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繊維to繊維リサイクルの限界に一石 廃棄衣類を土壌改良へ生かす新技術が実装へ

資源循環型の事業に取り組むサーキュラーカーボンはこのほど、「炭化」の技術を用いて廃棄衣料を土壌改良材などへ活用する循環型スキームを実装した。繊維が分別不要で再資源化できるこの技術は、いまだ障壁の多い繊維to繊維リサイクルの限界に一石を投じる新たなソリューションとして期待がかかる。

「燃やして埋める」には限界が来る
炭化技術に見る可能性

サーキュラーカーボンを2025年に立ち上げた松本大輔代表取締役は、産業廃棄物業界でキャリアを積んだ人物だ。なぜ、衣類の炭化技術に興味を持ったのか。「私は長らく燃やすのが当たり前の業界に身を置いてきた。燃やすことで物質的な量は減らせるが、焼却灰はセメントで固めるか、最終処分場に埋め立てるしか行き先がないのが現状。もちろんそれも必要だが、近い将来、いずれは埋め立てることなく廃棄物を“価値あるものとして循環”させたい。そんな未来を思い描いて衣類を炭化し土壌改良に活用するという可能性に至った」。

二酸化炭素の発生量は
焼却処分時と比較して約80%削減

「炭化」とは、無酸素に近い状態で有機物を熱する手法を指す。酸素を使って燃やす一般的な焼却処分とは根本的に異なるプロセスのため、二酸化炭素の発生量は焼却処分時と比較して約80%削減できる(同社試算に基づく)。生成された炭は、液状の土壌改良材「ソイルタス(SoilTas)」に加工し販売する。

環境省と農林水産省が制定する安全性基準を満たすべく検証を重ね基準適合を確認。同技術を本格的な普及フェーズに乗せた。すでに「ソイルタス」を用いた農地では、土壌微生物の活性化や収穫作物の質の向上といった結果も実証されている。二酸化炭素の排出量の削減にとどまらず、土壌活性というポジティブな影響を与えることのできる循環スキームだ。すでに三井不動産やコナカ、ベイクルーズ、東神開発、トヨタアルバルク東京など幅広い企業と協業が始まっている。

原料は建材も視野
樹脂成型品の事業化も

松本代表は「衣類のリユースやマテリアルリサイクルはどんどん進んだ方が良いと思っている。しかしいずれその衣類も廃棄というステージを迎える。その時に当社の土に還すという技術が役立てるのではないかと考えている。最近の中東情勢による燃料価格高騰や肥料価格高騰問題に対し、身近なものから再資源化することを再重要視し、土壌改良につなげることで、農業問題解決や緑化促進から地球温暖化防止にも貢献していきたい」と話す。

今後原料は衣類だけでなく、建材なども検討しているという。現在、炭化後の主な出口は土壌改良材の「ソイルタス」だが、炭を練り込んだ糸やハンガーなどの樹脂成型品の事業化も完了。さらにカーボンブラック(炭の超微粒子)のさまざまな可能性を視野に入れており、カーボンナノファイバーへの応用も含めた新たな研究も進めている。

また、北海道・苫小牧市の拠点に加え、近く関東にも拠点を増やす計画だ。「地産地消が望ましいので将来的には、いろいろな場所に分散して拠点が構えられたら面白い。さらには規制が先行するフランスなどの欧米諸国でも展開できたら」と展望を語る。

協業企業事例

三井不動産は、2023年6月に三井アウトレットパーク木更津の隣接地に開業した、ファッション業界の抱える余剰在庫などの課題解決などをテーマにした大型店舗「木更津コンセプトストア」でサーキュラーカーボンと協業。同社の取り組みを紹介する展示スペースのほか、屋外の農園では、「ソイルタス」を散布しマリーゴールドやブルーベリーなどの作物を栽培する。プロジェクトの指揮を執る伊藤榮輝担当は、「廃棄衣類の再資源化に取り組む企業はさまざまあるが、その中でもサーキュラーカーボンは再資源化できる素材の幅が広い。炭化した先には、土壌改良材以外にもさまざまな活用法が検討できる点も面白い」という。「木更津コンセプトストア」は循環型ファッションに向けた実証実験の場でもある。まだ多くの人に知られていない技術に焦点を当てることに意義があった。店内には衣類の回収ボックスも設け、来場者が持参した着なくなった衣類をサーキュラーカーボンに提供している。「認知度も高まり、定期的に利用してくださるお客さまも出てきた」。今後は来場者に向けた農園での収穫体験や、炭化した炭を用いたさまざまな商品開発に広げていく。

また、男子プロバスケットボールクラブのアルバルク東京の運営母体であるトヨタアルバルク東京との取り組みにおいては、2025年に東京都江東区青海にオープンしたトヨタアリーナ東京内の屋外テラス空間を「CIRCULAR FARM SOUTH GARDEN」と命名。来場者が持ち込んだ衣類やタオルを回収し、アリーナ敷地の緑化に「ソイルタス」の活用を進める。

PHOTO:TAMEKI OSHIRO
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CIRCULAR CARBON