スーツケースブランド「LOJEL(ロジェール)」を展開するLOJELリミテッドと、バッグを中心としたファッション雑貨などを企画・製造・販売するサックスバー ホールディングスは5月12日、「LOJEL」の日本市場でのさらなる販売拡大に向け、株式会社LOJELジャパン(横浜市西区みなとみらい 櫻木隆志代表取締役)を設立したと発表した。
「LOJEL」は1989年に日本で誕生。創業者のチー・チャン・チャン(Chih Chang Chiang)が、“スーツケースやバッグ類の世界を再考する”という思いのもとブランドを立ち上げた。現在は孫であるアンチー・チャン(An Chieh Chiang)がCEOを務め、トラベルアイテムにとどまらず、バッグやキーケース、スマートフォンスリングといった現代のニーズに対応する商品の開発を行っている。
同ブランドの代表的な商品は、フラットトップオープンのスーツケース“CUBO”だ。スーツケースの上面だけ開く構造のため、一般的なスーツケースのように左右に大きく開く必要がなく、狭いスペースでも開閉しやすいことが特徴。「LOJEL」は、このタイプのの開閉機構をもったスーツケースを、世界に先駆けて2017年に発売し先鞭をつけ、人気を博している。また、シェルの50%にリサイクルポリカーボネートを採用し、内装は取り外して洗濯機で洗える仕様。通常使用による製造上の不具合には、10年間の保証が適用される。日本ではバッグ専門店チェーン「サックスバー(SAC'S BAR)」やロフト、ハンズなどで取り扱っている。
「LOJEL」は、サステナビリティにも意欲的に取り組んでおり、事業活動で排出される温室効果ガスを実質的にゼロにする取り組み“クライメートニュートラル”の認証を取得。パッケージからのプラスチック排除や化学物質の使用を抑えた素材開発などに注力するほか、23年に香港の人種多様性憲章に署名するなど、包括的な職場環境づくりにも取り組んでいる。
サックスバー ホールディングスは、1938年に創業。全国で500店舗以上のバッグとファッショングッズの専門店を展開する東京デリカや、バッグとスーツケースの企画と製造を行っているアイシン通商など、5社を傘下に持つ。
LOJELリミテッドとサックスバー ホールディングスは約30年前、アイシン通商がLOJELリミテッドのグループ会社と取引を始めたことをきっかけに関係を築いてきた。91年に当時のアイシン通商の社長が「LOJEL」製品の卸売会社を設立し、また商品開発や販路拡大を通じて、長年にわたり協業してきた。
2019年にスーツケース“CUBO”がヒットしたことをきっかけに、「LOJEL」は、日本をはじめとするアジア太平洋や北米市場で知名度を高め、売り上げも好調に推移している。こうした背景を受け、両社は日本市場でのさらなる販売拡大を目指し、今回の合弁会社設立に至った。
今後LOJELジャパンは、日本国内での路面店やショッピングセンター内への直営店展開を計画しており、26年末までに銀座、表参道、梅田で計3店舗の出店を予定。25年秋には百貨店やセレクトショップでの限定展開からスタートし、こうしたプレミアムゾーンでの販売網の構築を進める。さらに、DtoC(直販)戦略を推進しており、その一環としてECでの販売体制も強化する。