サステナビリティ

コットンパフやシートマスクなど用途さまざま 環境配慮の不織布「ベンリーゼ」に熱視線

 旭化成の独自技術によって生まれた「ベンリーゼ(BEMLIESE)」は、サステナブルで高品質な不織布だ。宮崎県延岡市で1974年に製造をスタート、生分解性や密着性、吸液性、保液性、透明性といった優れた機能から、メディカル用品、コスメ用品、工業用資材などあらゆる分野で使用されている。今回は医療現場でも日々「ベンリーゼ」素材を使用している皮膚科・内科医でベストコスメの審査員など美容の専門家でもある友利新氏を迎え、「ベンリーゼ」の魅力や広がる素材の可能性について聞いた。

サステナブルな
高機能素材

WWD:「ベンリーゼ」は綿実油を作るときの副産物であるコットンリンター(種子の周りの産毛)を原料とし、旭化成独自に開発した製造工程によって、再生セルロース連続長繊維不織布にしたもの。美容分野では約20年前からシートマスク素材を中心に採用されている。

友利新氏(以下、友利):「ベンリーゼ」は繊維が絡み合って自己接着をしていることやシートの柄、糸の細さなど製造工程の全てが計算され尽くした技術から生まれている。そして長くつながった糸が積層されてロール状になっているということは、水を吸収すると毛管現象のように満遍なく一気に行き渡り、かつ保水能力も高いということ。シートマスクにありがちなパッケージの隅に液がたまってしまいシート自体に水分のムラができることもない。さらに保液性や密着性もあるため、液含みが良く長時間肌に付けていても使い心地が良いだろう。そして、毛羽残りや毛羽立ちがほとんどないことも美容の観点から見て素晴らしい可能性を感じる。

国際基準の認証を
数多く取得

WWD:約50年前から製造されている「ベンリーゼ」は、不織布ガーゼ“ハイゼガーゼ”として医療現場での活用からスタート。友利さんにとっても身近な素材では?

友利:“ハイゼガーゼ”は毛羽立ちにくい特性から、マイクロスコープやオペ器具、内視鏡などを拭く用途で使用している。家でも使用したいくらい愛用しておりとても身近な存在。そして、100%天然由来の原料である「ベンリーゼ」は生分解し土に還る素材のため、同素材の“ハイゼガーゼ”も実は土に還る素材なんだと驚いた。今でこそサステナブルやSDGsに取り組んでいる企業は多いが、約50年前から環境に配慮する素材を作り出しているのは誇れることだ。

WWD:今後の「ベンリーゼ」に期待することは。

友利:シートマスク以外の広がりも期待させてくれる素材だ。私は普段から肌に負担をかけないために日焼け・摩擦・乾燥の3つを避けるように伝えているが、コロナ禍のマスク生活で摩擦による肌への影響を意識する人が増加。肌の摩擦を避けるために洗顔後はタオルを使わずに使い捨てシートを使う人も増えている。「ベンリーゼ」は吸水力が高く肌を何度も押さえ込まずに1度で水分を拭き取ってくれる上に、肌当たりも良いため、そのような人に向けた商品もいいだろう。また、アイメイクをオフする際にこすることで生じる目回りの黒ずみにも悩んでいる人が多い。クレンジング液を含んだ「ベンリーゼ」のアイメイクリムーバーがあれば、保水性があるので目元を軽く押すだけの摩擦いらずでメイクオフできる。「ベンリーゼ」はしっかりとブランディングされた素材のため、何を選べばいいのか分からないという人にも選択肢の一つになる、美容分野に適した素材だといえる。

旭化成の
「ベンリーゼ」とは

 ベンリーゼは、綿実油を作る際の副産物、綿花の種子の周りの産毛である“コットンリンター”を原料とした、連続長繊維再生セルロース不織布だ。自然の働きによって生分解し土壌に害を及ぼすことなく土に還って堆肥化するなど、天然素材の持つ特性と化学的機能を持ち合わせたサステナブルで高機能な素材といえる。旭化成は1974年に「ベンリーゼ」の製造をスタートしており、長年の経験や技術開発により100%天然由来の原料を使って優れた機能と確かな品質の素材を日々生み出している。

PHOTOS : SHUHEI SHINE,
MAKEUP&HAIR:KYOUKO SUZUKI,
STYLIST:KANAE MAKI,
TEXT : WAKANA NAKADE
問い合わせ先
旭化成 ベンリーゼ営業部
03-6699-4648