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「ラ ロッシュ ポゼ」が示すダーマコスメの本質 臨床試験から患者の心理ケアまで、皮膚科学の力で“人生を変える”

1975年にフランスで誕生した「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」は、皮膚科学に基づくダーマコスメを代表するブランドの一つとして世界中で支持されている。ダーマコスメとは、皮膚科学に基づく研究や臨床知見を背景に開発され、敏感肌をはじめとするさまざまな肌悩みに寄り添うことを目的とした化粧品を指す。ダーマコスメ市場が拡大する中、市場平均の4倍にあたる成長率(ロレアル調べ)を記録し、グローバルで存在感を高めている。

こうした成長の背景には、研究開発から発売後の評価までを一貫して担う独自の研究体制がある。医療現場や患者から得た知見を商品開発に反映し、科学的根拠に基づくスキンケアを追求している。

4月にフランスで開催したグローバルプレスツアーでは、研究施設やラボ、発祥の地であるラ ロッシュ ポゼ村を各国のメディアに公開した。ブランドの研究開発体制と、科学的知見を日常のスキンケアへと落とし込む取り組みを紹介した。

生きた皮膚科学が肌の未来を創る
「リビングラボ」の考え方

パリで開催したイベントのメイン会場「フィラントロ・ラボ(PHILANTRO LAB)」では、「ラ ロッシュ ポゼ」の理念や研究開発の取り組みを紹介した。アレクサンドラ・レニ(Alexandra Reni)=ラ ロッシュ ポゼ グローバル ゼネラル マネージャーは、「『ラ ロッシュ ポゼ』にとって重要なのは、生きた皮膚科学が肌の未来を創る『リビングラボ(Living Lab)』という考え方だ」と説明。近年は紫外線や大気汚染、ライフスタイルの変化などによって肌の繊細さが高まっていると分析する。レニ=グローバル ゼネラル マネージャーは、「世界中の20億人以上の人々の肌悩みに寄り添い解決することが私たちの使命だ」と強調する。

消費者の安全性への関心も高まっている。原料の透明性を重視する人が増える中、「ラ ロッシュ ポゼ」は創業以来、安全性を最優先の価値としてきた。 “トレリアン”シリーズは1993年の発売からすでに、防腐剤無添加かつアルコールフリー、さらに外部汚染を防ぐパッケージを採用していた。「ラ ロッシュ ポゼ」では現在も、全商品を敏感肌でテストし続けている。

採用原料は全体の7%未満
安全性を支える独自基準

同イベントでは、安全性評価を担当するロレアルグループ(L’OREAL GROUP)の専門家が登壇した。専門家によると、世界には約5000種類の化粧品原料が存在するが、「ラ ロッシュ ポゼ」で使用するのは「十分な知見とデータを保有する原料のみ。採用原料は全体の7%未満にとどまる」と説明する。

商品開発では、原料や処方ごとに安全性評価を実施。発売後も皮膚の専門家と連携しながら継続的にデータを収集し、商品改良へ反映する体制を整えている。こうした厳格な評価プロセスが、「ラ ロッシュ ポゼ」の安全性を支えている。

商品化まで最長10年以上
長期視点の研究開発

ロレアルグループ最大規模の研究施設リサーチ&イノベーションセンターは、パリ郊外オルネーに位置する。同施設では、原料の選定や成分の質・安全性の検証など、基礎研究から商品開発につながる研究を行っている。その後、日本や中国、米国など各地域の研究拠点で応用研究や商品開発を進めている。

安全性と有効性を支える背景として見逃せないのが、研究開発にかける時間の長さだ。新しい技術や成分の研究開始から商品化までには通常7〜8年を要する。中には10年以上の研究期間を経て商品化されるケースもある。研究は試験管レベルの基礎研究から始まり、その後、皮膚の専門家との共同開発や臨床試験へ進む。商品発売後も、世界中の皮膚の専門家と連携した観察研究を継続。実際の現場でどのように使用され、どのような効果や使用感が得られているのかを収集し続けている。

短期間で成果を求めるのではなく、長期的な研究投資を前提に商品開発を進めている点は特徴の一つだ。基礎研究から市販後評価までを一貫して行う体制は、グローバルで研究開発を展開する企業ならではの強みといえる。

長期研究の成果を体現する
“シカプラスト”

