皆さん、こんにちは。スイスで開かれている世界最大の時計展示会「バーゼル・ワールド」は後半戦です。1日15ブランド程度のブースをめぐり、時計を見ながら、説明を受けたり、インタビューしたり、記者会見に参加したりの日々は、なかなか大変ですが、とっても勉強になるし、何より“いいモノ”が目白押しで、目が肥えてしまい困っています。
さて、「WWD JAPAN.com」をご覧のみなさんには、「ファッションは大好きだけど、時計はね……」とか「何百万円なんて時計は買えないし、そもそもメカ音痴だから……」なんて人がいるかと思います。正直、2年前までは、僕もそうでした。しかし時計の取材をするようになって、時計とファッションには共通点も多く、特にエモーショナルな感情を喚起するトレンドやビジネス戦略には、実は、そんなに大差がないと感じています。そこで「WWDジャパン」と「WWD JAPAN.com」は、「時計は、ファッションだ!」を謳い、機構ではなく、デザイン、その背景にあるエモーション、そして、ビジネス戦略にフォーカスして時計を語っていこうと決めました(と言っても、僕が勝手に決めたのですが)。
そこで今回は、「時計は、ファッションだ!」をみなさんにわかりやすく説明すべく、最近よく目にしたり耳に聞いたりするファッション界のトレンドキーワードを、上手に盛り込んだ時計を列挙してみたいと思います。
[rel][item title="シチズンが提案する
エフォートレス" href="http://www.wwdjapan.com/focus/column/watch/2016-03-22/14632/2?r=next1" img="https://www.wwdjapan.com/focus/wp-content/uploads/sites/4/2016/03/160322-murakamikaname-002.jpg" square=true size="small"][/rel]
[rel][item title="「ウブロ」や「ゲス ウォッチ」、「ダミアーニ」が提案する
タッキー" href="http://www.wwdjapan.com/focus/column/watch/2016-03-22/14632/3?r=next1" img="https://www.wwdjapan.com/focus/wp-content/uploads/sites/4/2016/03/160322-murakamikaname-005.jpg" square=true size="small"][/rel]
[rel][item title="「ショパール」や「ブルガリ」が提案する
ロマンティック" href="http://www.wwdjapan.com/focus/column/watch/2016-03-22/14632/4?r=next1" img="https://www.wwdjapan.com/focus/wp-content/uploads/sites/4/2016/03/160322-murakamikaname-006.jpg" square=true size="small"][/rel]
READ MORE 1 / 3
エフォートレス
「グッチ(GUCCI)」のアレッサンドロ・ミケーレや「ロエベ(LOEWE)」のジョナサン・アンダーソンがスター街道をばく進して以降、ファッション業界は脱「ノームコア」の流れが顕著で、「着飾る」ムードが再度注目を集めています。しかし、それでも大事なのは、「頑張りすぎない」というエフォートレスな考え方。スポーツスタイルの台頭以降、着心地が良い、は洋服が満たす最低条件となり、頑張りすぎずにオシャレを楽しむムードが広がっています。
シチズン“エコ・ドライブ・ワン”
そんなムードを時計で表現したのは、シチズンが40周年を迎えた独自機構「エコ・ドライブ」を搭載して送り出した2つの新シリーズ “エコ・ドライブ・ワン”(以下、“ワン”)と、“シチズン L”(以下、“L”)です。“ワン”は、厚さわずか1ミリというムーブメントを搭載した、驚異の薄型時計。展示会で試着させていただきましたが、あまりに薄すぎて、“ワン”の装着感は、時計のそれと大きく異なっています。そして、時計はスーパー・シンプル。通常メンズ時計は、日付表示やクロノグラフなどの機能を搭載しがちなのですが、“ワン”は時針と分針、インデックス、それにロゴしかありません。この商品が生まれた背景について、シチズンの戸倉敏夫・社長は、「今はみなさん、疲れているから。シンプルが一番なんですよ」と話してくれました。なるほど、いろんな機能を盛り込んでいることをアピールするのではなく、シンプルに、パッと見て直感的に時を知るというのは、エフォートレスなファッションに通じる考え方です。
シチズン“シチズン L”
そして“L”は、もっと“エフォートレス”です。だって、ガラスが曇っているので、時を正確に知ることは難しいんですから(笑)。でも、この「なんとなく時を知る」感覚、いいと思いませんか?何分、何秒単位まで正確な時を知るのではなく、感覚的に、「なんとなく」時を知る。このカンジ、すごく情緒的だし、ドタバタ忙しい今の生活につかの間のリラックスを提供してくれるような気がします。ちなみに、この時計は、建築家の藤本壮介さんがデザインしています。
[rel][item title="「ウブロ」や「ゲス ウォッチ」、「ダミアーニ」が提案する
タッキー" href="http://www.wwdjapan.com/focus/column/watch/2016-03-22/14632/3?r=next2" img="https://www.wwdjapan.com/focus/wp-content/uploads/sites/4/2016/03/160322-murakamikaname-005.jpg" square=true size="small"][/rel]
[rel][item title="「ショパール」や「ブルガリ」が提案する
