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2022年版NO.1カリスマ販売員はビームスのHeg.さん、リアルとオンラインで評価 TOP3の接客術も詳細レポート

 バニッシュスタンダードは8月4日、スタッフの売上げを可視化し評価をサポートするアプリ「スタッフスタート」で活躍する“日本一の令和のカリスマ販売員”を決めるコンテスト「スタッフ・オブ・ザ・イヤー2022」を行った。サービスの利用がウエディングやインテリア、フードなど1700ブランドに広がる中で、今回参加したアパレルの店頭スタッフ1300ブランド・8万人の頂点に立ちグランプリを獲得したのは、ビームス(BEAMS)の恵比寿店(アトレ恵比寿内)に務めるHeg.(ヘグ)さんだ。準グランプリはバロックジャパンリミテッドの「ロデオクラウンズ ワイドボール(RODEO CROWNS WIDE BOWL)」のイオンモール京都桂川店の谷口麻美さん、3位は同じくバロックの「マウジー(MOUSSY)」新宿ルミネエスト店の村元七虹さん、4位はアイア「ココディール(COCO DEAL)」ルミネ新宿LUMINE2店の内山綾夕さん、5位はオンワード樫山「23区」大和富山店のAYANOさんだった。

 「スタッフ・オブ・ザ・イヤー」は昨年に続く2回目の開催。SNSのフォロワー数やオンライン投票など、4月から3カ月間行った予備審査を勝ち上がったファイナリスト16人が、ウィズ原宿ホールに集結。第1次審査ではLINE LIVEを通じた2分間の「ライブ接客」、第2次審査では上位10人が、「相席スタート」の山﨑ケイと、販売員ネタを行うこともある「スパイク」の松浦志穂と小川暖奈がお客さま役を務めた4分間の「接客ロールプレイング」、第3次審査では上位7人が自身の販売員としての矜持や想いを語る90秒の「自己PR」を披露した。審査員はパリコレモデルを務めたこともあるタレントのアンミカ、ファッションエディターでスタイリストの大草直子、販売コンサルタント・販売キャスターの橋本和恵、「セリーヌ」「アルマーニ」「プラダ」「ティファニー」で店長やリージョナルディレクターなどを経験した店舗運営スペシャリストの秋山恵倭子が務めた。MCには弘中綾香アナウンサーを起用した。

 グランプリを獲得したビームスのHeg.さんは、1次審査で「コロナ禍だが皆様とつながれてうれしい」とライブ接客をスタート。「今日、原宿は雷雨の予報」だとしてマネキンに着せ付けていた「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」の防水ポンチョを自らさっと羽織り、身長159センチメートルであることや、ベージュとブラックの2色展開であること、「持つとバナナ1本分ぐらいの軽さで、畳むとこれくらいになる」とポケッタブルに収納された商品を披露。「メンズもいけます」「2万6000円なので、カップルでシェアすれば1人1万3000円」と、サイズ感やカラーバリエーション、着用雰囲気、価格などの情報をコンパクトに網羅。コメント欄の質問に答えるだけでなく、「オンラインで試着予約もしていただける」「『ビームス』『ヘグ』と検索するとブログも読んでいただける」「直接聞きたいときにはLINEで質問してください」と次につながるインフォメーションも行い、1次審査をトップで通過。

 2次審査は「スパイク」の小川暖奈を相手に、天気の話から世間話に移りそうなところを、「買い物日和ということで」とうまく関心を商品に誘導。「『ビームスボーイ』へのご来店は初めてですか?」と尋ねたうえで、シックな装いで“来店”した小川に、バーベキューと海に行く予定であることや、カジュアルなスタイルに挑戦してみたいという、シュエーションや気持ちを傾聴。「アウトドア系の服は『ビームスボーイ』は大得意」であることを伝えたうえで、一緒にいくのは女友だちであり、アパレルで働いている子もいるので対抗するような感じでとの注文も引き出した。ここから、Tシャツとデニムをオススメしながら、「ちょっとアクティブな印象が強めな服。ちょっとギャップ大きそうだけれど、挑戦できそう?」と尋ねたり、ヒールを履いてきた小川に対して、「スポーツサンダルを一番オススメしたいが、少しキレイ目にもお使えいただけるように」と白のコンバースのハイカットのスニーカーを紹介。洋服と合わせた小川は「買います、これ」と即答。さらに、「キレイ目なお客さまだからこそ。虫よけ、日よけが大切なので、さらっと羽織るなど、いろいろな使い方ができる」と、柄物の大判スカーフをコーディネートで提案。「デニムの裾を2センチメートルだけロールアップ」することで、友達にもオシャレと思われと思うということや、ちょっとのアクションだけれども、「素肌や足首が見えて、ほっそり見える」「(このスタイリングなら)ヒールやバレエシューズに合わせてもよい」とさらに提案を行い、小川から2度目の「買います」という言葉をあっさりと引き出すことに成功した。

