ファッション

原宿の「シェルター」が改装オープン スタジオ、アートギャラリーも設けて発信強化

 バロックジャパンリミテッドは、2012年にオープンした東京・原宿の旗艦店「ザ シェルター トーキョー(THE SHEL’TTER TOKYO以下、シェルター)」を3月3日に改装オープンした。地下1階から地上2階までの3層(約1240㎡)に「マウジー(MOUSSY)」「スライ(SLY)」など同社の人気ブランドをそろえると共に、配信スタジオや大型のデジタルサイネージを備えて、今の時代にあったOMO戦略の拠点とする。また、アートギャラリーの「ローヴスギャラリー(LOVUS gallery)」も常設。コロナ禍が収束し、再度訪日客や地方からの観光客が増えるタイミングで、改めて発信を強化する。

【1F】ポップアップを多数開催
常に話題がある売り場に

 店の顔である1階は、注目ブランドのポップアップや限定商品によって、常に話題を発信する。明治通り沿いのガラス壁面には、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で展開するユーチューバーげんじによるD2Cブランド「ウィム バイ リドム(WYM LIDNM)」を長期ポップアップとして導入。同ブランドの商品が実際に手に取れる場所はここだけで、バロックとしてやや手薄となっているZ世代男性客の取り込みを狙う。松本恵奈がディレクションするバロックの人気ブランド「スタイルミキサー(STYLEMIXER)」も、都内初の売り場を設けた。ほかは「スライ」「ラグア ジェム(LAGUA GEM)」などを扱い、フラワーカンパニーBOTANIC inc.と組んだフラワーショップも新設した。

【B1F】中央にアートギャラリー
スタジオ新設でOMO強化

 基幹ブランド「マウジー」の売り場の真ん中に、アートギャラリーの「ローヴスギャラリー」を設けた地下1階。ストリートと親和性の強いアートを国内外に伝え、コミュニティーを作っていく。「マウジー」は主力のデニムアイテムでリメークの1点ものを充実するほか、同店限定のスーベニアライン“クラブ マウジー 303(CLUB MOUSSY 303)”や環境に配慮したライン“エム アンダーバー(M_)”も展開。売り場奥のシルバーの外壁で囲まれた空間は配信スタジオ。新作情報をここからリアルタイムで発信するほか、これまで店外で行っていたスナップ撮影もここで行うことにより、撮影時間が効率化できるという。

【2F】「アズール」の派生ラインも
ホームグッズ充実

 これまで1階で展開していた「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」は2階に移設し、ウィメンズ、メンズ、キッズをそろえる。キレイめアイテムを中心とする“クリーコンフォルト(CRIE CONFORTO)”、よりモードな感覚の“アズール プラス(AZUL PLUS)”といったブランド内ラインもフルラインアップ。ルームウエアやボディーケア用品、ディフューザーなどのホームグッズのコーナーも充実している。

原宿の立地を活かしアート発信
海外での展示も計画

 地下1階の「マウジー」売り場の真ん中に設けられた「ローヴスギャラリー」では、こけら落としとしてグラフィックデザイナー河村康輔の作品を展示中だ。今後、年間15~16回の展覧会を予定している。「2年ほど前から、ファッションだけでなくカルチャーを発信するという考えで、『マウジー』の中で若いアーティストに焦点を当てる“プロジェクトU”を不定期で行っていた」と話すのは、仕掛け人の深澤哲人バロックジャパンリミテッド副社長だ。改装前の「シェルター」2階で作品やプリントTシャツなどを販売したところ、好評だったという。「アートに関心が高い男性客をこのギャラリーを接点にして増やしたい。同時に、ウィメンズ売り場にあることで女性客も入りやすいはず。ケミストリーが生まれて面白くなれば」と期待する。

 ギャラリーの運営は、鈴木崇真ディレクター、キュレーターが担う。元々デザイナーだったという鈴木ディレクターは、“プロジェクトU”の外部スタッフを経てバロックに入社。ギャラリー運営を専任で行う。「原宿という立地から、扱う作品を限定せず、多様なカルチャーの境界線として国内外のアーティストの作品を展示していく。メインストリームやサブカルチャー、ストリートが横断する場にしていきたい」という。作品と関連するグッズも販売し、「展示作品とファサードのデジタルサイネージの連携を図って、強みを打ち出していく」。扱う作品の価格はアーティストによって異なるが、2万~3万円台から100万円超えまでと幅広い。

 原宿の中心地にあることで、元々訪日外国人客が非常に多かった「シェルター」。コロナ禍が収束し、ここ数カ月間で訪日客数は急回復している。そうした訪日客への発信も「ローヴスギャラリー」として注力する。“プロジェクトU”時代に、新進アーティストの作品を改装前のファサードを使って発信したところ、それを見た海外のキュレーターから連絡が入って海外での個展につながったという実績もある。「新進アーティストを育てると共に関係性を深め、早ければ2024年以内に『ローヴスギャラリー』として中国のギャラリーで展示を行いたい」と鈴木ディレクター。ギャラリーを基点にアーティストやそのファンをコミュニティー化し、日本のカルチャーとして発信していく。

問い合わせ先
バロックジャパンリミテッド
03-6730-9191