「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」はこのほど、クチュールライン“ピエス ユニーク コレクション”の新作“アトリエ アニマリエ”を発表した。1960年代に創業デザイナーのロジェ・ヴィヴィエ(Roger Vivier)が手掛けたアニマル柄“アニマリエ”に着想を得たハンドバッグ全11点で構成。クリスタルビーズ刺しゅうやフェザー装飾をすべてハンドメイドで施し、メゾンの歴史的な“アニマリエ”パターンを再解釈した。日本での特別展示に合わせ来日したゲラルド・フェローニ(Gherardo Felloni)=クリエイティブ・ディレクターに、コレクションに込めた想いを聞いた。
職人技を通じて
“アニマリエ”に新たな命を吹き込む
WWD:今回のコレクションでは、さまざまなアーカイブの中からアニマル柄“アニマリエ”に着目した。
ゲラルド・フェローニ=「ロジェ ヴィヴィエ」クリエイティブ・ディレクター(以下、フェローニ):創業者のロジェ・ヴィヴィエは、アニマル柄を自在に操る名手だった。私自身これまではあまり探求してこなかったが、今シーズンは特にアニマル柄で表現する官能性に興味が湧いたことが出発点だった。
WWD:制作過程では“アニマリエ”のコードをどのように広げていった?
フェロー二:これまでの“アニマリエ”は常に平面的だった。そこで今回は、ストーンやクリスタルを一粒ずつモザイクのように組み合わせて立体的に表現することに挑戦した。単に柄を再現するのではなく、フェザーをあしらったり、ブルーのゼブラやグリーンのレオパードなどあえて奇抜な配色をしたりして遊び心も加えた。メゾンのサヴォアフェールを駆使して、“アニマリエ”に新しい命を吹き込んだんだ。
世界に1つのハンドメイドバッグの価値
WWD:靴とバッグをデザインする際のアプローチの違いについて教えてほしい。
フェロー二:プロセス自体にそれほど大きな違いはない。ただ、モノとしての性質は大きく違う。靴は歩くためのものである以上、考慮すべき制約がさまざまある。一方のバッグは、「歩く時の快適さ」を考える必要はない。プレタポルテのコレクションでは、バッグも日常使いできる重さといった制約があるが、今回のバッグは全て一点モノ。より自由度は高かった。
WWD:「ロジェ ヴィヴィエ」のようなブランドにとって、このようなクチュール的なコレクションを持つことの重要性は?
フェロー二:特に近年、自分のためだけに作られたユニークなファッションを求める声は高まっていると思う。たとえば、私がアンティークジュエリーに魅了されているのは、それらには誰とも被らない美しさがあるから。
今回のコレクションの作品は、アトリエの職人たちが一点一点ハンドメイドで作り上げている。私と職人たちが直接触れ、描き、作り上げたこれらのバッグを、お客さまの元へそのまま届けられるという経験自体、今の時代に非常に貴重で価値があると思う。顧客と作り手の距離が近いために製作面でもメリットがある。量産のために何百万個も用意できる素材を選ぶ必要がないので選択肢が広がり、自分の表現したいものをかなりピュアに表現できた。
WWD:今回のコレクションは、どのようなシーンで楽しんでほしい?
フェロー二:それは、持つ人それぞれの自由。イブニングのシーンだけでなく、昼間にカジュアルなジーンズスタイルと合わせて持つのもすてきだろう。クローゼットにしまい込んでしまうのではなく、ジュエリーのように日常的に楽しんでほしい。
WWD:1番のお気に入りは?
フェロー二:グリーンのサテン地をベースに、ブラックのフェザーやクリスタルでレオパード柄を描いた“パラディ·ノワール”。そもそもこの2色の組み合わせがお気に入りで、レオパードをこの色で表現するというアイデアが気に入っている。私が「ロジェ ヴィヴィエ」に就任した際に撮影したポートレートで私が頭の上に乗せているシューズも実は、このバッグの着想源となったアーカイブシューズ “パラディ·ノワール”。1980年代にヴィヴィエがデザインしたシューズで、私にとっても非常に思い出深い一足だ。
ロジェ・ヴィヴィエの
最も尊敬する部分は遊び心
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WWD:あらためて、デザイナー、ロジェ・ヴィヴィエの精神を言語化すると?
フェロー二:発明家。彼はとても豊かなユーモアのセンスの持ち主であり、 同時に非常に洗練されたフェミニンさも併せ持つ。 ある意味相反する要素が共存しているのが彼のスタイルであり、私との共通点でもあると思う。
WWD:彼の仕事のどのような点を最も尊敬している?
フェロー二:彼はあらゆるシューズデザイナーにとってのメンター的な存在だ。なかでも私が最も尊敬しているのは、彼のシリアスすぎないアティチュード。彼はある意味、常に作品を通じて遊んでいたのだと思う。たとえば、彼が60年代に発明した“ヴィルギュル”のようなヒール。あのユニークな形は当時は一種のジョークのようなものだったと思う。その遊び心が、彼の作品を特別なものにしていると思う。
WWD:そんな彼のデザイン哲学に触れることができるブランドブック「Roger Vivier: Heritage and Imagination」も発売された。
フェロー二:この本の最大の目的は、ファッションの歴史に大きな影響を与えたロジェ・ヴィヴィエとは何者なのかを次世代に伝えること。たとえば彼がその昔、「ディオール(DIOR)」のオートクチュールのシューズをデザインしていた、なんてことも今では知らない人も多い。
私が19歳の時、人生で最初に受けた就職面接でのこと。待合室で待機している時に目の前にあった一冊の本を手にした。それがなんと「ロジェ ヴィヴィエ」のブランドブックだった。当時の私はその価値も分からず見ていたのだけど、 “ヴィルギュル”ヒールのシューズを見た瞬間、それまでの価値観がひっくり返されたんだ。シューズがこんな風に芸術作品になれるんだと驚いた。今回のブランドブックを通じて、次世代のデザイナーにもそんな経験をしてくれたらうれしい。
リッツォーリ社からメゾンの美学をひも解く
最新ブランドブックが出版
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リッツォーリ社(Rizzoli)から刊行された、最新のブランドブック「Roger Vivier: Heritage and Imagination」では、創業者ヴィヴィエを文化的視点からひも解く一冊として構想。「ヘリテージ」「フォルム」「装飾」「セレブリティー」「イマジネーション」の5つのテーマを設け、オリジナルのスケッチやアーカイブ写真などを交えて、ヴィヴィエのクリエイションを多角的に考察する内容となっている。
加えて、ブランドアンバサダーのイネス・ド・ラ・フレサンジュ(Ines de la Fressange)はじめ、女優のカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)やジャーナリストのスージー・メンケス(Suzy Menkes)ら、各界の著名人による寄稿も収録し、それぞれヴィヴィエの作品から受けた影響などを綴った。
ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン
0120-957-940