 最終審査の自己紹介では、「人生のモットーは、何事も全力で楽しむこと。接客という形で伝えられるのが楽しい。店頭に立つことが大好きだった私が、コロナ禍で接客できなくなったときに、お客さまと一緒に楽しみたいと思った。逆境の中でも距離を感じさせない親身な接客、お客さまが自信を持って購入できるようなデジタル接客をコロナ禍で身に着けることができた。この大会に挑戦したいと好奇心だけで応募し、楽しむという姿勢に賛同してくれたお客さまやビームスの皆さんにたくさん背中を押してもらった。何事も全力で楽しむがモットーの私は、大会のすべてを誰よりも楽しんできた自信がある。この大会を通して、成長して、まだもう少しだけ続きそうなコロナ禍でも接客を楽しい経験にしてほしい。店頭でもオンラインでもお待ちしています」と締めくくった。

 グランプリの受賞スピーチでは「今日まで応援していただきありがとうございました。スピーチで楽しい楽しいと申し上げたが、今日でこの楽しさが終わってしまうのは少しさみしいが、この大会を通じて私の接客も成長できた。ビームスには私以上に素晴らしいスタッフがたくさんいる。(LINEでライブを見ている)お客さまも会場にいる皆様も、明日からも楽しみに来店いただければ。『デジタル接客』ということはコロナ禍でたくさん使われてきた言葉だと思うが、店頭にいる私たちがデジタル接客するからこそ伝えられるものが必ずあると思っている。私はこれからも店頭で皆様のご来店をお待ちしております」と語り、拍手喝采を浴びた。

 準グランプリの「ロデオクラウンズ ワイドボール」の谷口さんは発表の瞬間、天を仰いだ。胸に去来したのは、2位に選ばれた達成感か、グランプリを逃した悔しさだったのか。谷口さんはライブ接客を誰よりもハイテンションでスタート。「こちらのデニムのオールインワンです」とアイテムを紹介した後、早速コメント欄の「カワイイ」を見つけて「カワイイ、出てきた。ありがとうございます」と視聴者とコミュニケ-ション。さらにオールインワンについて「私がイチからプロデュースさせていただいた。こだわりが詰まっている。オールインワンは作業着、男性っぽいイメージがあると思われるが、アクセサリーがあると女性らしくなる」と着こなしを説明。さらに、裾が切りっぱなしであることや、柔らかい素材であること、とても軽いことなどを説明し、「おトイレ問題があると思うが、楽に行っていただける」ことや、「1年を通してきていただける」こと、秋や冬にかけて、スウェットやニットなどアウターを合わせるとよいことなどを説明。最後に、価格が9800円で、「1年を通してきていただけるので、1カ月825円!」とお得感を打ち出した。

 接客ロープレでは「相席スタート」の山崎ケイの「社員旅行に行く。気になっている人がいる。ギャップがある女性が好き。会社ではカッチリしているが、せっかくなのでギャップを見せたい」という要望を引き出すと、大胆な黄色のワイドパンツを提案。派手に見えるがグレーがベースなので使いやすいことや、触ってもらって軽くて柔らかいことを体感してもらったうえで、合わせにロゴTをススメて、前だけインする着こなしや、大人っぽいけどカジュアルで、希望のギャップ見えがかなうことなどを伝えた。

 自己PRでは「すごく臆病者で、負けるのも嫌で、これまでロープレ大会やコンテストは避けてきた。そんな私だけれど、販売を始めて16年、絶対に避けてこなかったのが、どんなときにもお客さまを楽しませられる販売員であるということ。今回挑戦したのは、一歩踏み出せなかった方の背中を押せる力になったり、笑顔で元気を届けたいという想いから。弱いところもカッコ悪いところも全て本当の私で、ありのままの姿を見せたいと思えるようになった。3人の母親でもあり、娘たちは今年19歳と18歳になった。これからこの2人も悩み、つまずくこともあると思う。そんな娘たちにも、私の挑戦する背中を見せたいと思った。これから大人になっていく中で、今しかできない時間を大切にして自分らしく生きて行ってほしいとママは思っています。最終審査の舞台に立てているのは、バロックで出会った仲間たちや家族、そしていつも全力で応援してくださるお客さまたちのおかげです。何にも代えられない私の財産です。たくさんの応援ありがとうございました」と結んだ。

 3位の「マウジー」の村元さんは、ライブ接客で「サステナブルな時代に沿った、環境にやさしいシリーズ」を紹介。何でも聞いてほしいと視聴者に質問を促しつつ、「こちらの素材、何からできているかわかりますか?ペットボトルのリサイクル素材からできている。もう一つのビックリするポイントは、撥水加工を施しているので、水をかけると弾くこと」と実際に霧吹きで水をかけて撥水効果を披露。時折激しく雨が降る中で、「今日の東京のお守りのようなパンツ」と紹介した。さらに、着回しについての質問に対して、「私が着ているオールインワンとまったく同じパンツ」であり、本人はベアトップのサロペット風に着こなす一方で、マネキンのようにドローストリングするとワークパンツように着られること、毎日の自分の気分に合わせて様々な着こなしができることなどをアピール。イエローとブラックの2つというカラー展開と、自身の身長が161センチメートルであることまで告げて終了の合図が鳴った。

