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同じ年齢でも老化スピードが異なる⁉ その鍵を握る成分「プロテオグリカン」ってなに?

 同じ年齢でも、若々しく見える人もいれば年齢より上に見える人もいる。それは、老化の速度「ペース・オブ・エイジング(以下、POA)」が異なるから。このPOAがゆっくりの人は体も見た目も若さを維持でき、速い人は老化の進行が速い。ニュージランドの同じ町で生まれた同じ年齢の住民約1000人を26〜45歳まで追求してPOAを算出※1した研究※2によると、同じ1年でも速い人は2.44年分も老化が進み、遅い人は0.4年分しか老化が進んでいないことが判明。さらに、POAには遺伝要因が2〜3割、環境要因が7〜8割ほど関わっているという。つまり環境を整えることでいつまでも若く見える状態をつくることができるということ。POAがスローな人の大きな特徴に、見た目の若々しさや滑らかで弾力のある“艶肌”があるが、この“艶肌”づくりに注目したいのが「プロテオグリカン」という成分だ。

※1 : 免疫系、代謝系、歯科系など19種類の生体データを収集し、POAを算出
※2 : Maxwell L. Elliott et al., Nat Aging. 2021

美容成分を生み出す
線維芽細胞の数を維持することが
“艶肌”に重要

  “艶肌”は、表皮とその内側に存在する真皮がともに健康な状態であることで初めてかなう。表皮はキメを細かく整えることで肌を滑らかに見せる一方、真皮は肌にハリを生み出すからだ。真皮は、線維芽細胞とそこから生み出される美肌に欠かせないコラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、「プロテオグカン」などの成分から成り立っており、“艶肌”のベースとなる弾力やハリをつくる土台となっている。ただ、いずれの成分も加齢によって減少し、弾力やハリが失われていく。その根本的な対策が4つの美肌成分を生み出している線維芽細胞の数を維持して美肌成分を産出し続けること。それが外見の若々しさにもつながる。

ヒアルロン酸に匹敵する
保水能力を有する
「プロテオグリカン」

 その線維芽細胞から生み出される美容成分の中でも、美肌につながる成分として期待されているのが「プロテオグリカン」だ。「プロテオグリカン」は人間を含む全ての動物の体内に広く存在しており、細胞の増殖や軟骨再生の促進、保湿や抗炎症に作用する。皮膚においては弾力や潤いを生み出し、関節の軟骨ではクッションのような働きをする。その「プロテオグリカン」の注目すべき機能の一つが保水効果だ。「プロテオグリカン」の特徴的な構造が、スポンジのように水分を抱えるため、保水性に非常に優れており、その能力はヒアルロン酸に匹敵するほど。その肌への保水性・弾力性・潤滑性の高さを活かし、化粧品などへの「プロテオグリカン」応用が進んでおり、細胞の増殖や分化、免疫機構の調整にも深く関わっていることから、健康食品や医療分野などへの応用も進行している。

「プロテオグリカン」が、
“艶肌”の要である線維芽細胞の
増殖を促進

 線維芽細胞が美容成分を生み出していることは先に述べたが、「プロテオグリカン」は、線維芽細胞そのものの増加を促進する働きがあることが細胞試験によって認められている。細胞試験では、ヒトの正常な真皮線維芽細胞に、濃度50・100 μg/mLの「プロテオグリカン」を添加したところ、非添加の細胞に比べて、線維芽細胞の数が有意に増加した。「プロテオグリカン」が線維芽細胞に働きかけ増殖させたことで、コラーゲンとヒアルロン酸の産出も促進され、皮膚の潤い向上や弾力低下に効果的だと考えられる。

 体の内側から真皮に働きかけて、“艶肌”へと導く「プロテオグリカン」は多くの化粧品に活用されているが、より手軽に取り入れられる食品も続々と開発。青森では鮭頭部の鼻軟骨から「プロテオグリカン」の量産化を実現するなど、安定供給の体制も確立した。インナーケアでの「プロテオグリカン」を毎日の美容習慣にする動きが本格化している。

奈部川貴子美容アナリストに
聞く、
「プロテオグリカン」の活用法 

WWDJAPAN(以下、WWD):美容アナリストから見て、「プロテオグリカン」の魅力とは?

奈部川貴子美容アナリスト(以下、奈部川):「プロテオグリカン」は縁の下の力持ち的存在。美容成分としてのコラーゲンの役割は広く知られていると思うが、「プロテオグリカン」はその活躍を陰で支える敏腕マネージャーといったところ。実は以前から化粧品には多く採用されているが、細分化された名称が使われていることもあり、実力はしっかりあるのに存在が地味で脚光を浴びることがなかった。昨今はインナーケア商品も数多く開発されていることから、今後はネクストコラーゲンとして、その分野で注目されるのではないだろうか。

WWD:「プロテオグリカン」をインナーケアで取り入れることのメリットとは?

奈部川:肌のハリやたるみのケアに化粧品を用いるわけだが、基本、化粧品が働きかけるのは表皮のみ。真皮にまでアプローチするために、インナーケアで取り入れるのは賢い方法だと思う。今、美容医療ではハリやたるみの改善にフィラーを行うが、美容医療までは踏み込めない、でも化粧品のスキンケアだけでは不安という人がとても多い。プロテオグリカンをインナーケアで取り入れることで“飲むフィラー”になると思う。実際、私の施術サロン「KAOYOMIサロン」にも3年くらい愛飲されているお客様がいらして、施術していても確かなハリを感じる。

WWD:今後、「プロテオグリカン」に期待することは?

奈部川:さらに気軽にインナーケアに活用するために、サプリというよりグミやビーンズになっていたり、チョコレートに含まれていたりなどフードライクなものが登場するといい。最近は、 “スキンテレクチャルズ” “成分党”などと呼ばれている成分に強い関心を持つ若い世代が増えている。そういう人達にもヒットすることを期待したい。

TEXT:YOSHIE KAWAHARA

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