ファッション

オブジェ「アルス」と呼応するジュエリー「ヨカーリス」が登場 アートとファッションで継承する日本の伝統工芸

日本の伝統技術をモダンに解釈したオブジェ「アルス(ars)」とジュエリー「ヨカーリス(JOCALIS)」が登場した。これらブランドを手掛けるのは、ジュエリー・プロダクトデザイナーの一宮由香里と「イウエン マトフ(AEWEN MATOPH)」のディレクションなどを手掛ける二ノ宮和佳子の2人が立ち上げたウィンデザイン(WYIN DESIGN)。同社は、日本の伝統工芸技術を取り入れてモダンに解釈したプロダクトの提案を通して、技術継承に貢献することを目指している。

古の“押引紋様”をオブジェとジュエリーで表現

3月末に中目黒のギャラリーで開催された展示会では、オブジェとジュエリー交えて展示した。ファーストコレクションは、寺院の宮殿の地を作る「宮殿師」という職人と協業し、縄文時代の“押引紋様”に着想源を得たオブジェを制作。一点一点、熟練の職人が木の塊をくり抜き、手仕事で紋様を彫り仕上げたオブジェは、日本古代の美意識を宿し、日本人のDNAに直に伝わってくる力強さがある。木の温もりを生かした有機的なフォームと「宮殿師」の細やかな手仕事を感じさせる美しい作品ばかりだ。これらオブジェの価格帯は3万〜42万円程度で、比較的手に取りやすい価格帯の木製のボールやトレイはほぼ完売。それに呼応するようにデザインされたのが「ヨーカリス」のジュエリー。「宮殿師」が掘り上げた木製パーツを使用したネックレスやイヤリング、木に施された紋様のラインを描くリング、素朴な土器から着想を得たチェーンなどがそろう。素材は、シルバーや18金、天然石、ラボグロウンダイヤモンドなどで価格帯は4万〜25万円程度。オブジェもジュエリーも受注販売する。

日本の伝統工芸に光を当て、オブジェとファッションで表現

「アルス」と「ヨカーリス」のディレクション・デザインは一宮、PRディレクションやプロデュースは二ノ宮が手掛けている。一宮は、「実家がお寺だったため、伝統工芸に関心があり、それを生かせるブランドが作りたいと思った。オブジェとジュエリーをセットで見せることでコンセプチャルな提案ができれば」とコメント。今後は「宮殿師」とのコラボレーションを継続しながら、漆やガラス、水晶などさまざまな伝統工芸の職人と協業していくという。二ノ宮は「ファッションとアート、生活を融合させたいと思った。海外のギャラリーのように、オブジェやジュエリーを共存させて展開したい」と語った。今後は、ポップアップショップの開催や卸、自社ECでの販売を予定しており、海外での販売も視野に入れている。

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