東京、天王洲エリア一帯で本日から10月12日(月)まで開催中の「ミート・ユア・アート・フェスティバル 2026(以下、MYAF)」で、「ニューバランス(NEW BALANCE)」の最新シューズ“990v7”が世界での情報解禁前に、撮影不可という形で世界初展示される。
“990”シリーズの制作資料と
撮影厳禁の最新シューズを展示
「ニューバランス」は「MYAF」のプラチナスポンサーとして協賛しており、本イベントのリーディングパートナー。会場では天王洲運河に浮かぶ船舶内で「ニューバランス メード・イン・USA」と題し、1982年から始まる“990”シリーズ、v1からv6の制作資料やアーティストとのコラボレーションを展示する。この日のために制作されたオリジナル楽曲や香りが会場内に漂い、SNSが全盛期の今、自身の五感で感じる体験ができる空間を演出した。その中で、最新作“990v7”は10月22日の世界での情報解禁を前に、本イベントに来場した人々だけが目にすることができるようになっている。
「ニューバランス」担当者と
「MYAF」共同代表にインタビュー
WWD:今回、「MYAF」で“990v7”を先行公開することになった経緯は。
阪本朋之「ニューバランス」マーケティング本部ライフスタイルマーケティング課マネージャー(以下、阪本):“990v7”の情報解禁を10月22日に控えており、タイミングが合ったこともあるが、「MYAF」とは2年前から、グレーの奥深さやブランドのストーリーを伝える「ニューバランス」のイベント「グレー・デイズ」などを通じて一緒に取り組んできた。以前から、「MYAF」でも何か一緒にできたらという話をしており、今回、ブランドにとって重要な“990”シリーズの新作を発表するタイミングで実現した。来場者にはアートやファッションへの関心が高い方が多い。そうした方々に、「ニューバランス」のストーリーを届けたいという思いがあった。
WWD:「MYAF」は「ニューバランス」との関係をどう捉えているのか。
古後友梨「ミート・ユア・アート」共同代表(以下、古後):私たちは、「ニューバランス」をスポンサーではなく、一緒に新しいカルチャーをつくる共創パートナーとして捉えている。「ニューバランス」の哲学や、プロダクトに対するクラフツマンシップには、さまざまなレイヤーがあり、深い物語性がある。アーティストが作品を生み出す際のこだわりや、作品を読み解くための視点にも通じるものがあり、そこに強い親和性を感じてきた。だからこそ、今回の“990v7”の発表も、単に新商品をプロモーションするだけではなく、“990”シリーズが持つ歴史やストーリーを一緒にひもときながら、アーティストの新しい視点を掛け合わせる企画にしたいと考えた。その方が、双方にとって意味のある取り組みになると思った。
WWD:スポーツとアートには、どのような親和性があると考えるか。
古後:身体を使った表現という点で、スポーツとアートには共通する部分がある。例えば、アートエキシビションのディレクターを務める森山未來さんは、コンテンポラリーダンスを通じて身体表現を追求しながら、アートの領域でも活動している。エキシビションでは、身体を使ったパフォーマンスも実施する。それをアートとして語るのか、スポーツとして語るのか。これまでは、私たちだけでは扱いきれなかったテーマでもある。そこに「ニューバランス」が加わることで、スポーツという切り口を生かしたイベントを一緒につくることができる。今回の協業を通じて、スポーツとアートの接点をさらに広げられると感じている。
WWD:「ニューバランス」はスポーツブランドでありながら、アートやカルチャーとの結び付きも深い。今後、アートを通じてブランドをどのように表現していきたいか。
阪本:プロダクトデザインやものづくりは、アートと非常に親和性が高いと感じ、アプローチには共通するものがある。“990”シリーズも、より良いものをつくるために、まだ改善できる部分があるのではないかと考えながら、次のバージョンへと進化させてきた。試行錯誤を重ねて作品を生み出し、そこにメッセージを込めるという点で通じるものがある。“990”シリーズは、見た目の格好良さだけを追求したシューズではない。ランニングシューズであり、どうすれば快適に走れるか、足の構造や走る際の動きをどう設計に反映させるかといった機能面へのこだわりがある。デザイン、機能、ものづくりの哲学など、さまざまな要素が重なっていることが、プロダクトの奥行きにつながっている。
一方で、メーカーとして機能性やデザインの特徴を説明することはできても、お客さまにその奥にある作り手の思いや、デザインに至るプロセスを伝えるのは簡単ではない。そこで、「MYAF」の視点を通じて、外側から私たちのものづくりを解釈してもらうことに意味がある。今回もアーティストとの協業によって、私たち自身が想像していなかった表現に出合うことができた。そうした発見は、メーカーとしても大きな刺激になる。アーティストの視点を通してプロダクトの価値をビジュアル化することは、お客さまにとっても直感的に理解するきっかけになる。ブランドとカルチャーのつながりをより深く表現するためにも、アートとの協業は継続していきたい。
WWD:来場者に向けて、「MYAF」と“990”シリーズのそれぞれの魅力を伝えるとしたら。
古後:「MYAF」は、アートを起点としながら、スポーツや食、音楽など、さまざまなカルチャーに触れられる場。カルチャーが好きな人たちが、どこから入っても肩の力を抜いて楽しめるイベントにしたいと思っている。アートに詳しいかどうかに関わらず、まずは会場を訪れて自分の感性に触れるもの、何か一つでも心に響くものを見つけてもらえたらうれしい。
阪本:私自身、以前はアートに対して敷居が高いという印象を持っていた。作品の前に立っても、何を感じればいいのか分からないのではないかと思っていたが、実際に「MYAF」に足を運ぶと、カジュアルに楽しめる空間だと感じた。たくさんの作品に触れているうちに、少しずつアートが身近になっていく感覚もあった。「ニューバランス」のストーリーも、長い歴史があり、伝えたいことがたくさんある一方で、初めて知る人にとっては少し難しく感じられるかもしれない。だからこそ、「MYAF」のような場を通じて、ブランドのストーリーをより開かれた形で伝えたい。私たちが大切にしているものづくりの考え方や、プロダクトに込めた意味を、これまで知らなかった人にも知ってもらう。それだけでも、メーカーとして大きな意義がある。開催期間を通じて、より多くの人にニューバランスの魅力を伝えていきたい。