ヨーロッパでも熱波が当たり前の存在になりつつある今、多くのブランドはエレガンスを維持しながらの酷暑対策に取り組んでいる。Tシャツにハーフパンツ、サンダルという装いだでは無粋だし、つまらないし、洋服は売れない。いかに薄くて、軽くて、涼やかな洋服を生み出し、それらを組み合わせてどんなスタイル作るか?が、各ブランドの挑戦と化しつつある。
感じたり、感じなかったりの
空気の概念を実用的なスタイルに
そんな中、「エルメス(HERMES)」のナデージュ・ヴァンへ(Nadege Vanhee)は、「空気」を捉えようとした。彼女は、「空気は感じられることもあれば、感じられないこともある。その概念を実用的なシルエットに落とし込みたかった」と語る。
デザインの出発点は、パーカだった。機能的ではあるが、そのままでは「エルメス」らしいとは言えないパーカを、ナデージュはシアーな素材や薄くすいたレザーに置き換え、適度なボリューム感で、ときには丈を長くして、軽やかなドレスやスカートに変身させた。背中には横切るように、腕には沿うようにファスナーが走っている。ファスナーをあけると、中からはときに身頃より薄い生地が現れ、モデルが歩くと「空気」を捉える。
レザージャケットには、シーリングファンの長く細長い羽根から着想を得たという、風を切るようなプリーツをあしらった。得意のボディコンシャスでスポーティなヘルシーウエアは、シルクメッシュで。細くカットしたレザーを貼り合わせる。こちらは「空気」を捕えるのではなく、逃がすようなイメージ。空気が自由に通り抜けていくような軽やかさが感じられる。
「エルメス」のスカーフ“カレ”が
ビーチリゾートにも使えるブラトップに
多くのブランドで登場したブラトップは、シルキーなニット素材で作るバンドウタイプ。その上には、ときに「エルメス」のシルクスカーフの“カレ”を胸元で交差させながら巻きつけた。空気を捉えてきたスカーフが、真夏のビーチリゾートにもふさわしいトップスに変化する。そして今季用いたスカーフの柄は、扇。空気を優しく体に向かって送り、一服の清涼感を得るための道具を描いたアーカイブから拝借した。
カラーパレットにはヒマワリのイエロー、チョコレート、そして「エルメス」を象徴しつつ日の入りを思わせるオレンジを差し込んだ。こちらは清涼感というより、夏に爆発するエネルギーを思わせる。
アクセサリーもまた、暑い季節にふさわしいものだ。サイドにステッチを施したフラットなレザーブーツや、素足にストラップを巻きつけるカプリスタイルのサンダルなど。バッグでは、フィッシュネットのディテールをあしらった小ぶりのバケットバッグが登場した。