ファッション

コンデナスト・ジャパンはメディアのカルチャーを作る IPビジネスとしてイベントに注力【編集長インタビューVol.7 コンデナスト・ジャパン」

読者との接点の拡大や強固なコミュニティー作り、雑誌やウェブに次ぐ第三の柱の育成などを狙い、メディアのイベントビジネスが活発になっている。そんな中、コンデナスト・ジャパンのイベントの捉え方は独特だ。北田淳社長は、「私たちは、イベントビジネスではなく、IP(Intellectual Property. 知的財産権の意味)ビジネスと呼んでいる。イベントは、それぞれのメディアのカルチャーを作るIPの一部という考え方だ。『ヴォーグ ジャパン』と『GQ JAPAN』『ワイアード』は、イベントを単発の事業ではなく、IPを最大化するための機会と捉え、これからずっとやるし、やれるものを開発し続ける。こうして各メディアがコンテンツメーカーからカルチャーメーカーに進化できれば、計り知れない可能性が待っている」と話し、「今年から来年にかけては、イベントが相当充実する」と続ける。

そこで各メディアは現在、来年のカルチュアル・カレンダーを製作中。例えばカレンダーに組み込む予定の「GQ スポーツ」という事業では、「コンテンツやイベントを通してスポーツ好きのコミュニティーが生まれたら、『GQ JAPAN』とスポーツブランドがコラボした商品が作れるかもしれない」と構想を語る。こうしてIPビジネスを、現在絶好調の動画を中心としたスタジオビジネス事業(ブランドとのタイアップによるコンテンツ制作)や、今後開発を進めるコンシューマービジネス(雑誌やサブスク、有料イベントなど消費者から対価を受け取るビジネス)同様の3本柱の1つに育てたい考えだ。

来年には営業を担うコマーシャルチームを再編。媒体ごとに分かれていたチームをファッションやビューティ、テクノロジー、車などカテゴリー別に再編し、それぞれはクライアントのマーケティングにおけるコンサルタントの役割を担う。「一人の担当が、横串を通してまとめてソリューションを提供する」体制は、すでに各国で結果を出しているという。

北田社長が掲げるビジョンに対して、「ヴォーグ ジャパン」は「アイデアの宝庫」(平石敬晴発行人)というティファニー・ゴドイ=ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテントの思いを具現化することで応える。ティファニーヘッドは、「『ジャパニーズ・ラグジュアリー』として、日本の技術や食を『ヴォーグ ジャパン』を通して世界に伝えたい。日本にしかできないことで、みんなに元気になってもらえたら幸せ」と考え、桜が咲く3月に伝統工芸を「ヴォーグ ジャパン」らしく解釈して、立体的に表現・発信するイベントを計画中だ。ティファニーヘッドは、「『ヴォーグ ジャパン』と言えばファッションとビューティというイメージかもしれないが、今日のファッション業界はポップカルチャーとつながり、ラグジュアリーブランドはレストランやホテルを作り、アートにも近づいている。私たちは今、こうしたムーブメントをファッション目線で見て、発信すべき」と続ける。イベントは、誌面やウェブだけでなく、SNSなど全ての手段で発信できるコンテンツに仕上げ、メディアとして最大化を図る。平石発行人は、「『ヴォーグ ジャパン』はファッションズ・ナイト・アウトで雑誌とデジタル、ソーシャル、そしてイベントが融合すると生まれるパワーを知っている。IPビジネス化に向けた、これまでで一番の変革にも前向き」という。

石田潤ヘッド・オブ・エディトリアル・コンテントにより刷新した「GQ JAPAN」は、年末恒例の「GQ JAPAN メン・オブ・ザ・イヤー 2023」のバージョンアップから北田社長のビジョンの具現化に着手する。石田ヘッドは、「『メン・オブ・ザ・イヤー』は、既に変化したグローバルの方向性に近づける」という。具体的には「誰をたたえるか?」だけでなく、「その人が、何を、どう着るか?」までを楽しむイベントにすることで「最新の男性のパーティースタイルがわかる、メンズファッションのレッドカーペット的な祭典にしたい」。受賞者のみならず、参加者の最新パーティースタイルが発信できるよう、雑誌とウェブ、SNSで話題を最大化する予定だ。もちろん、「GQ JAPAN メン・オブ・ザ・イヤー 2023」はあくまでスタートで、来年はさまざまなプロジェクトで「GQ JAPAN」のカルチャーを発信する。櫻木裕之発行人は、「春にはゴルフイベントを中核とする『GQ スポーツ』、夏にはグローバル・クリエイティビティ・アワードをローカライズしてアートから建築、デザイン、食までクリエイティブな才能を讃える『GQ クリエイティブ・ウィークエンド』と日本のアートシーンにコミットした『GQ アートサロン』、そして秋には若い世代と音楽でつながる『GQ ハイプ』などを検討している」という。

「ワイアード」は、毎年開催してきた「ワイアード カンファレンス」を「ワイアード フューチャーズ」に改称してパワーアップを図る。このイベントは昨年オフラインに回帰したが、「せっかく集まるのだから、トークセッションに加えて参加者自身も手を動かすワークショップなども連動させ、『ワイアード』が掲げてきた“実装するメディア”を体現するイベントにしたいと考えている」という。世界的な哲学者デイヴィッド・J・チャーマーズの講演など魅力的なコンテンツが満載だが、参加費用は一般で1万円。松島編集長は「『ワイアード』が提供する新しい未来の選択肢を積極的に取りにこようとする方々の期待に応えたい」と良質で熱烈なコミュニティーから生まれるカルチャーに期待を寄せる。衣笠雄一郎発行人は、 サステナブルの先を目指す企業を紹介した「リジェネラティブ・カンパニー」特集の成果に触れ、「この特集と連動したアワード企画を今年立ち上げた。来年も『ファッション』や『空間コンピューティング』など、雑誌のテーマと連動したイベントを開発予定だ」と今後の計画を語った。


「ヴォーグ ジャパン」DATA
【雑誌】 創刊:1999年7月 発行部数:5万部
【ウェブ】 UU:400万
【SNS】 X:93万 IG:160万 YT:114万(2023年11月時点)

「GQ JAPAN」DATA
【雑誌】 創刊:2003年4月 発行部数:4万部
【ウェブ】 UU:300万
【SNS】 X:16万 IG:25万 YT:46万(2023年11月時点)

「ワイアード」DATA
【雑誌】 創刊:2011年6月 発行部数:4万部
【ウェブ】 UU:320万
【SNS】 X:44万 IG:7000 YT:47万(2023年11月時点)

問い合わせ先
コンデナスト・ジャパン広報部
 mrk@condenast.jp