左 : サイエンスディレクターを務める皮膚科医のデルフィーヌ・ケロブ氏
右 : 「ラ ロッシュ ポゼ」における世界ベストセラーの“シカプラスト リペアクリーム B5+”
上 : サイエンスディレクターを務める皮膚科医のデルフィーヌ・ケロブ氏
下 : 「ラ ロッシュ ポゼ」における世界ベストセラーの“シカプラスト リペアクリーム B5+”
これらの考え方を象徴する商品が、「ラ ロッシュ ポゼ」で世界売り上げNo.1(2023年1〜8月、「ラ ロッシュ ポゼ」60カ国以上における販売実績に基づく)を誇る“シカプラスト リペアクリーム B5+”だ。同商品は、原料の選定から商品化までに11年をかけた。サイエンスディレクターを務める皮膚科医のデルフィーヌ・ケロブ(Delphine Kerob)氏は、「発売前には、0〜99歳までを対象に、あらゆる年齢層と肌タイプに有効であることを多数の試験を通して検証した。発売後も皮膚の専門家と連携しながら継続的に研究を行っている」と話す。皮膚科学領域だけでなく、美容施術後のケア※1や肌荒れ※2、乾燥による小ジワ※3、赤ちゃんのケア※4などさまざまな肌状態に対応できる汎用性の高さと、敏感肌にも使える低刺激設計※5が評価されてきた。

※1 施術直後、または肌の状態が通常に戻るまでは、本商品を使用しないでください。使用前に皮膚科医に相談し、万一肌に異常を感じた場合は直ちに使用を中止してください
※2 乾燥による
※3 乾燥による小ジワを目立たなくする効能評価試験済み
※4 生後3カ月から。乾燥が気になる部分などに塗布してください
※5 全ての人に肌トラブルが起きないわけではありません

「Life Changing Brand」
肌悩みを持つ患者中心の発想

「ラ ロッシュ ポゼ」の原点ともいえるターマルセンター
フランス中西部にあるラ ロッシュ ポゼ村には、原点ともいえるターマルセンター(肌疾患トリートメント施設)がある。同施設では毎年世界各国から患者を受け入れ、皮膚科医や専門スタッフによるサポートを提供している。そこで重視しているのは、症状そのものだけでなく、皮膚疾患が人生や生活の質に与える影響だ。
近年は、世界38カ国で「Scars of Life(人生の傷跡)」という大規模な疫学調査を実施し、ニキビやアトピー性皮膚炎、色素沈着などが心理面や社会生活に与える影響を分析した。こうした知見をもとに、皮膚疾患を単なる症状ではなく生活の質(QOL)の問題として捉えている点も特徴だ。

肌悩みだけでなく人生に向き合う姿勢

左 : がん治療後の患者の心理ケアをサポートする施設「パビリオン・ローズ」
右 : 2022年に乳がんを患った女性が、「パビリオン・ローズ」での体験談を語った
上 : がん治療後の患者の心理ケアをサポートする施設「パビリオン・ローズ」
下 : 2022年に乳がんを患った女性が、「パビリオン・ローズ」での体験談を語った
ターマルセンターには、がん治療後の患者の心理ケアをサポートする施設「パビリオン・ローズ(LE PAVILLON ROSE)」を設置している。今回のプレスツアーでは、22年に乳がんを患った女性が、治療後に失った自信を取り戻すまでの過程を語った。スキンケアやメイクの指導だけでなく、同じ経験を持つ患者同士の交流が支えになり、「保湿が義務から楽しみに変わった」と話す。肌悩みの改善にとどまらず、人々の生活や自己肯定感の回復まで見据える姿勢も特徴だ。

「ラ ロッシュ ポゼ」は、がん治療の副作用による肌の乾燥や敏感肌に悩む人に向けて「オンコロジー(がん治療)サポートプログラム」を展開している。日本でも25年10月から取り組みを開始しており、がん治療中の患者や周囲でサポートする人向けに、オンライン学習コンテンツを無料で提供している。同コンテンツでは、がん治療に伴う不安や肌悩みに寄り添った、具体的な知識やケア方法を15分で解説。受講者がオンライン学習を完了するごとに、国際対がん連合(UICC)に1ユーロを寄付している。

科学的エビデンスと患者への深い理解。その両輪で肌悩みに向き合い、寄り添う姿勢が「ラ ロッシュ ポゼ」の独自性を支えている。

皮膚科学と患者理解で築く信頼

「ラ ロッシュ ポゼ」は、世界で10万人以上の皮膚の専門家に推奨されるダーマコスメブランドとして知られる。近年は多くのブランドが「ダーマコスメ」を掲げるが、その違いはどこにあるのか。また日本市場をどのように捉え、今後どのような成長を描いていくのか。レニ=グローバル ゼネラル マネージャーに聞いた。

WWD:多くのブランドがダーマコスメを掲げる中で、「ラ ロッシュ ポゼ」が果たしてきた役割や違いはどこにあると考えている?

