ファッション

ジュエリーへの欲求を一度は失ってしまった理由 マリエの「私の33年目のサステナブル」Vol.47

 ジュエリーに関する欲求がなくなったのには、いくつかの理由がある。「ジャラジャラつけていた若い頃の反動」「すぐ無くす」そして「環境汚染や児童労働、さらには紛争の引き金になっている一面の存在を知ったから」だ。

 昔は、ジュエリーが好きだった。かつてはリング状の大ぶりのブレスレットを“じゃら付け”していたが、動き回るたびにブレスの間に皮膚が挟まり線状の傷になることが耐えられなくなった。大人になってからは、品質にこだわりつつ日常使いできるものを選ぶようになり、愛を伝えるツールとしてはもちろんのこと、自分へのご褒美や掲げた目標へのコミットメントとして購入した。なのに“アンサステナブル”な背景も存在すると知った時、大きなショックを受けた。「購買理由や、購入者が託す意味とは全く逆の背景が存在したなんて!」と驚きを隠せなかった。

 ジュエリーが環境や社会に与える影響には、以下のようなものがある。

紛争ダイヤモンド:「ブラッドダイヤモンド」という映画で思い出す方もいるかもしれない。紛争ダイヤモンドとは、紛争の資金源となるダイヤモンドのこと。「コンフリクト・ダイヤモンド」「ブラッド・ダイヤモンド」そして「血塗られたダイヤモンド」とも言われる。1980~90年代にアフリカの多くの地域で勃発し、今なお断続的に続く戦いを悪化させた(させている)のは、ダイヤモンドをはじめとする資源だった。資源を売った資金で武器を購入した結果、内戦が激化し、多数の人々が亡くなり、子どもが兵士になることを強要されるなどの悲劇が起きた。「キンバリープロセス」という認証制度は、紛争ダイヤモンドの問題に取り組む一つの手段として、トレーサビリティなどを追跡する。ただ実際は「取り締まる担当官は、州に数人しかいない。バイクで移動するが、ガソリン代が支給されない。この状態で違法採掘者や密輸業者を取り締まるのは不可能だ」(とある記事から)という現実も残されているのだろう。

カラーストーン問題:少数民族が採掘を担うというカラーストーンはダイヤモンドとは異なり、国際的な規制の対象外だった。2019年、ようやく「責任ある宝飾のための協議会(RJC)」が認証範囲にカラージェムストーンを含むようになった。少数民族が営む無数の小さな鉱山で取れた宝石は、隣国に密輸されることもあった。隣国のバイヤーに買い叩かれ、密輸され、別の国の物として販売されてきた経緯を知った時、胸が痛くなった。結果、現地にはお金が残らない。村は貧困のままだ。

 児童労働をはじめとする労働環境:幼い子どもが、20kg前後もあるような重い荷物を流血しながら運んできた現場もあるという。低賃金で、そこには福利厚生なんて存在しない。素手・素足で採掘して、その鉱山では水銀が使われることもあった。健康被害が多発するのは、想像できるだろう。

 洋服同様、宝飾の社会でも、食や住宅問題も似た問題が浮き彫りになっている。今後は、こうした危険性や可能性を理解した上で、毎日の消費活動において答えや選択肢を吟味すべきだろう。今はどのジャンルでも、どんな大企業でも、SDGSやサステナブルが必要なのだ。

 宝飾品やジュエリーは身につけると、多幸感やワクワク、パワーを感じることができる。だからこそ、その背景はもっとハッピーでなくてはならない。冒頭で「ジュエリーへの欲求がなくなった」と話したが、今は生産背景も美しいジュエリーやブランドも多い。ぜひ一度、その背景も美しいアイテムに魅了されて欲しい。ちなみに私のブランド「パスカルマリエデマレ(PASCAL MARIE DESMARAIS)」でも、人工ジュエリーを使ったテニスブレスレットなど、デイリーアイテムを販売している。

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