ファッション

「アレキサンダー・マックイーン」新コンセプト旗艦店はサラ・バートンのこだわり凝縮

 「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」は9月4日、新コンセプトを反映した国内初の旗艦店を東京・表参道にオープンした。クリエイティブ・ディレクターのサラ・バートン(Sarah Burton)と建築家のスミルハン・ラディック(Smiljan Radic)のコラボレーションによりデザインされた新店舗は、有機的で洗練された素材使いが特徴的だ。ブランドが大切にする“自然への敬意”をダイレクトに感じられる心地のよい空間が誕生した。

自然素材を不規則かつ
ダイナミックに

 表参道店は売り場面積262㎡。2フロア構成で1階はウィメンズのウエア&バッグ、2階はメンズとシューズを中心にスモールレザーグッズなどのアイテムも取り扱う。森の中にいるような外に広がる景色との一体感を感じる店内では、トーンの異なる木材をメインに自然素材を贅沢に使用。床や壁には、オークやウォルナット、さらにリサイクルコットンに石膏を混ぜたオリジナルの“コットンクリート”などを用いた。異なる素材を不規則かつダイナミックに配した内装からは、サラの曲線美や調和へのこだわりを感じることができる。

 インテリアや什器にも「全ての女性やコミュニティーを尊重したい」という、サラの理念が反映されている。天井から吊るされたマネキンは、さまざまな方向を向いていて、あらゆる角度から美しい服のシルエットを見ることが可能。まるで街行く人々が、日常で「アレキサンダー・マックイーン」の服を着ているのを眺めているような演出が意図的に施されている。

 店内にそびえ立つガラスシリンダーのフィッティングルームも目を引く。内側から吊るされた特注のタペストリーは、2018-19年秋冬コレクションに登場したバタフライや昆虫モチーフに由来するもの。中に入ると包まれているような安心感があり、ゆったりとした気持ちで試着を楽しめる。さらにアクセサリーを置くディスプレーとして「原石を探し出すのに約1年を費やした」という約1トンの巨大な大理石が店内に点在する。素材の粗さを残した加工からは、長い歳月をかけて形成された自然のエネルギーが感じられる。

クラフツマンシップに隠された
最新テクノロジー

 2階のメンズフロアへと続く螺旋状の階段は、照明をあえて少し暗くしてあり、2階に行くまでの時間も特別に感じられるような空間になっている。階段を上りきると、長いトンネルを抜けたような開放感と表参道のケヤキ並木の明るく爽やかな風景が目に飛び込む。

 表参道店のこだわりは、内外装で表現されるビジュアル部分だけではない。ブランド独自の取り組みとして、商品の動線や在庫管理ができるテクノロジーも導入。クラフツマンシップを感じる店舗とそこに隠された最先端のテクノロジーの対比からも、“コンテンポラリーと伝統”というブランドのアイデンティティーを感じることができる。一方で、ブランド全体では、19年から20年にかけて全世界で多数の店舗をオープン。その中でも、日本の高い接客レベルやストックルームの環境美化などは本国からも高い評価を受けている。2面性を併せ持ったブランドのDNAに敬意を表しながらも、サラのイメージを具現化させた「アレキサンダー・マックイーン」は、新コンセプトのストアとともにさらなる飛躍を目指す。

完売・追加入荷が続く人気アイテム

 表参道店では、ウエアからアクセサリーまでをフルラインアップで展開。中でもスニーカーとブーツがドッキングした“トレッド スリック”は、ティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)、BTSのジョングク(Jungkook)が愛用し、女優のエマ・ロバーツ(Emma Roberts)などが着用したことでさらに人気が高まり、即完売・追加入荷が続いている。同店では、メタルハンドルが付いたアイコンバッグ“ザ ストーリー”やショーのキールックとなったドレスなど、最新アイテムを順次チェックすることができる。


INFORMATION
「アレキサンダー・マックイーン」表参道店

オープン日:2020年9月4日
時間:11:00〜20:00
定休日:不定休
住所:東京都港区北青山3-6-1 オーク表参道

TEXT : ANRI MURAKAMI

問い合わせ先
アレキサンダー・マックイーン
03-5778-0786