ロレアルは、ビューティテック分野でも確固たるリーダーシップを示している。仏パリで開催された世界最大級のテックイベント「ビバ・テクノロジー(VIVA TECHNOLOGY以下、ビバテック)」第9回では、提携する日本と韓国、中国のスタートアップを紹介し、国際的な注目を集めた。
ロレアルは政府や業界団体、産業クラスター、企業、大学、メディア、インキュベーター、投資家などのパートナーと提携し、スタートアップに強力なサポートシステムを提供している。スタートアップにとって課題の一つは、自社の技術の最適な活用方法と、市場検証のための場を特定することだ。一例を挙げると、AIが生成するキービジュアルをメイン商材とするザ・シー(THE SEA)は、ロレアルとの綿密な意見交換を通して、自社の技術がECの製品詳細ページに適していることを発見した。ザ・シーはまた、オープン・イノベーションの加速を目的とした「ロレアル ビッグバン ビューティーテック・イノベーション・プログラム (以下、ビッグバン)」への参加を通じて、急拡大する中国のEC部門で自社の技術の大きな可能性を見いだし、ロレアル中国と提携した。このようなコラボレーションは画期的な製品とサービスを生み出し、AIやバイオテクノロジー、スマートデバイスにわたるビューティテック業界全体のイノベーションに拍車を掛けている。
ロレアルの北アジア(日本、中国、韓国、台湾、香港)におけるオープン・イノベーション・プログラムは、ビューティの未来を形作るための相互利益と共有ビジョンの基盤の上に成り立つ。バーバラ・ラヴェルノ(Barbara Lavernos)=ロレアル グループ副CEO兼リサーチ&イノベーション テクノロジー責任者は、「当社はビューティ業界の限界を押し広げ続けるために、外部との共創、コラボレーション、共同イノベーションを推進する。『ビッグバン』は業界を超えたスタートアップとの協業を促進し、ソリューション開発を加速させる。その影響力は、世界レベルへ拡大している」と述べる。「ビッグバン」は北アジアでの成功を受けて昨年、南アジア太平洋と中東、北アフリカ(SAPMENA)にも拡大した。
韓国のAIスリープテック企業アスリープ(ASLEEP)は、「ビバテック2023」でロレアルとつながった。24年度「ビッグバン」で受賞し、その後「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」と共同で睡眠モニタリングアプリを開発した。バイオテクノロジーに関する中国のスタートアップの未名拾光(VEMINSYN)はロレアルグループから、「ビッグバン」受賞企業として2社目の出資を受けた。同社はロレアルの支援を受け、100億個以上の分子を網羅するデータベースを構築し、新規成分を特定するためのアルゴリズムを開発した。さらに希少植物のジーンバンクを設立し、イノベーションと生物多様性保全の両方に取り組んでいる。
ディモイ・ロイ=ロレアル 北アジアゾーン リサーチ&イノベーション ヴァイス・プレジデントは、「北アジアのイノベーションは、規模やシナジー、スピードの面で、かつてないほど強力に連携している。スタートアップや大学、業界をリードする企業などと協業することで、社内に蓄積された世界クラスの専門知識を集約・増強させ、世界を動かすイノベーションを共創していく」と話した。
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