ファッション

「オニツカタイガー」が欧米市場進出に手応え ミラノコレ参加で波に乗る

 「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」は、2021-22年秋冬コレクションを初参加となるミラノ・ファッション・ウイークの公式スケジュールで発表した。同ブランドは欧米市場への本格進出を目指しており、その序章としてアンドレア・ポンピリオ(Andrea Pompilio)=クリエイティブディレクターの活動拠点であるミラノを選んだ。昨年12月にはイタリア初の旗艦店をミラノに開いたばかり。“ブランドシアター”と称する店舗や突き抜けたクリエイション、好調なアジア市場で培った実績を武器に、欧米攻略に向けて動き出す。

“雄大な自然”を
取り入れ快活に

 2021-22年秋冬コレクションは、冬のヒマラヤ山脈がそびえる雄大な自然と1970年代のトレッキング・ハイキングブームから着想を得た。アナログ×デジタルなど相反する2つの要素を掛け合わせたテキスタイルグラフィックが、トラックスーツやダウンジャケット、バックパックに描かれている。屈強なグリップ性に優れたブーツは、険しい山が立ちはだかる現代社会でも、快活に登り切るためのアーバンフットウエアとして提案。ボリューム感がキャッチーなシューズも際立った。

「ミラノで発表することが
夢だった」

WWDジャパン(以下、WWD):ミラノ・コレクションに参加した理由は?

アンドレア・ポンピリオ「オニツカタイガー」クリエイティブディレクター(以下、ポンピリオ):「オニツカタイガー」との協業が始まってすぐにフィレンツェの見本市ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMAGINE UOMO)に出展するなどイタリアでコレクションを披露してきたが、ミラノでの発表は夢の一つだった。イタリア初の旗艦店がミラノに昨年12月にオープンしたタイミングも重なり、今この地でコレクションを発表することは素晴らしい機会だと考えた。

WWD:映像に出演していたパフォーマーは?

ポンピリオ:女性ラッパーのミス・ケータ(M¥SS KETA)、ダンサーのガブリエーレ・エスポジート(Gabriele Esposito)、ウォールアーティストのオズモ(Ozmo)といったミラノで活躍する次世代の表現者たちだ。彼らが出演してくれたおかげで音楽やアート、パフォーマンスの融合という今の世界を見事に映し出せたと思う。

WWD:動画のプレゼンテーションを実施した感想は?

ポンピリオ:パンデミックによりファッション・ウイークはほぼデジタル化されたものの、映像での新しいクリエイティブな表現が発見できてとても面白い。光や音楽、色が混ざり合った映像作品は、リアルのファッションショーや映画館が喚起する感情に近いものを生み出せるはずだ。

WWD:2021-22年秋冬コレクションのテーマを“雄大な自然”にした理由は?

ポンピリオ:「オニツカタイガー」は、スポーツに関わる心身の健康やウェルビーイングが根幹にあるファッションブランドだ。現在の困難な状況下で、誰もが内面のバランスを整える方法を探っている。そこで、“雄大な自然”というテーマにたどり着いた。自然の地を散歩すると、どういうわけか自分自身を見つめ直すことができる。それからヒマラヤ山脈がイメージに浮かび、トレッキングの世界とのさまざまな繋がりを発見した。トレッキングのディテールに加え、冬の真っ只中から春の夜明けまで、山のあらゆる風景からインスピレーションを得た。デザイナー兼アートディレクターの足立豊樹によって描かれた美しいフラワープリントは、花が咲き誇る自然風景に私たちを導いてくれるはずだ。

WWD:8年間の協業を経て、自身に変化は?

ポンピリオ:長いコラボレーションを経て、「オニツカタイガー」はもはや私のDNAの一部になっている。それでも初心を忘れることは決してない。コラボレーションが始まった当初に駆り立てられた創作意欲を今でも鮮明に覚えている。デザイナーにとって、歴史あるブランドで働ける環境はとても刺激的だ。私を深く理解してくれる日本のチームと一体となり、ブランドの歴史と私のアイデアを融合させられることに喜びを感じる。

WWD:欧米での販路拡大において「オニツカタイガー」の強みは?

ポンピリオ:「オニツカタイガー」は日本で誕生したが、国際的なブランドであると私は以前から信じている。快適性やフェアプレー、ウェルビーイングの基盤を築き上げてきたからだ。これらは確実にブランドの大きな強みであり、重要な価値として欧米でもさらに成功させることができるだろう。

イタリア初の旗艦店は
見どころたくさん

 昨年12月にオープンしたミラノの旗艦店は“古今東西”をテーマに、「インテリアをデザインすることが夢だった」というアンドレア・ポンピリオが外装と内装のデザインを手掛けた。店舗面積は227平方メートル。東京とミラノ、二つの核で成り立つ「オニツカタイガー」の象徴的なコンセプトを、“ラボ(研究所)”“日本の黒漆仕様の重箱”“ギャラリー”の3つのスペースで表現している。幅広いラインナップで商品を提供するほか、二つの都市の文化や美学を凝縮し、顧客と共に新たな体験を共有する“ブランドシアター”としての役割も持つ。イタリアや欧米のPRの拠点として、期待は高い。

TEXT:ELIE INOUE

問い合わせ先
オニツカタイガージャパン お客様相談室
0120-504-630