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世界的振付師RIEHATAがカラコンを初プロデュース 新ブランド「OH」誕生秘話

カラーコンタクトレンズの輸入・製造・販売を手掛けるANWは、世界的ダンサー・コレオグラファーのRIEHATAプロデュースによる新ブランド「オー(OH)」を立ち上げた。ブランドオフィシャルサイトと、自身が主宰する東京・渋谷のダンススタジオ「SPACE LOV3(スペースラブ)」に併設するカフェ店内、ドン・キホーテの店舗で販売する。圧倒的なスキルとパワーで世界各国にファンを持つRIEHATAは、唯一無二の表現力でダンサーの地位向上に貢献するだけでなく、アパレルブランドとのコラボアイテムは即日完売、全編本人プロデュースによる書籍は重版、2021年からは活動の場を歌手にまで広げるなどマルチな才能を発揮している。新ブランド「OH」は、RIEHATAが長年愛用してきた特別なアイテムだというカラコンの理想を追求した。初プロデュースへの思いを聞いた。

「カラコンは私のスタイルの一部」

WWD:カラコンブランドをプロデュースすることになった経緯は?

RIEHATA:実は、カラコンのプロデュースは以前からの夢だったんです。昔、ダンスの大会に出ることになり初めてカラコンを着けてみたら、「え?これが私?めっちゃいいじゃん!」ってうれしくなっちゃって(笑)。瞳の色が違うだけで、こんなにも変身できることに衝撃を受けたんです。それが印象的で、そのときのステージはよく覚えていますね。それ以来、“カラコンを着けた私がRIEHATAだ”というくらいに、自分のスタイルの一部になっています。カラコンと一言で言ってもカラーやデザインはメーカーによってさまざま。なので、一度「これだ!」というものを見つけるとヘビロテするのですが、廃盤になったりするとすごく困って。似たようなカラーやデザインのものをまた探して、というのを長年繰り返してきました。「自分に似合う」カラコンの方程式が自分の中であるので、探してもないなら自分で作るしかないなと。

WWD:自身にとっての理想のカラコンとは?

RIEHATA:昔、私が衝撃を受けたように、カラコンを着けるとガラッと印象が変わると思うんですけど、それが自然に見えること。「カラコン着けてます」って感じに見えないくらいなじむのに盛れてる、そんなデザインが理想です。

ブランド名には“いちず”の意味も

WWD:ANWとのタッグについて。

RIEHATA:これまでも「カラコンを作りませんか?」といろいろなメーカーからオファーをいただいていたのですが、自分のこだわりが強過ぎて実現には至らなくて(笑)。瞳って見る人に与える印象が強いので中途半端にしたくなかったんです。日本人の瞳になじむようにデザインにも着け心地にも妥協できず、気付けば4年も掛かってしまいました。ANWは私の理想を尊重してくださってありがたかったです。仕事の一つではあるのですが、毎回の打ち合わせがすごく楽しみだったんですよ。レンズのサンプルやパッケージが届いたり、写真の確認をしたり、私にとって夢がかなうプロセスだったので、仕事ということを忘れて夢中になって打ち込みました。やっと皆さんにお届けできてうれしいです!

WWD:「OH」というブランド名に込めた思いは?

RIEHATA:世界中の誰が聞いても分かる名前で、一度聞いたら忘れないインパクトのあるものにしたかったんです。鏡で自分を見て「OH!」となったり、学校や職場で会った人に「OH!」と思ってもらえたり。「OH!」となる瞬間が、人生にもっと増えたらいいなと思って。平凡な日常でも「あなたの人生はそのくらい素晴らしいんだよ」ということを伝えたくて「OH」にしました。それから、ダンサー、そして人としてのポリシーがブレないという、信念を貫く心を表現したくて、いちずという意味の「One Heart(ワンハート)」の頭文字のダブルミーニングになっています。製品を使う皆さんも「OH」にいちずになってもらえたらと願っています。

「誰でも似合うデザイン」を目指して

WWD:デザインで特にこだわったポイントは?

RIEHATA:ユニセックスで楽しめることは絶対で、誰が着けても自然になじんで盛れる色とデザインにこだわりました。男の子はバチッと決まるような印象。女の子はチャーミングな雰囲気に。そのために、華やかさと瞳へのなじみ具合の絶妙なバランスを狙って作りました。私は顔が濃い方なので、着けるカラコンによってはやり過ぎ感が出やすいのですが、ヒップホップ女子でも上品さは失いたくなくて、洗練して見えるように試行錯誤を重ねました。

WWD:4色のレンズ、それぞれのポイントは?

