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Kビューティの勢いはどこまで続く? 米国世帯の29%が購入、欧米ブランドの開発競争にも変革迫る

韓国発の美容製品「Kビューティ」が、米国市場で再び存在感を高めている。韓国化粧品の最大の輸出先となった米国では、韓国の美容専門店「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」が独立店舗を開設したほか、化粧品専門店「セフォラ(SEPHORA)」との提携によって取り扱いブランドを拡充。欧米ブランドも韓国発の製品に着想を得た商品を相次いで投入している。Kビューティはどこまで成長するのか。市場関係者やアナリストの間で、その可能性に注目が集まっている。

ボストン コンサルティング グループ(BOSTON CONSULTING GROUP、以下、BCG)のニューヨークオフィスのジェフ・リンドクイスト(Jeff Lindquist)=パートナーは、「Kビューティは、新しいものを発見する楽しさを原動力とするニッチ市場から、世界の美容市場で大きな影響力を持つ存在へと進化した」と語る。「数年前まで、多くの欧米消費者にとってKビューティは、珍しい成分や複雑なスキンケア習慣、オンラインで見つける商品など、目新しいものだった。しかし現在は、美容市場の主流に組み込まれつつある。韓国の化粧品輸出額は2025年に過去最高を記録し、米国が最大の輸出先となった。もはや単なる文化的なトレンドではなく、大きな市場規模を持つ商業的な現象になったことを示している」。

米国世帯の29%が購入
次の成長舞台はマス市場

市場調査会ニールセンIQ(NIELSENIQ、以下、NIQ)によると、米国で年間にKビューティ製品を購入する世帯の割合は29%に達した。前年の23%、2年前の19.7%から着実に上昇している。また、Kビューティ購入者の美容・パーソナルケア製品全体への年間支出額は1234ドル(約19万5000円)で、平均的な購入者を280ドル(約4万4000円)上回る。NIQのアンナ・メイヨー(Anna Mayo)=ビューティアナリストは、「Kビューティはかなり一般化してきている」と話す。「現在の売り上げの大半は、アマゾン(AMAZON)やTikTok Shop、一部のコストコ(COSTCO)、セフォラ、アルタビューティ(ULTA BEAUTY)で生まれている。一方、マス市場の小売りにはまだ十分に浸透していない。ターゲット(TARGET)やウォルマート(WALMART)、ドラッグストアではKビューティの品ぞろえがそれほど拡充されていない。今後、そうした動きが進めば、普及率はさらに加速するだろう」と説明する。

実際、マス市場への進出は始まっている。ターゲットは8月下旬、新たな売り場「ビューティ スタジオ(BEAUTY STUDIO)」の詳細を発表し、Kビューティの取り扱いを強化する方針を示した。導入ブランドには「イクォルベリー(EQQUALBERRY)」「アミューズ(AMUSE)」「カジャ(KAJA)」「ロムアンド(ROM&ND)」「ドクターメラクシン(DR.MELAXIN)」「ピュリト ソウル(PURITO SEOUL)」「ソンブンエディター(SUNGBOON EDITOR)」などが含まれる。衣料品小売りの「オールドネイビー(OLD NAVY)」も、全米展開を進めるビューティ製品の品ぞろえにKビューティの一部商品を加える。ウォルマートも「メディキューブ(MEDICUBE)」などの人気ブランドを積極的に取り扱っている。

美容コンサルティング会社ビュー・フロム 32(VIEW FROM 32)のキャシー・カウマン(Cassie Cowman)共同創業者は、「これらのブランドの価格帯はマス市場の商品と真正面から競合しており、すでにかなり一般化していると感じる。『アヌア(ANUA)』はアルタビューティで非常に大きな販売数量を確保しており、十分な競争力を発揮している」と指摘する。小売り戦略コンサルティング会社WSLストラテジック・リテール(WSL STRATEGIC RETAIL)のウェンディ・リーブマン(Wendy Liebmann)最高経営責任者(CEO)も同意する。「この4〜5年で、Kビューティは美容業界だけでなく、消費者にとっても日常的な言葉になった。ドラッグストアからウォルマート、ターゲット、百貨店まで、幅広い小売業態でその存在を確認できる」。

セフォラ500店舗に19ブランド導入
アルタでも2ケタ成長

今後、Kビューティの浸透はさらに進むとみられる。セフォラとオリーブヤングの提携では、米国内のセフォラ500店舗と公式ECサイト「sephora.com」で、新たに19ブランドを展開する。今後は世界の主要市場への拡大も計画している。参加ブランドには「セルフュージョンC(CELL FUSION C)」「リジュラン(REJURAN)」「トーム(THOME)」「ウェラージュ(WELLAGE)」「ウィップド(WHIPPED)」などが含まれる。価格帯はスキンケア製品が4〜69ドル(約630〜1万900円)、美容機器は最高299ドル(約4万7200円)となる。

