フォーカス

「セルヴォーク」がファッショニスタに刺さる理由

 マッシュビューティーラボのオーガニックビューティブランド「セルヴォーク(CELVOKE)」は、“今っぽい顔になれる”コスメブランドとしてプロからインフルエンサーまで幅広い層から支持を得る。テラコッタに代表されるトレンド感のあるカラーリングやファッション性の強い世界観でオーガニックコスメの従来のイメージを刷新した。田上陽子クリエイティブ・ディレクター(以下、田上ディレクター)に戦略を聞いた。

WWD:なぜオーガニックコスメの世界へ?

田上ディレクター:以前はPR関係の仕事をしていました。7年勤めた代理店ではゲームやIT、銀行、消費財などさまざまな業界の仕事をしましたが、自分の専門領域を極めたくなったんです。そこで出合ったのがオーガニックコスメでした。消費者として癒やしや効果を実感すると同時に、日本のオーガニックコスメマーケットの狭さに違和感を覚えていました。ある時今の上司でコスメキッチンを創業した椋林裕貴マッシュビューティーラボ副社長と意見交換する機会があり、オーガニックコスメに対する思いを伝えると「じゃあ、うちでやってみない?」と声をかけられました。

WWD:当時のマーケットに足りなかったものとは?

田上ディレクター:世界観の打ち出し方に課題がありました。海外ではミランダ・カー(Miranda Kerr)のようなファッションアイコンがオーガニックコスメをプロデュースするなど一般に広がっていたのに対し、日本でオーガニックコスメはまだ素朴な印象で、ごく一部の層にしかリーチできていませんでした。そこで、2013年に立ち上げたスキンケアの「エッフェ オーガニック(F ORGANICS)」では、オーガニックコスメの間口を広げることを狙い、パッケージなどのデザイン面にファッション性を取り入れ、斬新なブランドとして受け止められました。

2大キーワードは“抜け感”と“こなれ感”

WWD:「セルヴォーク」もファッション性が強い。

田上ディレクター:おかげさまでそう言っていただくことが多くてうれしいです。「セルヴォーク」はメイクのプロと、発信力のあるファッショニスタをターゲットに据えました。従来のオーガニックコスメが獲得できていなかったユーザー層です。おしゃれなインフルエンサーなどからも支持を得て、そのイメージがブランドイメージにつながり相乗効果がありました。

WWD:ファッショニスタに刺さる工夫とは?

田上ディレクター:「セルヴォーク」の2大キーワードは“抜け感”と“こなれ感”。おしゃれな人は何を着てもこなしている感がありますよね。そこに着想を得て、服を着こなすように誰でもカッコよくつけこなせるコスメブランドを目指しました。こだわったのはカラーリングとテクスチャーです。マットだけどウエット感があるもの、濃い色でシアーな発色など、ファッションで言う「異素材ミックス」のような仕掛けを施しました。難しそうに見える色でも日本人の肌に合う色を計算し、誰でも簡単につけこなせます。

WWD:「セルヴォーク」は、アパレル企業傘下が手掛けるモノとしては特に好調だ。その差は?

田上ディレクター:「アパレル企業が出すコスメなんて」と絶対に思われたくなかったんです。最初にスキンケアを出したのは、本気度を見せるためでした。まず美容のプロが認める説得力のある製品で、美容理論の基盤を見せました。ファッション性を打ち出すことに振り切り、メイクもカラーバリエーションを出してブランドの世界観を伝えました。

ユーザーの半歩先を行くモードなブランドを目指す

WWD:今後ファッションブランドと挑戦したいことは?

田上ディレクター:「セルヴォーク」のオープニングパーティーでスタイリストの白幡啓さんとファッションショーをしました。ファッションとメイク、トータルで完成するステージはとても説得力がありました。かなり手応えを感じたので、今後もビジョンを共有するファッションブランドとは何か仕掛けたいですね。

WWD:ビューティ業界とファッション業界はもっと近付くべき?

田上ディレクター:ファッションとビューティは“人”を表現する手法という意味では切っても切り離せません。成分などの詳細に加えて、今後はストーリーや人間像の提案が重要になります。ファッションの力を借りてトータルで提案することで、ユーザーへの説得力も増します。これまでの垣根を超えた提案や発信が増えるとワクワクしますね。

WWD:「セルヴォーク」の今後の目標は?

田上:抜け感やテラコッタなど、「セルヴォーク」が発信してきた新しい考え方が定着してきたので、次のイメージを考えています。目標は、共感や等身大であることを忘れずにユーザーの半歩先を行くモードなブランドであること。常に進化し、お客さまに驚きを与えたいです。

※ファッション週刊紙「WWDジャパン」はこのほど、ビューティ・コンテンツも加えてパワーアップします。第1弾となる9月7日号では、「ファッション×ビューティの可能性」をテーマに両業界を自在に行き来する業界人を特集します。

最新号紹介

WWD JAPAN

2020年春夏、コロナ禍でも売れたものは何だった? 富裕層の高額品消費意欲は衰えず

「WWDジャパン」9月21日号は、「2020年春夏、有力店で売れたもの」特集です。WWDで毎シーズン恒例となっている有力店の商況調査ですが、コロナ禍に見舞われた今春夏は、多くの商業施設が営業を再開した6~7月の期間で消費動向や好調なブランドを調査しました。化粧品、特選、婦人服、紳士服などの9つのカテゴリー別に各店のデータをまとめています。コロナで大苦戦という声が大半を占めると思いきや、こと特選カテ…

詳細/購入はこちら