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イトキンがリメイク型D2Cブランド 若手・少数精鋭で事業もサステナブルに

 イトキンがリメイク型のD2Cブランド「リマイン(RE:MINE)」をスタートする。“生まれ変わって私のもとへ”を合言葉に、倉庫に眠る在庫商品を新しいデザインで生まれ変わらせるサステナブルマインドのブランド。イトキンオンラインストアに「リマイン」のブランドページを開設し、10月13日から販売を予定する。将来的にはポップアップストアなどでの販売も構想中だ。

 サステナビリティの観点や収益性の向上、そして新たなビジネスチャンスという意味でも、ゼロウエスト(廃棄ゼロ)や余剰在庫のアップサイクル・販売はファッション企業が取り組むべき大きな課題だ。イトキンは2016年から投資会社インテグラルの傘下で経営刷新を図り、20年1月期の売上高約447億円に対して最終消化率は85%超と、かつてに比べて20~30ポイント向上している。しかし、まだ改善の余地がある。

 そこで、いまどきのアパレルでは珍しく、55人ものパタンナーを擁する技術系子会社ジャスモードを管轄する内藤秀司EC事業部事業部長の下、研究開発を開始。この技術職のサポートを受けながら、社内公募で選ばれた30代の佐藤美保デザイナーと、入社2年目のウェブ担当者ら若手を中心にコンパクトなチームでプロジェクトを運営する。

 「もともとリメイクが好きで、アンティークレースにもはまっていた。最近ではメンズの武骨なミリタリー系も興味があり、社内にリメイクブランドができるのなら絶対にやりたいと猛プッシュした」と佐藤デザイナー。

 リメイクのブランドやラインが広がる中で、差別化ポイントとして3つを想定。「一つは『スタイリングにスパイスを与えるリメイクアイテムのバリエーションの豊富さ』だ。染めだけ、ビンテージだけなどテイストや手法を偏らせず、一画異なるものを提案する。2つ目は『トレンドミックスのリメイクブランド』という点。今の装いに無理なくスタイリングできるトレンド感を加えていく。3つ目は『他にない数量限定という特別感と値ごろ価格』だ。1点ものでも大量生産でもなく、5~20着程度とすることで、他のお客さまとかぶりにくいことを特徴かつ強みにしたい」と意気込む。

 ターゲットは「年齢を問わず、リメイクを取り入れた“プラスワンスタイリング”を楽しめる女性たち」。ファッションにはこだわりを持ち、古着やトレンド、定番などをうまくミックスしつつ、スローフードやサステナブルなど今の気分をライフスタイルに取り入れるエイジレスな女性層を想定する。デザインは“トレンド”と手作業や温かみを感じる“ノスタルジック”の2軸で展開予定。「ビンテージ風だけでなく、キレイめのアイテムも含めて、リメイクのバリエーションはナンバーワンを目指したい。リメイクだけどアパレル品質、リメイクだけどお値ごろ価格を意識する。国内の提携工場や、自社の倉庫センターに併設するお直しなどを扱う工房で、縫製やネーム替え、リメイクなどを行い、『リメイク・イン・ジャパン』をタグとともに打ち出していく」と続ける。 

 ロゴやグラフィックをあしらったり、ボタンやテープ、リブやファスナーなどのパーツで今の気分や遊び心を表現。カットソーと布帛のプリーツ、スカートやコートにペチコートを合わせるなど異素材のドッキングや、レースアップ、フリンジといったディテールなども取り入れていく。D2Cブランドの最大の特徴でもあるが、顧客の反応やデータに基づき、商品ラインナップや売り方などについても臨機応変に対応したい考え。ワッペンや刺しゅうなどでのカスタマイズ展開なども検討中だ

 主な価格はカットソーで4900~6900円、ブラウス・ニット5900~7900円、カーディガン、スカート・パンツ6900~8900円、ワンピース8900~1万1900円、ジャケット9900~1万2900円、コート1万4900~1万7900円など。

 プロモーションについては、入社2年目のWEBビジネス部の中山穂南さんと中世古実咲さんが担当する。撮影やモデル、SNSの運用、ウェブのコンテンツ作りなどまで主体的に活動。「リメイクの過程やモノ作りの背景などから伝えることで、共感を紡いでいくウエブコミュニケーションを実現したい」と口をそろえる。

 まずは月に20型からスタートし、徐々にアイテムを拡大する。このプロジェクトを仕掛ける三宅英木・副社長執行役員は、「数字は追わない。自由にチャレンジしてもらい、結果、ブレイクしたら嬉しい。兼務の人材を含めて少ない人数で手掛けることで、事業計画もサステナブルに長く続けていきたい」と説明。レースや付属など取引先の余剰資材の活用も進めており、「ノウハウを蓄積して、将来的には他社商品なども取り扱っていきたい。この事業部ではタブーはない。われわれはモノ作りの会社なので、サステナビリティへの取り組みもモノで表現したい」と意気込む。

 高品質、だけど、コンサバティブで遊び心が足りないと見られがちなイトキンの風土改革の突破口としても注目されそうだ。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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