ファッション

未来のハイブランド消費者を育てるデジタルとリアルを駆使した仕掛け作り 坂井佳奈子/「エル・ガール」編集長

 今年1月24日付けで「エル・ガール(ELLE Girl)」編集長に就任したのは、「エル・ジャポン(ELLE JAPON)」に16年在籍した坂井佳奈子・新編集長だ。ラグジュアリー・ブランドに長く携わってきた経験や人脈を活かし、20代全般のより幅の広い読者に向けた“インターナショナル・ヤング・モード誌”を目指す。将来のハイブランド消費者を育てることを見据えた、紙とウェブ、リアルイベントを駆使した360度のメディア戦略とは?

WWDジャパン(以下、WWD):「エル・ガール」編集長を引き受けた経緯は?

坂井佳奈子・編集長(以下、坂井):実は「エル・ジャポン」に在籍していた7年前、「エル・ガール」創刊から2号分の立ち上げに参加しました。そのときにコンセプトや読者層などは一度考えたのですが、以来ガールズ市場にはまったく携わっていなくて。編集長をやってみないかと声が掛かったことに驚きと不安もありました。が、高校3年生の娘が「エル・ガール」の大ファン。私が家に雑誌を持って帰るとすぐに取り上げて、穴が開くほど熟読しています。娘の「やってみたら?」という後押しも、編集長就任を決意した大きな理由です。

WWD:坂井編集長になったことで誌面の変化は?

坂井:ターゲット層を20歳弱から、20代前半~25、6歳に引き上げようと考えています。ここ数年、モード誌のターゲット層が全体的に底上げの傾向にあります。「エル・ジャポン」もコアターゲットは30代前半。20代に向けたインターナショナルなモード誌が減ってきているので、そこをターゲットに打ち出したいです。その世代なら、私自身も「エル・ジャポン」で培った感覚を活かせるのではと感じました。

WWD:具体的にどんな読者が多いのか?

坂井:とても積極的で参加型の読者が多いです。自らをインフルエンサーだと思っていて、ファッション感度が高い若い世代を抱えているのも強み。ブランドからも読者のレベルが高いと反響が大きいです。20代は一般的に購買意欲ややる気がないと一括りにされがちですが、イベントでは編集部スタッフが質問攻めにあうほど意欲的な女子が多いです。

WWD:誌面構成で意識していることは?

坂井:特集ページをさらに増やしていきます。単発ページに収まる情報はオンラインでも見せることができるので、紙ならではの掘り下げ方をした魅力的な情報を増やしていきたいです。

WWD:掲載商品のブランドや価格帯は?

坂井:ファッションページでは、媒体に合うものであれば価格帯を気にせず紹介しています。例えば「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、LAカルチャーやグランジ、ストリートの雰囲気を持っていて、読者もカッコいいと感じてくれる世界観を持っています。「シャネル(CHANEL)」もそう。リアルな憧れブランドは「マーク by マーク ジェイコブス(MARC BY MARC JACOBS)」や「シーバイクロエ(SEE BY CHLOE)」など。ですが10~20年後、若い世代にファッションビジネスを支えてもらうために、海外のトップブランドに憧れを持ってもらうきっかけを作る雑誌でありたいと思っています。なぜこのブランドがこの値段なのか「エル・ガール」の読者は理解できるはず。ブランドの方には、将来的にラグジュアリー・ブランドを購入する可能性が高い読者を抱えていることにポテンシャルを感じてほしいですし、若年層向けのメディア戦略も考えてもらいたいです。

WWD:特に人気のあるページは?

坂井:5月号の人気1位は、セレブスナップ。特にテーラー・スウィフトやカーラ・デルヴィーニュなどが人気です。2位は、「ジーユー(GU)」とのタイアップ別冊、3位は、2ヵ月分のコーディネートを紹介した“着回し60days”です。その他、美容に関する疑問に答えた“ガールの美容常識・非常識“など、ビューティコンテンツは安定して人気が高いです。セレブのトピックスは、「エル・ガール・オンライン」でも反響が大きく、彼女たちがアップするインスタグラムの内容に憧れる“デジタル・ネイティブ”な読者が多いです。フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどSNSを使った発信がすごく好調なので、それを共存させながら、さらに紙の価値を高めていきたいです。月間300万PVのオンラインでは、スマートフォンからの流入が8割と大半を占めています。誌面に掲載したファッションストーリーを動画で紹介するようなユーチューブを使った施策も行っています。

WWD:そのほかのデジタル施策は?

坂井:1番の強みは、ウェブと本誌の編集部がはっきりと分かれていないこと。互いに行き来できるので、オンラインのセレブ担当が掴んだ最新の情報をすぐ誌面に反映することができます。さらに、以前は誌面タイアップとセットで、ウェブに記事を掲載することが多かったのですが、昨年「ナイキ(NIKE)」と8ヵ月かけてウェブメインのタイアップを実施しました。企画と連動して週1回、編集部スタッフと専属ブロガーたちでトレーニングを行ない、最終目的だった名古屋国際女子マラソンに参加。全員が42.195キロを完走するなど、ページを作るだけではない、取り組みも行なっています。

WWD:リアルイベントなどの予定は?

坂井:実は月に1度くらいの頻繁なペースで、ブランドとのリアルイベントを開催しています。編集部のスタッフもイベント慣れしています。昨年までは都内中心でしたが、今後は大阪や名古屋、北海道など読者の多い地方都市でもイベントを開催し、媒体の知名度を上げたいです。7月26、27日には、「エル・ガール」が主催する“大人のビーチパーティ”を葉山のカフェで行なう予定です。ブランドとのタイアップのイベントを多く手掛けてきた私たちが主催したら、読者にどんなことができるかと思い、企画を練っています。すでに協賛したいと言ってくれる企業も出てきて、充実した内容になりそうです。“「エル・ガール」ならこんなことができる”が、今年のキーワードの一つです。

WWD:今後の方針は?

坂井:紙とオンライン、イベントを駆使した360度のメディア発信は、すでに完成していると感じています。これから、次のステップに進んでいく時期だと思っています。また、もっと立体的に発信しなくてはいけないと感じているブランドも増えているので、タッグを組んで新しいマネタイズの形を作り上げていきます。

我が編集部の自慢は?
全員がAKB48を歌って踊れる!

編集部の全員がAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」を歌って踊れること。歓送迎会で人気です。

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