
川上から川下までの
関係企業と対話を重ねて実現
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環境省の調査によると、令和4年度の産業廃棄物排出量のうち、建設業由来のものは約8017万トンで全体の約21%を占めている。中でも建設混合廃棄物は、再資源化や縮減が難しく、リサイクルされないまま埋め立て処分されるケースも少なくない。内装工事では、防炎や断熱、抗菌といった機能性を重視した複合素材の使用が増えており、中間処分場での分別作業の負担が大きいことも、リサイクル率が伸びにくい要因となっている。
こうした課題に対し、船場は20年にゼロウエイスト推進室を設立した。リサイクラーや中間処理業者の方々と何度も話を重ねながら、工事現場で廃棄物を素材ごとに細かく分別することが、最終的なリサイクル率の向上につながるとの考えに至ったという。「内装工事では、段ボール、金属、プラスチック、木材など、さまざまな素材が一度に出る。これまでは、それらをまとめて混合廃棄として出すケースが多かった。でも、一度混ざってしまったものは、後から分けるのが難しい。『混ぜないで出す』を、最初の一歩とした」。
施工会社や解体工事会社、収集運搬会社など、空間づくりに関わる川上から川下までの関係企業と対話を重ねながら、21年に分別排出を本格的に開始。独自に「8品目分別」を設定し、現場での負担を抑える工夫を重ねることで、現在では同社が施工を請け負う全ての現場で分別排出が実施されている。
同社はマニフェスト(産業廃棄物管理票のことで、棄物の処理が適正に実施されたかどうか確認するために排出事業者が作成する書類)情報を素材ごとに集計し、社内でリアルタイムに閲覧できる仕組みを構築。これにより、20年時点で73.3%だった平均1次リサイクル率は、24年には94%まで上昇した。基本的に最終処分会社での再資源化による最終リサイクル率がこの数値を下回ることはない。
コクヨの共創スペース“BOXX”では
最終リサイクル率96.2%を達成
全廃棄物量のうち、マテリアルリサイクルされたものが84.1%、焼却した際に発生する熱エネルギーを発電や温水利用などに再利用するサーマルリサイクルが12.1%を占め、埋立処理されたものは3.8%。環境省「令和4年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」の令和3年度速報値によると、リサイクル率の社会平均は53%とされており、96.2%は非常に高い数値といえる。
また、コクヨの工場で文具や家具を製造する際に機械の仕様上どうしても発生してしまうABS樹脂材のかたまり(通称:樹脂ダンゴ)を混ぜ合わせ、熱を加えて圧着してリプロダクトし、“BOXX”のコンセプトを体現する12mのビッグテーブルを制作。色鮮やかな「樹脂ダンゴ」を生かし、表情豊かなプロダクトを作ることで、利用者のクリエイティビティーを刺激しながら、循環型社会に対する社員の意識向上も目指した。
エシカルデザインをグローバルに
提案・実装するために
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「コンテンツ」としては、世界の建築内装におけるエシカルデザインの54の実践をまとめたリポート「グローバルエシカルデザインガイド」を公開。人と社会に価値を届ける空間づくりについて、欧米・日本・アジアの地域ごとの地域や価値観、制度背景を踏まえながら、これからどのようにエシカルデザインに取り組むべきかを考えるヒントを提供している。
「内装という仕事が、循環を前提とした産業になっていくこと。リノベーションが主流になるこれからの時代に、内装がサーキュラーであれば、建物も、都市も、もっと長く使い続けられるはずだ」と神戸執行役員。「派手なことはできないが、現場でできることを一つずつ積み重ねていく。それが、いま自分たちにできるエシカルなアクションだと考えている」。川上から川下までさまざまな企業と連携する立場を生かし、対話を重ねながら、サーキュラーな空間づくりの輪を広げている。
ラジカルなイノベーションで
空間を創造する
特にコロナ禍収束後、リアルでのコミュニケーションの重要性が見直されているオフィスにおいては、得意とする商業空間づくりとエシカルな取り組みが強みとして支持を得る。多くの外資系企業が拠点を構える麻布台ヒルズの半分以上のオフィスの施工を請け負うなど、高い信頼を獲得している。
さらに船場は今後、クリエイティブ領域を強化し、ラジカルでイノベーティブな企業として進化する方針だ。
船場
03-6865-1008