 自己紹介では、「去年、『スタッフ・オブ・ザ・イヤー』2021を会場で見ていた。その時、考え方が180度変わって人生が変わったと思っている。もともと販売員として店頭に立っているときに、プレスになりたいという夢があり、そこに行くための過程でしかないと思っていた。なので、人の気持ちよりも、決められた予算のことだけを考えて、ただただやりがいを感じずに接客していた。そんな中で『スタッフ・オブ・ザ・イヤー』が開催され、一番お世話になっている先輩の田中梨花(なとりか)さんが準グランプリを獲り、販売員(に大切なの)は人間力だ、お客さまとスタッフというありふれた関係ではなく、(接客・販売は)人と人との出会いだと教えてもらった。私は何億分の一の確率で出会った目の前の人が幸せになるように、その時間に自分がやれることを全てやるべきだと思って店頭に立っている。目の前の人のことをお客さまとは正直呼びたくないぐらいの出会いだと思っている。10年後、20年後もその人の人生に寄り添っていけるような、そんな人間になりたいと思いながら店頭に立っています。こんな気持ちにさせてくれたのも、去年会場に連れてきてくれたエリアマネジャーや前の店長など、今までたくさんの方にいろいろな経験をさせていただいてきたからこそ、ここまで来て、こうやって(想いを)伝えられているんだと、改めて感じることができた。本当に自分だけの力ではない。感謝の気持ちでいっぱいだ。バックステージにいるときにも、たくさんのDMやコメントが鳴りやまず。冷酷な人間だった私を変えてくれた皆さんも、応援してくれているお客さまも、すべて私の宝物です。本当にこの大会は私を変えてくれたと思っています。だからこそ、私は今ここに立って、同じように思っている販売員の人たちを変えていきたい。変えてくれてありがとう。販売員は素晴らしいと思う。胸を張って私は販売員だと言える。ありがとうございました」と、販売員の仕事に対する意識の変化やリスペクトを率直な言葉で表現した。

 受賞者へのトロフィーのプレゼンテータ―として登壇したのは、重松理ユナイテッドアローズ名誉会長だ。「販売員の地位向上を目標にビジネスを行ってきた。デジタル接客など形は変わっても、その想いをつないでくれていることに感動した」と自己PRを聞きながら、思わず涙をぬぐっていた。Heg.さんがグランプリを獲ったビームスの遠藤恵司副社長は「彼女はロールモデルになってもらいたい人物。接客も話す内容も完璧だった。ビームスらしい人物がグランプリを獲ってくれて嬉しい」と涙ぐんだ。

 小野里寧晃(やすあき)代表取締役は「昨年開催して好評だったため、2022を開催させていただく運びになった。『スタッフ・オブ・ザ・イヤー』をプロデュースするサービス『スタッフスタート』は、店舗のスタッフがECサイトやSNSを通じてオンライン接客が実現でき、企業がスタッフを評価ができる仕組みを提供している。ついに今、1700ブランド、13万人のスタッフに使っていただくサービスに成長している。年間330万回のオンライン接客をお客さまに提供し、経由売上高は1380億円に成長した。最も売る販売員は1カ月で1億円以上、年間10億円以上のスタッフまで登場している。都内だけでなく、地方店や郊外店のスタッフが輝ける場をつくってきた。オンライン接客を通じて販売員を評価する文化もつくってきた。店舗での評価だけでなく、SNSでの評価をつくれてきたのは嬉しいこと。導入企業の7割が何かしらの評価するようになり、好事例としてオンライン接客経由の売り上げの7%をインセンティブとして付与する会社もでてきている。販売員の素晴らしい人間性や技術、アパレルが好きな想いが、世の中にもっと広がり、もっとお客さまがつく、未来の販売員が増えることが大切だと思っている。激戦の中を勝ち抜いてきた16人が想いを持ってここに立って競い合う。この中から最もお客さまやこの会場の皆さんを感動させ、応援され、愛されたスタッフが頂点に立つその瞬間を見届けたい。そして、令和のカリスマ店員として1年間讃えたい」と開催に込める想いを説明した。

 さらに、「『スタッフスタート』はスタッフを主役にさせようとつくったサービス。パズルのようなロゴの意味は、企業とお客さま、店舗とECをつなぎ合わせる最後のピースはスタッフさんだと思っているから。だから、ロゴの真ん中にスタッフの『S』を置いている。一緒にスタッフを主役にし、好きな仕事をずっと続けて行けるように応援できればこれ以上嬉しいことはない」と語った。

 賞金・体験はグランプリには300万円相当と副賞として「バイマ」で使える20万円分のポイントが、準グランプリには100万円相当、3位には50万円相当、4位には30万円相当、5位には20万円相当が贈られた。5人は渋谷のスクランブルスクエア周辺にある街頭広告出演権も獲得した。

 なお、「スタッフ・オブ・ザ・イヤー」は来年もパワーアップして開催したいと小野里社長。アパレルだけでなく、サービス業なども含めて、どのような形で審査や大会運営を行うのか、検討していく。

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