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特集 2027年春夏東京コレクション

光と肌で表現する“曖昧” 「M・A・C」が手がける「ピリングス」ランウエイメイク

村上亮太デザイナーが手がける「ピリングス(PILLINGS)」が2027年春夏コレクションを発表した。昨シーズンから続く、「landscapes 2」をテーマに、日常の中に残る曖昧な記憶や現実と幻想の境界を描いた。デザイナーがコレクションに込めた世界観や物語を完成させるピースとして、メイクアップも欠かせない。今回は、ランウエイのバックステージを取材し、メイクアップを担当した「M・A・C」の池田ハリス留美子シニアアーティストに話を聞いた。

“曖昧さ”を表現する肌と光のニュアンス

昨シーズンに続き、今シーズンも「M・A・C」がメイクアップを担当した。共通するのは、通り過ぎていく何気ない日常の中に幻想がグラデーションのように混ざり合い、現実と幻想を行き来するようなムードだ。昨シーズンはマットリップをキーアイテムに、かすみがかった風景をイメージしたグラデーションリップでコレクションの世界観を表現した。

昨シーズンのメイクアップ


キーアイテムは輝きが変化するハイライト

今シーズンについて、「現実と記憶、そして幻想の間にある、曖昧な風景が大きなテーマ。メイクでは、現実と幻想が共存するようなムードを肌作りで表現した」と池田シニアアーティストは話す。その世界観を表現するため、光の当たり方によって輝きや印象が変化するハイライトをキーアイテムに据えた。モデルがランウエイを歩く中で生まれる、光の変化による一瞬のきらめきを「現実と幻想の共存」のイメージに重ねた。「『あの人の、あの色はなんだったのだろう』。そんな記憶の隅に残る引っかかりを作りたかった」。
肌は表面をさらりと滑らかに整えながら、内側から発光するような艶を仕込んだ。作り込みすぎないニュートラルな印象に仕上げることで、ハイライトの繊細な表情を引き立てた。

肌作りの調整は本番直前まで続いた。ランウエイのリハーサルでライティングを確認後、ハイライトのカラーを淡いライラックから、深みのあるモーヴに青みラメが輝くカラーへと変更した。「リハーサル後にメイクを調整することは多い。本番のライトの強さや当たり方を見て、ニュアンスがしっかりと見えるカラーに変更した」。ランウエイは特殊な環境だ。演出によってライティングが異なる上、観客との距離も近い。メイクアップも演出の一部として観客の印象を左右するからこそ、肌の質感や光のニュアンスなど、細部までこだわり抜く。

唇に宿した生命感

唇には、艶のあるニュートラルカラー3色を、モデル一人ひとりの個性に合わせて使用した。艶が溶け込むような軽やかな質感のリップが、ウエアの素材感やにじむような色彩と呼応し、繊細な生命感を生み出した。

「現実と幻想の間を表現する上で、細部はカバーしながらも、全体の印象として透け感のある肌作りがチャレンジングだった」と池田シニアアーティストは振り返る。リアルで表現するランウエイショーは、写真や映像のメイクとは表現の方法が異なる。ランウエイショーを数多く手がける池田氏のこだわりとテクニックが詰まったメイクアップは、ウエアやショーの演出と一体となり、コレクションの世界観を彩った。


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