少子化が進む中でも、玩具市場(希望小売価格ベース)は拡大している。一般社団法人 日本玩具協会によると、2025年度は前年度比6.3%増の1兆1664億円で過去最高を更新した。成長をけん引するカテゴリーの一つが、「ぬいぐるみ」だ。25年度のぬいぐるみ市場規模は同38.2%増の624億円となった。
その背景には、「キダルト(Kidult)」の存在がある。キダルトとは、子ども(Kid)と大人(Adult)を組み合わせた造語で、子供向けの商品やコンテンツを楽しむ大人のこと。玩具メーカーのセガ フェイブが10月16日に発売した新作トイ“ブロッフ”も、まさにこのキダルトを狙った商品だ。
“ブロッフ”はぬいぐるみの頭部と成型ボディを組み合わせたトイで、対象年齢は8歳以上とやや高め。同社が子ども向けトイで培ってきた30年以上の知見を生かしつつ、ターゲットを大人まで広げた。サンリオやディズニーなど世代を超えて親しまれるキャラクターから、「うる星やつら」のラムや「魔法の天使クリィミーマミ」のクリィミーマミといった、今の大人が子どものころに夢中になったキャラクターまでラインアップする。
もっとも、“ブロッフ”がうたう「大人向け」とはキャラクターラインアップだけではない。大人も楽しめるトイとは、どのようなところに工夫があるのか。
「キダルト」向けトイの
開発ストーリー
“ブロッフ”は、一般的なぬいぐるみと比べるとやや頭が大きい。しかし、成型ボディのためバランスが取りやすく、まっすぐに立つ。さらにポーズも変えられる。ハローキティにはりんご、ソニックにはスケートボードなど、各キャラクターに付属する専用パーツに合わせてポーズを変えるのも一興だ。着せ替え人形や可動フィギュア、ロボット玩具ではお馴染みの仕組みだが、ぬいぐるみと組み合わせたことで、新鮮な印象を受ける。集めたり、飾ったり、身に付けたり。ターゲットが広いため、遊び方も明記せず、楽しみ方は受け手に委ねる。これこそが、「トイ本来の姿」と、セガ フェイブ 商品企画本部 FT企画部 戦略本部 FTマーケティング部の本村遊部長は語る。
「目が合ったときにキュンとしてほしい」(セガ フェイブ 商品企画本部 FT企画部 FT企画課の小泉尚子課長)と、開発では“目”にこだわった。“ブロッフ”の目は刺しゅう、もしくはプラスチックのパーツで作られており、キャラクターによって異なる。例えば、サンリオキャラクターズの目はパーツ、「うる星やつら」のラムや「魔法の天使クリィミーマミ」のクリィミーマミの目は刺しゅうだ。「スポンジ・ボブ」の目は、刺しゅうとパーツを組み合わせている。「パーツのみで試したが、チープな印象になってしまったから」(小泉課長)と試行錯誤を重ねた。
目の表現は、キャラクターデザインのほか、ボディーとのバランスで決めた。パーツは角度調整が難しく、ぬいぐるみ作りで敬遠されがちだというが、パーツならではの艶と相性が良いキャラクターもいる。一つ一つのキャラクターと向き合い、時間もコストもかけた。こうした細やかなこだわりで、大人のファンの期待に応えると共に、キャラクターの公式ショップの商品との差別化も図る。
初回は国内外の36キャラクターがそろう。さらにキャラクターによっては最小サイズのビット(2420円)、中間サイズのモッド(3980円)、最大サイズのデカ(8980円)の3サイズで用意しており、大人の収集欲をかき立てる。「パワーパフガールズ」や「トムとジェリー」など、複数のキャラクターをラインアップする作品はまとめ買いも見込めるだろう。今後はキャラクター数を増やし、ニッチなキャラクターにも広げる方針だ。
©SEGA FAVE ©SEGA