレームとテンプルがつながる部分)にリムロックがドッキングされた新しい機構が特徴だ。

 1933年、昭和天皇が福井県を訪問した記念に献上された3本のラウンドフレームをルーツとする「ジーエムエス(G.M.S.)シリーズ」は、フロントの生地の厚みを計算しながら幅を細く設計することにより、強度を保ちつつ軽量でソフトな掛け心地を実現した。デザインと機能性のバランスが計算された仕上がりだ。

 70年に開催された大阪万博の松下館の企画で使用された“カスタム72”の後継モデルとして誕生した「光輝(KOKI)シリーズ」の新作は、クラシックとモダンを独自の解釈で融合したビッグスクエアのサングラスが代表的だ。熟練の眼鏡職人が丹念に磨き上げて繊細なシルエットを描き出したフロントは、黒の存在感が際立つ。

 増永眼鏡はスイス、アメリカ、マレーシア、香港にオフィスを構え、世界最大級の国際眼鏡展ミド(MIDO)に長年参加して、販売先は世界30カ国以上。売り上げは、海外が国内を上回っている。進化するジャパンメードのクリエイションは、グローバルに評価を高めている。

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増永眼鏡
03-3403-1918