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学生活動家が音楽ライブで気候変動危機を訴える 「クライメイトライブ」が日本など世界40カ国で同時開催

 学生環境活動家らによる音楽ライブイベント「クライメイトライブ(CLIMATE LIVE)」が4月24日と10月16日にオンラインで開催される。同団体は音楽を通じて若い世代の気候変動への理解を広め、未来に向けたアクションを共に起こそうと呼びかけたイギリスの高校生から始まり、2019年に世界40カ国に広がった。日本支部の「クライメイトライブ ジャパン(CLIMATE LIVE JAPAN)」は高校生と大学生の20人で構成し、“ウチらの声で世界は変えられる”をスローガンに掲げて活動する。賛同者にはモデルのAMIAYA、環境活動家でモデルの小野りりあん、経済思想家の斎藤幸平、アーティストのコムアイらが名を連ねる。共同代表を務める高校生の山本大貴さんと大学生の田代マホさんに同イベントにかける思いを聞いた。

WWD:二人が気候変動問題に興味を持ったきっかけは?

田代マホ(以下、田代):私は福島県いわき市で育ちました。東日本大震災の原発事故をきっかけに東京に引っ越してから、台風などで休校になることが多く気候変動問題がどんどん身近になっていることに危機感を覚えました。たまたま映画「不都合な真実」を監督したアル・ゴア(Al Gore)さんの来日講演に参加したとき、危機感を持つだけでなく具体的なアクションを起こしている人たちに数多く出会いました。私も何かできるかもしれないと思うようになりました。

山本大貴(以下、山本):僕は昨年、学生環境団体「フライデーズ・フォー・フューチャー(FRIDAYS FOR FUTURE、以下フライデーズ)」に加入しました。「フライデーズ」のメンバーの多くは同団体の創始者であるグレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)に感化されていますが、僕は大きなきっかけがあったわけではなく、小学校の授業で気候変動の話題に触れた頃から関心がありました。19年の台風19号が大きな被害をもたらした時は、ボランティアで栃木に行きました。現場を直接見てあらためて「気候変動でこんなに悲惨なことが起こるんだ」と痛感しました。解決するにはどうしたらいいんだろうとモヤモヤしながら過ごしていたときに「フライデーズ」に参加していた友人と出会い、とにかく飛び込んでみよう決めました。

WWD:「フライデーズ」ではどんな活動を?

山本:SNSなどでの情報発信に加えて、最近僕たちの間でホットな話題はやはりNDC(温室効果ガス削減努力目標)。NDC改定にあたり、エネルギー基本計画の見直し会議が行われているんです。政府の会議を文字起こしして、それぞれの議員の意見を分析し、直接議員の方に話に行くこともあります。

同世代に気候変動への理解を広めたい

WWD:「クライメイトライブ」とは?

田代:発端は18歳のイギリス人の女の子。彼女が同世代に気候変動問題を広める方法を考えていたところ、ロックバンドのクイーン(Queen)のメンバー、ブライアン・メイ(Brian May)が「気候危機を訴えるライヴ・エイドのようなイベントがあれば出演したい」と発言したことに背中を押され、同団体を立ち上げました。各国の「フライデーズ」に声がかかり、日本にも支部が誕生しました。現在、実行委員会は学生20人で構成しています。

山本:「フライデーズ」は企業や政府に直接何かを訴える政治的なアプローチを取りますが、気候変動への関心が低い層にどうアプローチするかという課題を抱えていました。「クライメイトライブ」は、音楽を通じて若い世代に気候危機に興味を持ってもらうきっかけづくりを目的としています。「フライデーズ」の活動が影響力を持つためにも、気候危機を訴える人々の母数は大きくなければいけません。その橋渡しに貢献したいと思ったんです。

WWD:イベントはなぜ4月と10月に行うのか?

田代:11月に開催予定の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、各国のNDCの数値が決定されると言われています。各国政府が自国の数値を見直すデッドラインが4月。これを見据え、若者が能動的なアクションを起こすことでNDCの引き上げにつながればと願っています。10月はCOP開催の認知度向上を狙います。

WWD:イベントはどんな内容に?