アルタビューティのケシア・スティールマン(Kecia Steelman)CEOも、第2四半期決算説明会でKビューティの好調が続いていると報告した。カテゴリー売上高は前年同期比で堅調な2ケタ成長を記録したという。NIQによると、Kビューティのカテゴリー別売上高ではフェイシャルスキンケアが84%を占め、圧倒的な存在感を示している。一方、最も成長率が高いのはヘアケアだ。メイヨー=ビューティアナリストは、「現在、特にヘアケアとボディーケアに大きな勢いがある。この成長が続くか注目している。ヘアケアでは『ドクターグルート(DR.GROOT)』が好例だ。こうした成功がさらに広がるのか。また、米国のKビューティ売上高に占めるメイクアップ製品の割合は現時点で約7%だが、これをどこまで伸ばせるかも重要になる」と語る。

欧米ブランドも韓国発の製品を投入
業界全体の開発手法に影響

Kビューティ製品が急速に米国市場へ流入する一方、欧米企業も韓国発の製品や技術に着想を得た商品を相次いで投入している。例えば、「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」のクッションファンデーション“スキン アフェア ソフト グロウ クッション ファンデーション”(49ドル=約7700円)、「ロレアル パリ(L'OREAL PARIS)」の“インファリブル クッション ファンデーション”(19.99ドル=約3200円)、「レフィ(REFY)」の“ウォーター ブラッシュ リキッド クッション ウィズ セラミド”(24ドル=約3800円)、「ロード(RHODE)」の“グレイジング ミルク ハイドレーティング セラミド フェイシャル エッセンス”(32ドル=約5100円)などだ。

BCGのリンドクイスト=パートナーは、Kビューティの影響力は非常に大きいものの、その存在は次第に見えにくくなっていると分析する。「イノベーションが成功した究極の証しは、消費者がその発祥地を意識しなくなることだ。欧米企業が単純に韓国製品を模倣しているとは考えていない。もっと根本的な変化が起きている。Kビューティを成功に導いた製品設計の考え方が、美容業界全体のイノベーションのあり方に影響を与えている」。欧米ブランドとの競争について、ビュー・フロム 32のカウマン共同創業者は、韓国ブランドが実現する価格に対する価値と商品開発のスピードが、欧米ブランドにとって大きな課題になっていると指摘する。「韓国ブランドの中には、わずか3カ月で商品を開発・市場投入できる企業もある。しかも、他のブランドが実現に苦労する価格帯で販売している。Kビューティが業界全体に与えた影響の大きな部分はここにある。価格に見合う価値をさらに高めるよう、他のブランドに圧力をかけている。スキンケア市場を完全に変革し、その影響はメイクアップやヘアケアにも及び始めている」。

TikTok Shopの上位10ブランド中7つが韓国発

一方、市場調査会社サカーナ(CIRCANA)のラリッサ・ジェンセン(Larissa Jensen)=グローバル・ビューティ・インダストリー・アドバイザーは、Kビューティが美容市場の主流に影響を与えていることは認めつつも、すでに主流になったと断言することには慎重な姿勢を示す。「TikTok Shopでは非常に大きな存在感がある。スキンケアカテゴリーの売上高上位10ブランドのうち、7ブランドがKビューティだ。ただし、TikTok Shopが美容市場全体の売上高に占める割合はまだ小さい」。

ジェンセン=アドバイザーが今後の市場を大きく変える可能性があると考えているのは、セフォラとオリーブヤングのような提携だ。両社は米国での協業を、ニューヨーク・タイムズスクエアにあるセフォラ店舗での特別ポップアップから開始した。オリーブヤングはセフォラとの提携に加え、今年初めに米国初の独立店舗をカリフォルニア州パサデナにオープンした。売り場面積8647平方フィート(約803平方メートル)の旗艦店で、約400ブランド、5000商品を取り扱う。さらに、ロサンゼルスの商業施設「ウェストフィールド センチュリーシティ(WESTFIELD CENTURY CITY)」にも2店舗目を開設した。オリーブヤングによると、カリフォルニア州の2店舗は当初の予想を上回る実績を上げており、合計の1日平均来店客数は2000人を超えている。

ジェンセン=アドバイザーは、韓国ブランドが世界市場へ進出する際の課題として、事業規模の小ささを挙げる。「韓国ブランドの多くは非常に小規模だ。ブランドが世界的に成長し、事業を拡大するには多額の費用がかかる」。その上で、今後の成長を左右するのは企業間の協業だと強調する。「今回、市場を大きく変える可能性があるのは提携だ。実際に、その兆しはすでに見え始めている。セフォラとオリーブヤングの提携を考えれば、企業買収や共同商品開発、さまざまなパートナーシップにつながる可能性がある。Kビューティが持つイノベーション力と、大手ブランドや主流ブランドが持つ事業規模、流通網を組み合わせることができる企業に、大きな成長機会が生まれるだろう」。

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