ファッション

「科学特捜隊と団結するウルトラマンのようなリーダーが理想」 辻愛沙子に聞くリーダー論

 「WWDJAPAN」はルミネと共に、ファッション&ビューティ業界の次世代を応援するプロジェクト「MOVE ON」を開始した。「WWDJAPAN」が2017年に立ち上げ、業界の未来を担う人材を讃えてきた企画「NEXT LEADER」も、今年は「MOVE ON」の中で実施。受賞者は22年2月14日号で発表すると共に、3月2日に開催する「Next Generations Forum」にも登壇いただく予定だ。編集部の推薦や公募で募った候補者の中から受賞者を選出するのは、業界のトップ経営者らで構成するアドバイザーたち。今回のアドバイザーにリーダー論を聞いた。

 arcaの辻愛沙子CEOは、「正解を提示するのではなく、問いを立てられるリーダーでありたい」と話す。「社会には、絶対的な正解なんて存在しない。だから意志を持った上で、『その意志は、どうしたら実現できると思う?』と仲間に問うことができる」リーダーであり続けたいと願っている。

 そんな思いを抱くようになった1つのきっかけは、ウルトラマンだった。スペシウム光線さえ吸収、増幅して跳ね返した怪獣ゼットンに、ウルトラマンは完敗。でも代わりに科学特捜隊が一致団結してゼットンを倒したエピソードだ。「このエピソードを知って、『民主主義的だな』って感じた。ウルトラマンが全ての怪獣を退治できるなら、仲間なんて必要ない。『あの人がいれば』という組織になってしまう。科学特捜隊のようにみんなで「敵の弱点は?」や「どう戦う?」そもそも「どこで戦う?」などを話し合いながら、意志を旗揚げできる人が理想のリーダー」と続ける。

 資本主義の時代が求めた「強さ」だけでなく、「弱さ」も開示でき、「願い」や「想い」それに「意志」を明確に、恥ずかしがらず言語化できる「青臭いリーダー」でありたいともいう。「例えばヴァージル・アブローは、最初の『ルイ・ヴィトン』のフィナーレで人前で涙を流して『弱さ』も垣間見せ、インスタグラムには『君にもできるさ』と『想い』を恥ずかしがらずに投稿した。どれだけ責任が大きくなっても、子どもの頃の思いを純粋に信じ続けられる、個として周囲の人と変わらない雰囲気を開示できるリーダーは、人の痛みを理解できるのではないか?」と考える。「自分に無いもの、欠けているものを開示し、補い合える仲間や組織にこそ存在意義がある。人の痛みを理解しながら、大きくなりながらも純粋さを保ち続けようと努力し続ける存在でありたい」。


【INFORMATION】

 3月2日には東京・新宿のルミネゼロで、「Next Generations Forum」を開催します。選出されたネクストリーダーを称えると共に、アドバイザーも交え、ファッションやビューティの未来やカルチャー、サステナビリティなどをテーマにトークセッションを行います。ファッション&ビューティ業界のプロフェッショナルはもちろん、一般生活者の方も楽しんでいただける内容となっており、LIVE配信も行います。

問い合わせ先
ルミネ代表電話
03-5334-0550