ファッション

イタリア製の品質ときめ細かな機能性 革小物「ラルコバレーノ」の挑戦

  今、エンメのイタリア製革小物ブランド「ラルコバレーノ(L'ARCOBALENO)」が売れている。カラフルなバイカラーを軸とするオールレザーの財布を中心に、痒い所に手が届く細かい機能性と、それを実現するイタリアならではのクラフツマンシップが相まって、大手 セレクトショップや百貨店などで高く評価されている。昨年オープンした直営店は、わずか57平方メートルの売り場面積で月800万円を売り上げるほどだ。人気の理由を「ラルコバレーノ」を手掛けるエンメの創業者、森川正大ディレクターに聞いた。

“イタリアの職人技が残せる
モノ作りがしたい”

 「ラルコバレーノ」は、森川正大ディレクターが商品の買い付けをしていたミラノ駐在中に、現地のショールームの社長からデザインを依頼されたのがきっかけでスタートした「。それまで、デザインはデザインを学んだ人がやることだと思っていたが、仕入れの経験から市場に求められているものも分かっていたし、革の工場とのつながりもあったので、デザインができるだけの情報量はあった。イタリアの職人技を残せるモノ作りをしたいと思い、ブランドを立ち上げた」。

 「立ち上げ当初、市場に出回っていたのはほとんど、男性向けが黒で二つ折り財布、女性向けがブランドものの長財布だった。そんな中で発表したバイカラーの財布は、派手過ぎるとバイヤーから懸念された」という。ところが、ファッション誌が品質と機能性を紹介したことで評価の目が変わり、1年足らずで人気に火がついた。

 森川ディレクターはイタリアに20年前から足しげく通っている。「イタリアは世界のハイブランドの工場でもあるので、鍛え上げられた技術力があるし、貴重なマテリアルが工場で見つかることもある。機械一つをとってもハイブランドの要求に応えるためにカスタマイズしていたりする。品質においてもイタリア製に勝るものはない」。

 アイデアもイタリアから得ることが多い。「イタリアの1970〜80年代の革小物には、個人のオリジナリティーが出ていて、面白いものがたくさんある。カード入れや小切手を挟む箇所など、時代によって変わる機能を現代的にアレンジする。そういったアーカイブも現地の工場に残っていたり、一緒にモノ作りをする中で相談したりできる」。平均単価も2万円台後半〜3万円台が中心。企画やデザイン、現地の職人と直接やりとりをすることで実現した。「今後は第二、第三の『ラルコバレーノ』になるようなブランドを立ち上げたい。高品質にこだわる『ラルコバレーノ』は生産数にも限りがあり、日本を中心とした展開になってしまうが、次はこのアイデアでインターナショナルでも展開できるブランドにしたい。すでに面白いマテリアルを使って仕込みを始めた」と森川ディレクターは話し、今後を見据える。

ライフスタイルやトレンドに合わせて
財布も進化

 「ラルコバレーノ」の財布には、現代的な機能性とイタリア製ならではの品質が備わっている。
 オールレザーの“スマートカードウォレット”は、革を8〜10枚重ねている。強度が増す代わりに、厚みが出てしまうので、革をすいて、薄くする必要があるが、薄くすると今度は強度が下がる。そこでステッチのかかっている部分のみ厚みを残すことで、強度はそのまま保ち、それ以外のテンションのかからない部分を極限まで薄くした。それもイタリア職人だからこそできることだという。ライニングも革のため、形崩れもしにくく、お札に折り目がつくこともない。
 “スマートミニウォレット”は、イタリアのアーカイブで見つけた札入れから着想を得て現代的に改良。側面にカードを入れられ、取り出すのも簡単。これがヒットした後、さまざまなブランドがこぞって同じような形を発表し、“フラグメントケース”と呼ばれるようにもなった。
 “スマートWショルダーウォレット”は、バッグと財布を一体化させたようなデザイン。小型化するバッグのトレンドに合わせて開発された。スマホを入れることもでき、セパレートされたカード入れに交通系ICカードを入れておけば、改札などでのタッチもラク。全てのアイテムは森川ディレクターが実際に使い、改良を繰り返すことで出来上がる。

ブランド初の直営店をオープン

 「ラルコバレーノ」は昨年、東京・清澄白河に全ラインアップを並べた初の直営店をオープンした。「歴史と新しいものが混在している場所に出店したかった。ヨーロッパの旧市街地のような雰囲気もある。周辺の美術館などとも相性がいい」と森川ディレクター。

EDIT&TEXT:YUKI KOIKE
問い合わせ先
エンメ
www.emme.jp