ファッション

「ソレル」がニューヨークでポップアップを開催 キーパーソンが語る戦略と展望

シェルブーツの原型を生み出したとされるカナダ発祥の「ソレル(SOREL)」がニューヨークのブルックリンで期間限定のポップアップストアをオープンした。生誕50周年を迎えるブランドのアイコンモデル“Caribou(カリブー)”にフォーカスし、ブランドのテーマカラーでもあるオレンジ一色に染まったポップアップストアとブランドの今後の展開についてリポートする。

ブランドのヘリテージに焦点を当て、
新たな市場開拓を目指す

ーー今回、ニューヨークでポップアップを開催した意図は?なぜ会場をブルックリンにしたのか。

ナタリー・ヘイズ =ソレル ヴァイス・プレジデント(以下、ヘイズ):一年前にニューヨークでイベントを開催し、ニューヨークの賑やかな雰囲気や人々に感化された。ブルックリンは多くのアートやファッションを発信する地でニューヨークの中でも、他のエリアとはまた違ったバイブスがある。そこで新たなコミュニティを見つけたかった。特にポップアップを開催したウィリアムズバーグは話題のショップも多く、それを求めにくる人々がいる。いつもウィリアムズバーグで何かが起こっているので、我々もいい機会を得られると思い、この場所に決めた。

ーー実際にポップアップストアを見た際の感想は?

ヘイズ:オレンジ色のポップアップストアはとても目立つし、興奮した。オレンジは60年代からのブランドカラーで大切な色であるうえ、今年のトレンドカラーのひとつ。通りかかったら、「これ何?」となるでしょう?今回は
ポップアップを通して“Caribou”の50周年の誕生をフックに、「ソレル」のヘリテージを伝える場を兼ねている。“Caribou”があったから「ソレル」が有名になったと言ってもいい代表的なモデルだし、だからこそ長年のブランドカラーであるオレンジがポップアップにとって重要な要素となっている。

ーーポップアップで期待される成果は?

ヘイズ:広告やデジタル広告でのマーケティング手法とは異なり、ポップアップストアを開催することで対面でお客さまと接点を持ちたかった。ポップアップは店頭でお客さんと接点を持てるだけでなく、店頭のお客さんをはじめ、今回のオープニングイベントに来てくれたインフルエンサーやセレブリティが「ソレル」を拡散してくれることで私たちのメッセージを多くの人に伝えてくれている。現在私たちは店舗がないのでポップアップはテストマーケティング的にも有効かつ、皆が情報を発信してくれることで広告効果にも繋がっている。

ーー今後、どのようにブランドを成長させていくのか?

ヘイズ:「ソレル」が持つヘリテージをもっともっと伝えていきたい。Z世代の顧客たちは伝統やストーリーを持ったブランドを好み、そうでないブランドを好まない。今後は「ソレル」のヘリテージを伝える際にもっと「ソレル」独自のヘリテージやストーリーを活用して、ブランドが誇る技術面をアピールしながら、将来的にはライフスタイルブランドとしても成長させていきたい。今まで通りウィメンズの商品には力を入れながら、今後はヘリテージという武器を使ってメンズを拡大させていく。

ーー「ソレル」のヘリテージとは具体的に何か?

ヘイズ:まず第一に機能性が挙げられる。ウェッジソール、ヒール、スニーカーなど、どんなモデルでも暖かかったり、防水効果があったり、耐久性のあるラバーソールだったり、真の機能性を兼ね備えている。「ソレル」はそこにデザイン性を加え、他にはない商品を作り出している。今回アメリカでユーザーヒアリングを行った際も、雨の日に雨用シューズと、晴れたときに履くためのデザイン性のある靴の2足持ちにうんざりしているという声が多かった。「ソレル」のシューズはデザイン性もありながら雨から足を守ることができ、1足だけで完結することを伝えることができる。

ブルックリンの
ウィリアムズバーグに
初のポップストア

初のポップアップストアは10月13日から22日までの期間中、ブルックリンのウィリアムズバーグで開催された。外観からオレンジ一色に染まったキャッチーなポップアップストアがオープンしたのはブルックリンのウィリアムズバーグ地区。マンハッタンの対岸にあり、アクセスも良く、トレンドを牽引するブランドがショップを構える話題のエリアだ。

近年ではブランドのヘリテージを守りながらタウンユース向けの幅広いモデルを発表している「ソレル」だが、ポップアップではブランドのアイコンモデル“Caribou”をモダンに再考した「Caribou, I Love You」のコレクションを発表した。頑丈なラバーソールや筒部の防水加工、取り外せるフェルトのインナーブーツなど、マイナス40度の極寒の地でも耐えられる機能性は、50年以上にわたり信頼されてきた”Caribou”そのままに、シルエットをスリムにしてアップデート。普段のコーディネートに取り入れやすいレースアップブーツとして提案する他、クロッグ、サイドゴアブーツなど8モデルが店頭に並んだ。鮮やかなオレンジを効かせたモデルはコーディネートのポイントになりそうだ。他にもウィリアムズバーグ限定モデルとして、女優で歌手のクロイ・ベイリー(Chloe Bailey)とのコラボレーションモデルも発表。このモデルはブーツのシューレース部分にカスタマイズでチャームを付けられるなど、遊び心に富んでいる。

ポップアップオープンの前日に行われたオープニングイベントには「ソレル」を着用した多くのゲストが訪れ、トレンドのスタイリングに合わせた「ソレル」のブーツを披露した。パーティーのドリンクもオレンジで統一され、オレンジ色の特製マグにはその場でゲストの名前をアーティストがペイントしてくれるサービスや、トレンドのトゥースジェムが体験できるコーナーもあり、多くのゲストがイベントを楽しんだ。

また、ニューヨークではブルックリンのポップアップストア以外にも百貨店の「ノードストローム(NORDSTROM)」でもポップアップスペースを展開し、盛り上げを見せていた。

オープニングイベントには
多彩なゲストも

オープニングイベントにはタウンユースのできる「ソレル」のコーディネートで女優やモデル、インフルエンサーが多数来場した。イベント中はモデルの松岡モナがDJを務めたほか、女優・歌手のクロイ・ベイリー、女優のハリ・ネフ、アオキ・リー・シモンズの他に日本からはロサンゼルスを拠点に活躍するダンサーの島津藍が会場に花を添えた。

ファッション性と機能を
備えた“Caribou,
I Love You”コレクション

オレンジを基調に“Caribou”をスリムでモダンなシルエットにアップデートした“Caribou, I Love You”コレクション。機能性はそのままに、街中でも履けるファッション性を兼ね備えたモデルがそろっている。

PHOTOS : PEDRO TORRES
INTERVIEW & TEXT : REIKO SUGA
問い合わせ先
ソレル/コロンビアスポーツウェアジャパン
0120-193-803