田代:ライブの出演者はまだ未定ですが、若い世代に人気のアーティストを中心に出演していただきたいと考えています。一番の理想は、アーティストのファンの子がたまたま参加して、ライブをきっかけに気候変動に興味を持ってくれること。参加者の方が次の日から何か具体的なアクションを実践できるようなコンテンツも準備しています。

山本:僕や田代はたまたま出会いに恵まれて、この活動に参加することができました。チャンスさえあれば、アクションを起こしたいと思ってくれるポテンシャルのある同世代は多いと思います。今回のライブが多くの人たちのアクションを起こすきっかけになるとうれしいです。

WWD:若い世代は気候変動への意識が比較的高いと言われているが、世代内でも意識の差は感じるか?

田代:私は差を感じるからこそ、今回の活動に参加しました。ただ最近は「ViVi」(講談社)や「エル・ジャポン(ELLE JAPON)」(ハースト婦人画報社)などでもSDGsが取り上げられ、環境問題がカッコいいものとして広まっているような気がします。気候変動問題について理解することはもちろん、どんなアクションを取るべきかを広め、仲間を増やすことが大切だと思います。

WWD:普段買い物をする時に、環境負荷や生産背景を意識する?

田代:コスメは必ず購入前にブランドのコンセプトを調べます。国内で作られているか、パッケージがリサイクルされているかどうか、認証ラベルなどもチェックします。紙箱なしの製品を購入すると価格の3%が値引きされる“エシカル割”がある「シロ(SHIRO)」や、「スリー(THREE)」はお気に入りです。ファストファッションは買わないようにして、なるべく気に入ったものを長く大切に着るように心がけています。「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」のマッシュホールディングス系列のブランドなら安心できるな、といった具合に生産背景を気にかけるようになってからは会社のホームページをよく見るようになりました。

山本:僕は昨年7月からヴィーガンになりました。温室効果ガスの排出量削減の観点から、お肉を食べないという選択は車に乗らないことに匹敵すると知ったからです。普段はファラフェルブラザーズや仙川のキックバックカフェなどを利用します。最近ではファミリマートも大豆ミートを販売していますね。通販で買うこともありますが、包装がプラスチックだから後ろめたさもあって………。

WWD:家族の理解を得るのも大変だった?

山本:そうなんです。僕がヴィーガンになると話すと、2週間ほど家族会議が続き、ヴィーガンの健康的なメリットなどをプレゼンしました(笑)。特に母親に響いたのは気候変動的な観点ではなく動物愛護。畜産動物が劣悪な環境下で育てられていることを伝えると、家で飼っている犬と重ねて共感してくれました。おかげで、今の家庭の料理はすべてヴィーガンになりました。昨晩は、大豆ミートの麻婆豆腐でした。友達とファミレス行った時には、僕だけがヴィーガンで困る時もあります。こういった選択は煙たがられることも多いので、「肉を食べるのはやめた方がいいよ」と相手にも同じことを求めるのではなく、あくまで自分の行動や選択を見せることを意識しています。

WWD:最後に、ファッションやビューティ業界に伝えたいことは?

山本:サステナブルな商品を取り扱うことは、人の命を救ったり、誰かを笑顔にしたりすることにつながっています。それってとてもかっこいいことです。誰かのためにモノを作ったり、売ったりすることが素晴らしいというメッセージをもっと堂々と発信して広めてほしいです。

田代:エシカルなモノがかっこいいという文化を醸成するカギを握るのはファッションだと思います。周りで支持されているブランドは「ラッシュ(LUSH)」や「パタゴニア(PATAGONIA)」など。日本でもサステナブルで背景にこだわり、長く使える商品を提案してくれるブランドがもっと増えてほしい。例えば、店頭で生産背景へのこだわりを消費者に伝えるコミュニケーションが当たり前になったらいいなと思います。

■「クライメイト ライブ ジャパン」
日時:4月24日、10月16日
時間:未定
方法:オンライン配信
料金:無料〜1000円想定