RIEHATA:日本人の瞳に違和感なく自然になじむグリーンとブルーは、絶対に作りたかったです。日本人で元々グリーンやブルーの瞳の人っていないじゃないですか?だからどうしても“カラコンを着けてる感”が出ちゃうんですよね。そこで、グリーン系の“キウイ”にはオレンジを混ぜてオリーブっぽいニュアンスに調整し、縁をギザギザにすることで瞳とのなじみを良くしました。ブルー系の“シャイ”はネイビー寄りだけど水色を混ぜて透明感を足して。中央にオレンジを少し入れると黒目が茶色っぽく見えるのでブルー系でも驚くほど自然に見えます。“ベーグル”は、すっぴんでもナチュラルに盛れるという、私が長年追い求めてきた色を作り上げました。「元々そういう瞳なのかな?」と思うくらい自然になじむ自信作です。“リズ”はクールなニュアンスのシルバーグレー。私は普段、ベージュ系を着けることが多いですが、ナチュラルな分、ステージ上では少し物足りなさを感じることがあるので、ギアを上げたいときにガラッと印象をチェンジできて便利です。

WWD:パッケージデザインやビジュアルもディレクションしている。

RIEHATA:カラコンのパッケージって、インパクトがある方が手に取りたくなるんですよね。使うたびにテンションが上がるし、また買おうという気持ちになる。だから、レンズだけでなくパッケージのデザインやブランドビジュアルもかなりこだわって作りました。私がディレクションするからには今までにないものを作りたかったので、ストリート要素とかポップな世界観を盛り込みました。カラコンブランドは普通、カラーバリエーションがある場合でもパッケージは一つというブランドが多いのですが、パッと見てそれぞれの色の世界観が分かるように、4色とも全く異なるパッケージにしています。

「ダンスを決めるのは瞳に宿る力」

WWD:パフォーマンスのときに最も大事にしていることは?

RIEHATA:目力ですね。目ってうそをつけないんですよ。どれだけスキルがあっても、目に光が宿っていなければ情熱を感じない。どれだけ「その人に届けたい」と思っているかの熱量って、目を見れば分かるから。反対に、ダンスのパフォーマンスをミスしたとしても、その人の目が輝いていればすごく頑張ってるのが伝わる。今は世界中どこにいても、自分の姿を動画とかSNSで届けられる時代になったじゃないですか。だから私は、遠く離れている人たちにも熱量を届けるために、目力をとても大切にパフォーマンスしています。弟子たちからは「RIEさんに見つめられると宇宙に吹っ飛ばされそう」と言われるくらい目力に謎のパワーがあるみたいですけど(笑)。瞳って人間性とかパッションが表れると思っています。

WWD:メイクをする上でこだわりは?

RIEHATA:意外に思われるかもしれませんが、普段はほぼすっぴんなんですよ。仕事のほとんどが振付師としてダンスを教える裏方の仕事だから、そんなに化粧しなくてもいいというか。汗もいっぱいかきますしね。10年くらい前から男性グループや男性アーティストの振り付けするようになったんですが、当時は女性の振付師は珍しかったんですね。男社会の中で勝つために、「男にならなきゃいけない」と思っていました。実力だけで振付師をしていることをアピールするために、メイクをして現場に行くのをやめたんです。女であることを忘れてほしくて、めちゃくちゃボーイッシュな格好をしていました。それでもカラコンだけは手放せなかったですね。今振り返ると自分が可哀想な気もするけれど。もちろん今は女性の振付師が当たり前に活躍するようになって、いくら化粧をしても誰も何も言わない時代になりましたけどね。そんなこともあって、メイクのこだわりは正直あまりないんです。でも、内側からにじみ出るものってメイクでは取り繕えない。内面が健やかだと肌や顔つきにも絶対に表れるから、性格を良くすることやうそをつかず正直に生きることがかわいくなる秘訣なんじゃないかなって思います。

WWD:今後「OH」で挑戦したいことは?

RIEHATA:製品が完成した瞬間に「新しい色を作りたい!」と思ったくらい既に新色の構想はできています(笑)。第1弾の4色は私のポリシーや理想を形にした色。第2弾を作るとしたら、普段カラコンを着けない人がナチュラルに盛れるものを作りたいですね。それから、せっかく「OH」を作ったのでいろんなダンサーやアーティストに使ってもらって、盛れてる姿をたくさん見たいし発信もしたい。ダンサーRIEHATAらしく「OH」の魅力を広げていけたら最高ですね。

SPACE LOV3/LOV3 CAFE

住所:東京都渋谷区神南1-17-11 ガーデンキューブ渋谷神南1階
営業時間:12:00~21:00(平日)、11:00~21:00(土日)

TEXT : NAOMI SAKAI
問い合わせ先
ANW
0120-344-240