
昨年から今年にかけて、数多くの新製品が登場した頭皮・育毛ケアカテゴリー。さまざまな市場から多種多様な製品が発売されているため、「頭皮・育毛ケアのトレンドがよくわからない」という声を耳にするようになった。
銀座トキオクリニックの松田就人・院長は、最新の薄毛治療について「脱毛の原因には不明な点が多いため、対策としては頭皮環境の改善・血行促進・生活環境の改善など、総合的にアプローチしていくしかない」という。同クリニックの顧客に対しても、綿密なカウンセリングを行ったうえで、複数のアプローチを同時に試していくという。
そうしたアプローチの1つに、育毛剤を使用するという選択がある。代表的な育毛剤である大正製薬の「リアップX5」はドラッグストアでのロングセラーアイテムになっていて、同製品のライバルとなるようなアイテムの登場が渇望されている。しかし、頭皮セラムやトニックなど“育毛につながる頭皮ケアアイテム”は「成長中のカテゴリーだが、シャンプー&トリートメントの販売数と比べるとまだまだ」(藤田智美・住商ドラッグストアーズ 商品部 マネージャー 化粧品担当)という。
一方で、これらのカテゴリーがよく売れているのがヘアサロン市場。美容意識の高い顧客が多いうえ、顧客が長時間滞在し、使い方が難しい製品なども自然に説明できるという市場特性が売り上げにつながっている。また育毛に関しても、「育毛剤を使うだけでなく、誰かにアドバイスしてもらいたいが、クリニックに行くほど大事にしたくない」と考える人の受け皿になっている。気軽に相談できる“髪のドクター”がいるヘアサロンで、どこまで本格的なケアを提供できるかが、市場の活性化の鍵を握っている。