「アディダス(ADIDAS)」は5月30日、パフォーマンスランニングシューズの最新モデル“アディゼロ アディオス プロ エヴォ2(ADIZERO ADIOS PRO EVO 2以下、エヴォ2)”を発売する。同モデルの前作で、2023年に発売した“アディゼロ アディオス プロ エヴォ1(以下、エヴォ1)”は、24年の世界6大マラソンの男女優勝者の半数が着用し、国内では25年1月の箱根駅伝で最も履かれたシューズ。既に“エヴォ2”も、4月のロンドンマラソン男子でケニアのセバスチャン・サウェ(Sebastian Sawe)選手が着用して優勝するなど、結果を出している。
軽量性はそのまま、
エネルギーリターンを向上
現代のランニングシューズ開発のキモはミッドソールだが、“エヴォ2”はブランド独自の低密度高反発素材をベースにした次世代フォームテクノロジー“ライトストライク プロ エヴォ”を、“エヴォ1”に比べ前足部に3ミリメートル増量。これにより、5%のエネルギーリターンの向上を実現した。
厚底のカーボンプレート入りシューズは、一般的に200グラム前後が中心と言われている。しかし、“エヴォ2”はミッドソールがより分厚くなっているのに、重量は片足あたり138グラム(27.0センチ)と“エヴォ1”から変わっておらず、引き続き軽量性が光る。軽さの実現の裏には、アウトソールのリキッドラバーで不要な部分を削ったり、シューレースのアイレットを減らしたりといった努力が詰まっている。前作から変わらない8万2500円という価格は、1足の半分はマシンメイド、半分は手作業で1つ1つ手間をかけて作っているがゆえだ。
「イノベーションを続けることで
ブランドの影響力が強まる」

PROFILE:伊ボローニャ出身。大学で機械工学を学んだ後、世界的消費財メーカーで18年間勤務。さまざまな勤務地・ポジションで、製造からサプライチェーン、マーケティングまで幅広い経験を積む。2018年からアディダスに勤務、現在はグローバルランニング部門のリーダーとしてアディダスのランニングビジネスを統括。サッカー経験者であり、あらゆるスポーツの大ファンでもある
「“エヴォ1”への期待は元々大きかったが、想像以上のスピードで支持が広がった。発売して2年間、販売のたびに売り切れが続き、このシューズでの世界新記録も多数出ている」と、アディダス ランニングのアルベルト・ウンチーニ・マンガネリ(Alberto Uncini Manganelli)グローバルジェネラルマネジャーは手応えを語る。限られたアスリート向けのスーパーシューズの話は自分とは関係ないと感じる読者もいるかもしれないが、「パフォーマンス製品のトップ領域でイノベーションを続けることが、マスランナーにも、ランニングをしない層にも影響を与える」とアルベルトGMは強調する。
実際、“エヴォ1”のデザインにインスピレーションを得て開発し、24年11月に発売したトレーニングシューズ“アディゼロ エヴォ SL”は「マスランナーに支持されているだけでなく、特に米国では、街履きのライフスタイルシューズとしても人気となっている」とアルベルトGM。「トップパフォーマンス領域でイノベーションを続けることで、ブランド全体としても影響力が強まる」という。スニーカー市場一般を見ても、確かに今は、パフォーマンスシューズとして確固とした力のあるブランドが、ライフスタイルシューズとしても売れるようになっている。
世界新記録生まれたレースも開催
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「アディダス」は21年から、“ロード トゥー レコード”というランニングイベントを、独ヘルツォーゲンアウラッハの本社内で毎年開催している。25年は“エヴォ2”のお披露目を兼ねて実施し、世界中から集まったアスリート約140人が、10キロ、5キロ、1マイル(約1.6キロ)走などに参加した。女子10キロではケニアのアグネス・ゲティチ(Agnes Ngetich)選手が29分27秒で世界記録を更新。ほか、年齢別や国別などで計11の新記録が出たという。日本からは、青山学院や國學院、創価など、「アディダス」がサポートする大学陸上部メンバーが参加した。
アスリートのレースだけでなく、卸先専門店やランニングコミュニティーメンバー、メディア関係者、地域住民、社員らが参加するファンランイベントも実施。“ロード トゥー レコード”は、ランニングを通してステークホルダーが一つになる場であり、ブランドへの愛着を改めて感じる場として機能している。
ブランドの歴史や強みを多面的に発信
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“ロード トゥー レコード”に合わせて世界中から集まったメディア関係者やランニングコミュニティーメンバーに向けては、本社内のアーカイブルームツアーや、運動時の人体データ計測などを行うR&D施設の公開、アスリートのトークイベントなども開催。ブランドの歴史や製品開発の強みを多面的に伝えた。
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