「サカイ(SACAI)」は10月5日、パリ・ファッション・ウイークで1年ぶりにウィメンズのショーを開き、2027年春夏コレクションを発表した。阿部千登勢が今回考えたのは、「私たち自身も含め、人の内側にある良い部分も悪い部分も表現すること」。「『サカイ』は男性的なものや女性的なもの、ドレス、ストリートなど全部をミックスして、人の多面性を表現してきた。今回は、フェイクのプリントも加えることで、人の良い部分だけでなく、そうでない部分も含めて全部人間だからいいと思っていることを示したかった」と話す。その言葉通り、人間のありのままの姿を映すように「強さ」と「もろさ」が共存するスタイルがそろった。
「フェイク」を取り入れた新たな表現
ファーストルックは、ミリタリーウエアのデザインをノースリーブのジャケットとマーメイドヘムのスカートで再解釈したエレガントなセットアップ。肩にはエポレット(肩章)の代わりに、先のメンズコレクションでもシャツの襟元などに見られたタッセルをたっぷりとあしらっている。その後も、ミリタリーだけでなくレザーのライダースジャケットやテーラリング、デニムなど「サカイ」らしいユニホームやワードローブの定番を軸にコレクションを展開。大胆な切り込みを入れたり、垂れ下がるジュエリーのような装飾を加えたりすることで、ルックに動きと華やかさをもたらしている。
今回新鮮だったのは、阿部の言葉にもあった「フェイク」の要素。ファーライクな素材やビジュー、ケーブルニットを実際に取り入れつつ、それらを模したプリントも多用した。また、外側にシアー生地を用いることで内側の構造や柄を透かして見せるデザインも豊富。ラペル部分を2枚に切り開くように仕立て内部をあらわにしたテーラリングやランプシェードのように広がるブルゾン、ユニークな形状で仕上げたボリュームのある袖など、近年注力してきた服の構造やフォルムの探求も続けている。
「MOMENT OF BECOMING」に込めた思い
そんな今季のキーワードは、「MOMENT OF BECOMING(何かに変わりゆく瞬間)」だった。それはカレッジTシャツ風のグラフィックとして登場したが、阿部はその言葉を選んだ理由を「フェイクなこともいっぱいある中、自分たちも世の中も変わる瞬間を表現したかった」と説明。では一体、「サカイ」は何になろうとしているのだろうか?彼女は「内緒だけど、常に前を向いていたい。まだまだ進化します!」と力強く答えた。確かなのは、これまでもそうだったように歩みを止めず、まだ見ぬ景色を求めて挑戦を続けていくということだ。