ロマンティック" href="http://www.wwdjapan.com/focus/column/watch/2016-03-22/14632/4?r=next2" img="https://www.wwdjapan.com/focus/wp-content/uploads/sites/4/2016/03/160322-murakamikaname-006.jpg" square=true size="small"][/rel]
READ MORE 2 / 3
タッキー
さて、前回のバーゼル連載でも少し触れましたが、ミケーレやジョナサンの台頭以降、ファッション業界では「違和感を覚える」色合わせや柄使いを特徴とする「タッキー」、ちょっとダサいスタイルが存在感を増しています。
「ウブロ」 “ビッグ・バン トゥッティフルッティ リネン”
時計でそんな「タッキー」ムードを表現したのは、「ウブロ(HUBLOT)」の“ビッグ・バン トゥッティフルッティ リネン”です。これは、天然の植物繊維リネンをより合わせて糸にしてから、染色し、樹脂と組み合わせています。選ばれた色は、アイスブルーとオーシャンブルー、モーヴ、そしてパパイヤ(余談ですが、このアイスブルーという色もまた、ファッションの世界とリンクするトレンドです)。特に高級時計の世界ではなかなかお目にかからないカラーリングですから、ちょっぴり違和感を覚えますが、楽しいシリーズです。天然繊維を使用しているということで、サステナブルな一本とも言えるでしょう。サステナブルもまた、今日のファッション業界を語るうえで欠かせない、大切なキーワードですね。
“「Gc ウォッチ」レディ ベレ”
もう一本の「タッキー」時計は、「ゲス ウォッチ(GUESS WATCH)」のヤングライン「Gc ウォッチ」の“レディ ベレ”。一目瞭然、「タッキー」です。これは、深い色に染めたパイソンの型押しベルトに、マザー・オブ・パールにプリントを施した文字盤の時計。ファッショントレンドを腕でも気軽に楽しむ、もしくは、スタイルとアクセサリーをリンクさせるというミッションを担うファッションウオッチとしての本領を発揮しています。
「ダミアーニ」“アニマリア”
ハイジュエリーの世界では「
ダミアーニ(DAMIANI) 」の“アニマリア”もなかなか攻めています。鮮やかな色に染めたガルーシャ(アカエイ)のバングルにのせるのは、貴石で作った動物たち。サル、いい味を出しています(笑)。とはいえ、立体的なサルを描くには、石を3Dにセッティングする必要があり、高度なテクニックを要します。この、「真剣に、ダサく作る」というマインドもまた、今のファッション業界とリンクしています。
[rel][item title="シチズンが提案する
エフォートレス" href="http://www.wwdjapan.com/focus/column/watch/2016-03-22/14632/2?r=next3" img="https://www.wwdjapan.com/focus/wp-content/uploads/sites/4/2016/03/160322-murakamikaname-002.jpg" square=true size="small"][/rel]
[rel][item title="「ショパール」や「ブルガリ」が提案する
ロマンティック" href="http://www.wwdjapan.com/focus/column/watch/2016-03-22/14632/4?r=next3" img="https://www.wwdjapan.com/focus/wp-content/uploads/sites/4/2016/03/160322-murakamikaname-006.jpg" square=true size="small"][/rel]
READ MORE 3 / 3
ロマンティック
こちらもまた、ミケーレがけん引したビッグトレンド。可憐な花、フリフリのフリルやラッフルなどが満載のロマンティック・トレンドは、時計業界でも挙げればキリがないほどです。ということで、ここでは代表的な2つをピックアップしたいと思います。
「ショパール」“L.U.C XP 35 mm エスプリ ド フルリエ ピオニー”
まずは「ショパール(CHOPARD)」の“L.U.C XP 35 mm エスプリ ド フルリエ ピオニー”。「ショパール」はハイジュエラーの中でも、一歩抜きんでた時計作りで知られていますが、この時計はまさに象徴的存在。表はもちろん、さまざまな機構が組み込まれた裏側さえ、ローズゴールドのムーブメントにはフルザンヌ彫りでボタンの花々が咲き乱れています。女子力がメチャクチャ高い、世界限定8本のスーパーレアピースです。
「ブルガリ」“ジャルチェア”の“ジャルディーノ イタリアーノ パラディーゾ”
もう一つは、ブルガリが2014年に発売したレディスの新シリーズ“ルチェア”の“ジャルディーノ イタリアーノ パラディーゾ”です。ジャン・クリストフ・ババン最高経営責任者(CEO)がトップに立って以来、改革が続く「ブルガリ(BVLGARI)」。今シーズンは特に、ジュエラーであり、時計のマニュファクチュアラーであることを証明する美しい力作が勢ぞろいしました。“ジャルディーノ イタリアーノ パラディーゾ”は、まさにその代表例。いい意味で「ブルガリ」のセクシーなカンジが薄れ、優美でシック、ロマンティックに着地した印象です。
とまぁ、こんな風に時計を見ると、「時計って、案外ファッションに近いのかも?」と思ってもらえるのでは、と思います。そしてもちろん、ファッションブランドの時計は、ファッションとリンクしまくっていて、ファッショニスタの僕は楽しくって仕方ありません(笑)。
[rel][item title="【バーゼル連載】「グッチ」が進める“みんなが欲しい”ウオッチコレクションづくり" href="https://www.wwdjapan.com/focus/column/watch/2016-03-20/14574" img=""][/rel]