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特集 パリ・コレクション2027年春夏詳報 第1回 / 全8回

2027年春夏パリを総まとめ 新天地に移籍したデザイナーが紡ぐ「日常のエレガンス」というムード台頭

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2027年春夏パリを総まとめ 新天地に移籍したデザイナーが紡ぐ「日常のエレガンス」というムード台頭

2026年春夏シーズンがピークだったデザイナー交代については、その人事が実績をもたらすにはまだしばらくの時間を要しそうだ。椅子取りゲームの様相を呈したデザイナー交代は未だ収束せず、全容はまだまだ定まらない。しかし、このとき新天地に移ったデザイナーたちは間違いなく、クリエイティブの最前線に新しい息吹を吹き込んでいる。軽さを徹底的に追求した、日常のエレガンスだ。(この記事は「WWDJAPAN」2026年10月19日号からの抜粋です)

2026年春夏シーズンにデザイナーを入れ替えた総計15のブランドの中で、「シャネル(CHANEL)」は今、“一人勝ち”のムードだ。ここ数年のラグジュアリーの停滞から一足先に抜け出したように見える理由は、ひとえに軽さを重視した、日常のエレガンスを追求しているからだろう。「シャネル」の場合で言えば、それゆえ“シャネラー”以外の顧客が増えている印象がある。特にこれまでセットアップ訴求の印象だったツイードジャケットが他のアイテム・他のブランドとも組み合わせられることを印象づけ、ブランドへの元来の憧れが新しい消費者を店舗へと誘っている。富裕層やファッショニスタの間で、「シャネル」が日常にも高揚感をもたらすブランドとしての選択肢となりつつある。

マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)=アーティスティック・ディレクターの軽さを重視しながら日常のエレガンスを追求する姿勢は、今季も変わらない。27年春夏シーズンも、「シャネル」にとって一番アイコニックなツイードジャケットで軽さを最重要視した。その姿勢は、「自身が導く『シャネル』の未来」を表現したという終盤のパートの、特にラストルックが体現している。一見するとごくごくありきたりなモノトーンのツイードだが、ブラックのセットアップのツイードは品位を保ちつつも薄く軽やか。その下に着たツイード風のインナーは、もはやシルクモスリンなどの布にウールの糸をふんわりのせたくらいに思えるほどエアリーだ。ツイードのジャケットを洋服というより概念として捉え、“ツイードを使わないツイードジャケット”を生み出すことで、厚みや重さから完全に解き放たれようとする姿勢も健在だ。ツイードジャケットのレイヤードスタイルをシルクの上にトロンプルイユ(だまし絵)して、リバーシブルのワンピースに仕立てている。開発に1年を費やしたという、ストレッチ性の高いツイードも誕生した。現代のツイードを身にまとったモデルたちは、会場の95羽の鳥のように、大空に羽ばたいていきそうだ。マチューは、「鳥のように飛翔を遂げたガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)の人生は、自由に向かってひらかれていった」と語る。

「ディオール」は、テーラードを
ドレスの職人が形にして軽さを

「ディオール(DIOR)」もまた軽さを志向し、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=クリエイティブ・ディレクターが現職就任から1年で生み出したスタイルを間髪入れずにアップデートした。ジョナサンは、「ブランドが持つ伝統の重苦しさを、何とかして取り払いたかった」と話す。

序盤は、先立つ27年春夏メンズ同様、シルクモスリンで作ったダブルのジャケットを連打。メンズ同様、ジャケットは本来専門の職人が生み出すが、軽さや流動性を手に入れるため、今シーズンはオートクチュールのドレスを手掛ける職人が作っている。こうした試みにより、タイユール(テーラードスーツ)は、フルール(花)のように軽やかかつエレガントな存在となった。メンズとウィメンズ、そしてオートクチュールの全てを手掛け、3つの世界を縦横無尽に渡り歩くジョナサンだからこその挑戦だろう。シルクモスリンには、ピンストライプや千鳥格子、ブリティッシュチェックなどのスーツ地における伝統的な柄をプリントしたが、いずれも元来の生地ならではの堅苦しさとは無縁だ。

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