アレクサンドラ・レニ=ラ ロッシュ ポゼ グローバル ゼネラル マネージャー(以下、レニ):「ラ ロッシュ ポゼ」は単に皮膚の専門家との共同開発で化粧品を作っているのではない。フランスでは皮膚科医が推奨し、処方の一環として活用される存在だ。私たちの第一の目的は、皮膚の専門家をはじめとするヘルスケアの専門家に貢献し、彼らと協業しながら患者の皮膚状態の改善をサポートすることにある。薬との併用が可能な商品設計や、補助療法としての活用などもその一例だ。

WWD:その中で、皮膚の専門家との連携はどのような意味を持っているのか?

レニ:「ラ ロッシュ ポゼ」がダーマコスメのリーディングブランドとしての地位を確立できたのは、皮膚の専門家や医師との強固なネットワークを築いてきたこと、そして彼らと共にサイエンスの可能性を押し広げ続けてきたことにあると考えている。知識のギャップを埋めることも、私たちの重要な役割だ。白人の肌に関する研究データは豊富にあるが、他の肌タイプについては十分とは言えない。そのため、全ての肌色やフォトタイプ(紫外線を浴びた際の“日焼けのしやすさ”と“赤みの出やすさ”による分類)、あらゆる大陸や気候条件において商品を検証している。こうした知見の蓄積こそが「ラ ロッシュ ポゼ」の強みだ。AIや大規模言語モデル(LLM)が普及する時代だからこそ、信頼できる科学的知見の価値はさらに高まるだろう。

WWD:「Life Changing Brand(人生に寄り添うブランド)」という言葉には、どのような思いが込められているのか?

レニ:科学は時に冷たいものになりがちだが、「ラ ロッシュ ポゼ」のアプローチは常に患者中心だ。近年実施した「Scars of Life」という大規模な疫学調査では、ニキビに悩む人の46%がうつ状態を抱え、アトピー患者の90%が睡眠に問題を抱えていることが分かった。また、色素沈着がある人の22%は「自分はあまり愛されていない」と感じていた。私たちはこうした知見をもとに、肌悩みが生活の質に与える影響を測定する独自指標も開発している。肌の状態だけでなく、その人がどのように感じ、どのように社会と関わっているかまで可視化しようとしている。例えば、ボディークリーム“リピカ フェイス&ボディバーム AP+M”のリニューアルでは、睡眠追跡アプリ「スリープスコア(Sleep Score)」と共同で調査を行った。その結果、商品を使用した子どもの睡眠の質が改善することが確認された。睡眠の質が向上すれば、学校生活や日常生活にも良い影響が生まれる。こうした変化こそが、私たちが目指す価値そのものだ。

処方をリニューアルしたボディークリーム“リピカ フェイス&ボディバーム AP+M”
WWD:日本市場ならではの特徴や、他市場との違いをどのように見ている?

レニ:私は日本に3年間住んでいたが、日本は非常にユニークで洗練された市場だ。まず、日本の消費者はテクスチャーへのこだわりが強く、浸透感や使用感を重視する。またスキンケアの工程が多く、商品を丁寧に使いこなす文化がある。雑誌などでも「摩擦レス」の洗顔方法など、細かな使い方が紹介されている。さらに、日本市場はバランスを重視する。私はよく化粧品を食に例えるが、日本では色や香り、テクスチャーなど全ての要素の調和が求められていると感じる。もう一つ興味深いのが、効果の高い美容成分を、肌に刺激を与えない極小量ずつ毎日継続して使う考え方だ。欧米では強い成分で一気に改善を目指す傾向があるが、日本では少しずつ積み重ねながら変化を生み出す手法が浸透している。例えば日本で販売している“シカプラスト リペアクリーム B5+”は、日本人の肌に合わせて調整した専用処方だ。角質ケア美容液“エファクラ ピールケア セラム”も同様に、少しずつ肌を慣らしながら効果を発揮する設計になっている。こうした日本市場ならではのニーズに応えることは、私たちにも多くの学びを与えてくれる。日本はグローバルの商品開発において、重要なインスピレーション源の一つだ。

UVケア新商品の開発にあたり、全ての肌色やフォトタイプの30〜60歳の男女を対象に研究を行った
問い合わせ先
ラ ロッシュ ポゼ お客さま相談室
03-6911-8572